地盤ネットホールディングス株式会社 左遷で掴んだチャンス!?業界の革命児が語る地盤ビジネス最前線 地盤ネットホールディングス株式会社 代表取締役 山本 強  (2017年10月取材)

Vol.1 今にも生きている高校時代の教訓

インタビュー内容

【ナレーター】

地震大国日本。地震による建物への被害を最小限に抑えるためにも、建設前の地盤の調査は必要不可欠であり、日々その技術は進歩している。

その中でも、多くの地盤調査会社とは異なる角度から事業を展開し、急成長している企業がある。地盤ネットホールディングス株式会社だ。地盤改良工事の必要性を判断するセカンドオピニオンサービスや、無料の地盤診断などの画期的なサービスを展開し、住宅新築時に不要な地盤の改良工事を行うことで発生する高額な費用と施主の負担を抑制。設立から4年後の2012年に東証マザーズに上場し、今、最も勢いのあるベンチャー企業の1つとして注目されている。

従来の住宅地盤業界に風穴を開けた地盤ネットホールディングス。独自路線を突き進むその先には、地球規模の壮大なビジョンがあった。

【ナレーター】

1966年生まれ。大阪府出身。両親ともに経営者で、幼少期から独立に憧れを抱いていたという。そんな山本の人生最初の転換期は、高校2年生の時だった。

【山本】

オートバイに乗っていたのですが、夏休みが終わった最初の頃に、大きな事故で3ヶ月の入院をすることになり、そこで留年をしてしまいました。2学期が始まったばかりの時だったので、まるまる3か月間休むことになりました。それは結構大きな事件でした。

関西では“関関同立”という大学が“良い大学”と言われますが、そこに何と、留年後、現役で合格しまして、更にそれが私の母校の高校からの初めての合格者ということでした。それも1校しか受かってないということで、それによってかなり自信が付きました。1回落ちたのですが、頑張れば何とかなるということのギャップ感というものを感じました。『禍福は糾える縄の如し』ということわざにもあるように、悪いことがあると良いことがあるということ、不幸と幸運というのは同じくらいあるということを高校・大学の時に身を持って、経験しました。

その後に経験することになる苦しい時期に、この教訓は結構活かされていると思います。苦しければ苦しいほどそのあとには良いことがある。逆も然りで、非常に調子が良い時は必ずその後がある。ですから、(良いことと悪いことが)イコールになるというのは、何となく法則があることを体験しました。もしくは法則があるのかなと思いました。

―地盤業界との運命的な出会い―

【ナレーター】

法学部へ進学し営業力を身に付けることが必要だと思った山本は、証券会社へ就職。当時をこう振り返る。

【山本】

これはもう地獄でしたね。地獄というのは、営業力というか、当然社交的ではなかったですし、そういう営業ということに全く真逆の人間形成をずっと築いてきたので。真逆だったので大変でしたね。飛び込みや電話でいきなり営業をするということが、信じられませんでした。

証券会社では、『石の上にも三年』ということで、3年間、我慢、我慢、我慢の時期がありました。3年間は本当に売れなかったのですが、不思議なことに3年ほどやっていると、さすがに多少は営業スキルが身に付き、たまにお客様がつくこともありました。そこから1年くらいは結構いい感じで営業を続けていきました。私の中では1つの卒業というか、もともと証券会社で一生働く目的、もしくは予定はなかったので、営業スキルという意味ではそこである程度行けるかなと考えました。

【ナレーター】

その後、書店で出会ったある書籍に衝撃を受け、住宅業界への転身を決断。注文住宅のフランチャイズを手掛ける企業へ転職することになるが、持ち前の正義感が仇となる出来事が起こる。

【山本】

2~300人いるFCの社長さんというのは色々な方がいます。理不尽な社長さんに対しては、持ち前の正義感で戦いを挑むサラリーマンだったのです。小さい戦いは良かったのですが、その時に結構大きな戦いを挑んでしまい、結果、社長には負けたというか、言い含めることができず、その社長を怒らせてしまいました。私の上司も、もう怒りを聞くしかないということで、左遷させられることになったのです。

【ナレーター】

奇しくも左遷させられた先というのが、地盤業界だった。

【山本】

その時の上司に喫茶店に呼び出されて、そこで2時間ほど地盤業界の仕組みと将来性について説明を聞いたのですが、その瞬間に「これはいけるな」と思いました。今後のビジネスの発展も含めて、「こんないい業界があったのか」と感じ、その瞬間から「ここでずっとやっていこう」という気持ちでスタートし、入ることとなりました。

その当時、欠陥住宅の問題や阪神大震災など、要は住宅に絡む災害の話が非常に社会問題になっていました。そしてその原因が実は住宅の欠陥ではなくて、その下の地盤の良し悪しで欠陥になったり、傾いたりするということです。阪神大震災も活断層の問題ですので、要は地盤に結構原因があるということでした。そこを調べる会社で、しかも住宅専門の調査会社は当時ありませんでしたので、社会的な問題の根っこと言いますか、スタートに位置する会社でしたので「これは非常にやりがいがあるな」という気持ちでした。そこの解明をすることで、色々な問題を解消することができるということです。

―“異質化”へこだわった理由―

【ナレーター】

その後、10年間地盤業界に従事し、第一子の誕生を機に起業を決断。早々に洗礼を浴びることとなる。

【山本】

住宅業界のツールのようなシステムをつくる会社だったのですが、本当に未経験で何となく考えたモデルだったので、ある意味どうしようもない。ただ、この会社を気に入って買ってくれた会社がありました。結果的にはその会社に乗っ取られたというか、ビジネスモデルを気に入っていただいて出資していただいたのですが、出資した後にいきなり更迭されました。

それで1年くらいやった後に、その会社を売却したと言いますか、資本金がそのまま戻るだけでしたが、有難いことにお金が1度戻ってきたので「とりあえずこれでお金は若干戻ったな」と。1年間やったけどやはり素人が何を考えてもだめだと思いました。素人が突拍子もなく発想してやることというのはだめなのだなということが身に染みたので、そうすると過去で一番自信を持ってやっていたことといえば、地盤の世界に10年いたので、ここしかないなということで、もう一回地盤をやろうと思いました。もう一回というか、「ここしかない」と。

【ナレーター】

最も自信のある地盤業界で再スタートを切った山本。数々のセミナーを受講する中で、業界内で生き残るためのあるキーワードが浮かび上がった。

【山本】

“差別化”ではなく“異質化”でなければだめだということです。ずっと“差別化”をしてきていました。業界は知っていたので、他に比べてここが違うであるとか、値段などで差別化をしてきたのですが、それだけだと勝てないということをこのセミナーで明確に聞くことができ、「じゃあ“異質化”だ」ということで、ポジショニングを考えようと思いました。

【ナレーター】

事業の“異質化”を図るべく、山本が選択した業界内の立ち位置とは。

【山本】

地盤調査と言えば2,3万円で、工事は100万円と。ここが儲かるから、500社みんなが入ってきたのですね。ですから、工事がしたいという人の軍団が地盤業界でした。そこで、いっそのこと工事を無くす会社、もしくは工事で利益を上げない地盤会社をつくろうと思ったのです。そもそも地盤工事会社というのは、やはり地面の中の調査ですから、「地盤が悪いから工事しませんか?」と言えば非常に通りやすくて、特に震災などで「地盤が大事だ」という流れが出ると、大概のお客さんはお金を出してくれるのですね。

ただ、こういうことはやはりずっと続かないだろうということと、そもそもこれは“悪”だなという思いが重なって、それならば正義的な、過剰な工事や過剰な金額を無くそうという、そういうポジショニングの仕事をやろうかなと考えました。このモデルには結構自信があったので、スタートはそうだったとしても、透明感があった方が業界は絶対に伸びると思っていました。この辺りはもう全くブレなく、私はそれをやることで、一時的にその話はありましたが、最終的には業界のクリーンさと市場拡大という(のを目指しています)。 全くそこは迷いもなく“悪いものは悪い”というスタンスですね。

―データから導く安全な地盤の比率とは―

【ナレーター】

住宅に限定した地盤調査を全国各地で行う地盤ネットホールディングス。蓄積されたデータをもとに投じる次の一手とは。

【山本】

集まったデータをどう生かすかということが今の我々の使命というか、課題です。その意味で、膨大な地盤データを見える化する 取り組みをしています。どうしても地盤というのは地面の下ですから、見えない典型的な商材です。ただ、見えない地盤によって色々な被害が出たり、不動産の価値が変わったりするということで、非常に大事なデータです。それを、調査をする前に“見える化”しようということで、2,3年くらい前からは地盤のアプリをつくったり、マップをつくったりということをしています。

ようやく最近、それがビジネス的に繋がりそうだと思えたのは、要するにこの“良い場所”と“悪い場所”を明確に世の中に伝えることによって、“良い場所”を教えてくれというニーズがどんどん増えてきたのです。本来は不動産会社さんなどがやるべきことなのですが、不動産会社さんというのも、やはり“悪い場所”も売らなければなりませんし、過去も売ってきていました。とすると、それはなかなかできないなと。そこで行き着いたのは、過去のデータから“良い場所”というのは全体でだいたい30%くらいしかなく、それなりに希少価値があるということなのです。ですので、その場所を教えるだけではなく、いっそのことその場所にある不動産、土地ですとか、住宅ですとか、アパートですとか、そこを紹介したいなと考えました。

やはりデータ的には70%くらいのエリアが本当に危険な場所なのですね。そういう人たちにまずは気づいてもらう。気づいてもらって、納得してもらって、もし3割の安全の方に移るとなると、これは非常に良いことかなと思います。災害に対してこの3割の場所はまず問題ない。過去も起きていないということなので、非常に後で感謝されます。そういう意味で、その70%の人の移動を生涯的にやろうかなと考えています。それからそういう地盤が良い場所は日本だけではありません。今回、アジアではダナンというところを積極的に進めていきたいと思っていますが、おそらくアフリカなど、他の国でも安全な場所というのがもしあれば、そこを限定に移住支援をするビジネスをやっていきたいなと考えています。去年、初めて11月28日を“いい地盤の日”と決めました。毎年そこでキャンペーンを行い、浸透させていきたいと考えています。その日に引っ越す人が増えるような、そんな日にしていきたいという思いがあります。

―ゴルフから得た学びと視聴者へのメッセージ―

【ナレーター】

余暇には趣味のゴルフに没頭することが多いと語る山本。ゴルフを通じて得た学びと、成し遂げたいこととは。

【山本】

好きだからということも当然あるのですが、これほど人生的な出っこみ引っこみやら、うまく行かないことやら性格やら、ちょっとズルするとその後失敗したりとか、それをやっている人を見るのも面白いし、そこから気づくことで色々と役に立ったりすることは結構あるかなと思います。当然リフレッシュという、マインドセットもありますけど。

情報格差をなくすという、根っこの経営理念がありまして、ベトナムでは、第1次ゴルフブームで、日本からすると4,50年くらいおそらくゴルフ文化も遅れているのですね。そういうギャップを消したいということがあって、日本のレッスンプロや、プロでも活躍できていない人を向こうに連れていって、そこで教えるビジネスとか、その逆もありますけど、そういう格差を無くす役に立ちたいなと考えています。これは結構、ハードなのですよ。セカンドオピニオンではないですが、そういう悩みを消したいなと思っています。もっと言うと、それでやめた人も結構多いスポーツでもあるのです。少しかじってうまくいかなくてやめる、もしくは全然やらずにということもあります。この辺も解消したいというか、ゴルフビジネスは潜在的な余地があるなと考えています。

―視聴者へのメッセージ―

【山本】

地盤ビジネスということで、あまり馴染みのないことだと思うのですけども、地盤というのは世界中どこでもありますし、必ず地盤の上に人が住んでいます。これをきっかけに地盤の良し悪しに関心を持っていただいて、本当に世の中にリスクが色々と多い時代ですから、やはり最後は自己責任ということで、自分の身は自分で守るという意味では、本当に安全な場所を探す努力が必要かと思いますし、もしそういうお手伝いができればどんどん提供していきたいなと。最終的には、安全に世界中の人が暮らす、そんな世界を微力ながら提供できればと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。


経営者プロフィール

氏名 山本 強
役職 代表取締役
生年月日 1966年6月26日
出身地 大阪府

会社概要

社名 地盤ネットホールディングス株式会社
本社所在地 東京都中央区日本橋1-7-9 ダヴィンチ日本橋179ビル2F
設立 2008
業種分類 サービス業
代表者名 山本 強
WEBサイト http://jiban-holdings.jp/
事業概要 地盤調査、改良工事に関する専門的な知見をもとに公正中立な立場でサービスを提供
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