住友金属鉱山株式会社の概要と沿革
まず、住友金属鉱山の基本情報は以下の通りです。
【住友金属鉱山の概要】
社名 | 住友金属鉱山株式会社 |
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本社所在地 | 東京都港区新橋5丁目11番3号(新橋住友ビル) |
設立年月日 | 1950年(昭和25年)3月 |
代表取締役社長 | 中里 佳明 |
株式公開 | 東証一部上場(証券コード:5713) |
資本金 | 932億円 |
事業内容 | 資源開発、非鉄金属製錬業、電子材料・機能性材料の製造、その他
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住友金属鉱山は、東京都港区に本社を置く資源開発をはじめ、非鉄金属製錬業、機能性材料の製造を主に行なっている会社です。1590年に開業とその歴史はとても古く、住友財閥の源流企業としても知られている日本で最も歴史ある企業がこの住友金属鉱山なんです。現在の社名である住友金属鉱山に変更されたのは1952年であり、当然の如く東証一部へも上場されている大企業の一つです。そして非鉄金属を扱う企業としては唯一TOPIX 100構成銘柄に指定されています。
それでは住友金属鉱山の歴史を沿革で見ていきましょう。
【住友金属鉱山の沿革】
1590年 | 蘇我理右衛門、京都において銅製錬・銅細工を開業 |
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1590年 | その後、銀・銅を吹き分ける“南蛮吹き”の技術を完成、また鉱山の開発も手がける |
1691年 | 別子銅山の稼行開始 |
1939年10月 | 四阪島製錬所中和工場が完成し、同年末50年来の煙害問題完全解決(新居浜煙害問題発生1893年9月) |
1939年11月 | 電気ニッケル生産開始 |
1946年1月 | 社名を井華鉱業(株)に改称 |
1947年7月 | 本社東京移転開始(1948年春完了) |
1952年6月 | 社名を住友金属鉱山(株)に改称、同時にヰゲタマークの使用を復活 |
1954年11月 | 太平金属工業(株)の経営に参加、ニッケル加工事業へ進出 |
1956年3月 | (株)日向製錬所を設立し、フェロニッケルの生産開始 |
1957年3月 | 浅川工業(株)(1962年住鉱潤滑剤(株)に社名改称)を設立し、二硫化モリブデンを原料とする潤滑剤の生産開始 |
1960年4月 | 二酸化ゲルマニウムの製造を開始、電子材料事業へ進出 |
1963年4月 | シポレックス製造(株)を設立し、ALC(軽量気泡コンクリート)の製造開始 |
1963年8月 | 住鉱コンサルタント(株)(現 住鉱資源開発(株))を設立し、国内外における地質・鉱床調査等のコンサルティング事業へ進出 |
1965年8月 | 中央研究所(現 市川研究所)完成 |
1966年4月 | 東京電子金属(株)を吸収合併し、電子金属事業部(現 材料事業本部)を設置 |
1966年4月 | 住鉱アイ・エス・ピー(株)播磨製錬所が完成し、鉛・亜鉛の生産開始 |
1967年9月 | 電子金属事業部青梅工場(現 材料事業本部青梅事業所)完成 |
1969年3月 | 当社の電気銅、ロンドン金属取引所(LME)に登録 |
1970年4月 | 日本ケッチェン(株)を設立し、脱硫触媒分野へ進出 |
1974年6月 | 国富事業所電子工場(現 住鉱国富電子(株))完成、ゲルマニウムの製造開始 |
1977年1月 | シンガポールでリードフレーム生産を開始 |
1980年10月 | 住鉱アイ・エス・ピー(株)を吸収合併し、播磨事業所とする |
1981年9月 | 鹿児島の菱刈鉱区で有望な高品位金鉱脈発見(金属鉱業事業団) |
1982年4月 | 菱刈鉱山の探鉱結果発表(金量で120トンを推定) |
1986年2月 | 米国フェルプス・ドッジ社(現 フリーポート・マクモラン社)モレンシ銅山(アリゾナ州)へ投資(住友商事(株)と共同) |
1988年5月 | P.T.インターナショナルニッケルインドネシア社(現 PTヴァーレインドネシア社, インドネシア)へ資本参加 |
1989年4月 | マレーシアでリードフレーム生産を開始 |
1989年10月 | シポレックス製造(株)を吸収合併 |
1990年7月 | バランド社(現 フィゲスバル社, ニューカレドニア)へ資本参加 |
1990年11月 | 別子開坑300年記念式典 |
1992年1月 | 米国フェルプス・ドッジ社が所有するカンデラリア銅鉱床(チリ)の開発プロジェクトに資本参加 |
1993年4月 | ニッケル工場、MCLE法(マット塩素浸出電解採取法)へ全面転換 |
1993年6月 | ノースパークス金・銅鉱山開発プロジェクト(オーストラリア)へ参加 |
1994年11月 | 台湾でリードフレーム生産を開始 |
1995年9月 | 金隆銅業有限公司(中国)へ資本参加 |
1995年10月 | 中国でペースト生産を開始 |
1996年1月 | タイでリードフレーム生産を開始 |
1997年6月 | 菱刈鉱山累積産金量(83トン)日本一に |
1998年1月 | バツ・ヒジャウ銅金鉱山開発プロジェクト(インドネシア)へ資本参加 |
1998年5月 | テック社(現 テック・リソーシズ社、カナダ)の株式取得 |
1998年10月 | ストーンボーイ・リサ金鉱床の埋蔵金量162トンを確認 |
1998年11月 | 中国でリードフレーム事業へ進出 |
1999年9月 | (株)ジェー・シー・オー東海事業所において臨界事故発生 |
1999年9月 | 建材事業部門を分離独立させ、住友金属鉱山シポレックス(株)設立 |
2001年7月 | リオツバ鉱山(フィリピン)の低品位酸化ニッケル鉱開発プロジェクト(コーラルベイ・ニッケル・プロジェクト)開始 |
2004年10月 | セロ・ベルデ銅鉱山開発プロジェクト(ペルー)への資本参加について基本合意 |
2004年10月 | ゴロ・ニッケルプロジェクト(ニューカレドニア)への資本参加について基本合意 |
2005年4月 | コーラル・ベイ・ニッケル・プロジェクト(フィリピン)の商業生産開始 |
2005年12月 | オホス・デル・サラド銅資源プロジェクト(チリ)へ資本参加 |
2006年2月 | ポゴ金鉱山(米国アラスカ州)生産開始 |
2006年11月 | セロベルデ銅鉱山(ペルー)の硫化鉱床プロジェクト生産開始 |
2009年7月 | テック・リソーシズ社保有のポゴ金鉱山全権益を当社・住友商事株式会社が取得 |
2009年8月 | ニッケル・アジア・コーポレーション(フィリピン)へ資本参加 |
2009年9月 | タガニート・プロジェクト(フィリピン)の実施を決定 |
2011年9月 | カナダのクアドラFNXマイニング社(現 KGHMインターナショナル社)がチリに保有するシエラゴルダ銅鉱山開発プロジェクトに参加 |
2013年9月 | タガニートHPALニッケル社(フィリピン)の商業生産開始 |
2015年7月 | シエラゴルダ銅鉱山(チリ)の生産開始 |
2016年5月 | モレンシー銅鉱山(アメリカ)の権益を追加取得
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住友金属鉱山の歴史は大変古い為、書き出せばキリがないほどの事業を行なってきていますが、現在では日本のみならず、世界規模での鉱山開発、製錬を行なっています。そして資源の保有量は日系企業の中でもトップクラスを誇っており、埋蔵量が多い鉱山を多数所持している事からも世界を代表する企業であることはお分かりいただけると思います。現在でも電気ニッケルの国内唯一の提供企業がこの住友金属鉱山であり、他分野への資材提供には欠かせない企業として活躍を続けています。
住友金属鉱山株式会社の経営理念
次に、住友金属鉱山のグループの経営理念をまとめていきます。
【SMMグループ経営理念】
・住友の事業精神に基づき、地球および社会との共存を図り、健全な企業活動を通じて社会への貢献とステークホルダーへの責任を果たし、より信頼される企業をめざします住友金属鉱山HP:企業理念より引用
・人間尊重を基本とし、その尊厳と価値を認め、明るく活力ある企業をめざします
【SMMグループ経営ビジョン】
・独自技術を駆使してものづくり企業としての社会的な使命と責任を果たします住友金属鉱山HP:企業理念より引用
・コンプライアンス、環境保全および安全確保を基本としたグローバルな企業活動により、非鉄金属、電子・機能性材料などの高品質な材料を提供し、企業価値の最大化をめざします
大企業としての明確な理念が書かれています。モノづくり企業としての責任と使命を果たす事が住友金属鉱山の社会への貢献に繋がると考えているようです。そして常に機能性の高い材料、そして品質の高い材料を提供し続ける事が住友金属鉱山の価値を高めるとして事業の展開に努力を怠らないという姿勢も伝わってきますね。そして社内への言葉として人間尊重を基本としの言葉からも社員あってこその企業という素晴らしい面も伺えます。
住友金属鉱山株式会社の事業内容
最後に住友金属鉱山の事業内容は以下の通りです。大きく分けて三つの事業に分かれている事がわかります。そしてそれは段階的な事業として捉える事が出来ます。まず一つ目の『資源事業』は、地球が与えてくれる自然の恵みであるマテリアルを採掘することです。そしてそれらを価値ある金属へと変える『製錬事業』。最後にそれらを製品の部品へと活用される為の最終段階を担っている材料事業です。金属の新しい価値を見出し、それらを社会、生活の向上に繋げることでより豊かな環境を作ろうという姿勢は素晴らしいと感じます。
【資源事業】住友金属鉱山HP:事業紹介より引用
長い年月、地中奥深くの地層に眠っていた貴重な天然資源を、人の手で“金属”という価値に変えていく。その第一歩となるのが、資源事業です。住友金属鉱山は、日本国内最大の金鉱山となった菱刈鉱山の開発をはじめ、グローバルに優良鉱源を求め、鉱山開発・操業のプロフェッショナルとして数多くの探鉱プロジェクトを推進しています。
【製錬事業】
世界トップクラスの製錬技術で、鉱物から高品質な金属を生みだす。それが住友金属鉱山の製錬事業。インフラから電子材料までのあらゆる分野で活躍する銅や、ステンレスや特殊鋼に加工されるニッケル、宝飾分野に加え、エレクトロニクスの素材としても使われる金など、社会を支える金属を私たちは供給し続けています。
【材料事業】
現代社会をあらゆる面で支えている金属材料技術。最先端の電子機器に使われる部品や低炭素社会実現のカギとなる二次電池など、世の中で使われるさまざまな製品に、当社が作り出す高度な機能性・半導体材料が活用されています。金属に新しい価値を与え、暮らしの進化を支えていく。それが住友金属鉱山の材料事業です。
無限ではない地球のマテリアルを大切に。価値あるカタチに変えるのが住友金属鉱山株式会社!
わたし達人類の発展に必要不可欠であった金属製品は近年では当たり前になっていますが、住友金属鉱山のような企業のとてつもない努力によって生み出されてきた賜物です。かつては無限であるかのように思われていた金属などのマテリアルも掘り進める事で有限であり、大切なモノだという事が人類の共通意識として広まりつつあります。これからの地球環境を考え、モノを大切に有効利用することがこれからのわたし達の責務だと思います。そしてそれらの責務を企業として深く考えて事業を行っているのが住友金属鉱山です。住友金属鉱山の更なる発展がわたし達の生活の向上、そして無駄のない自然環境の保護へと繋がると思っています。ますますの発展、事業展開に期待していきましょう!