日油株式会社の概要と沿革

まず、日油の基本情報は以下の通りです。

【日油の概要】

社名日油株式会社(NOF CORPORATION)
本社所在地東京都渋谷区恵比寿四丁目20番3号
設立年月日1949年(昭和24年)7月1日
代表取締役会長大池 弘一
代表取締役社長小林 明治
株式公開東証一部上場(証券コード:4403
資本金17,742百万円(2016年3月31日現在)
事業内容油脂製品、化成製品、火薬・加工品
日油HP:会社概要より引用


日油は東京都渋谷区に本社を構えている幅広い化学品を扱っている会社です。その歴史は今から100年以上も前の1910年に日本リバー・ブラザーズ社が設立したことから始まっており長い歴史を持つ企業としても知られています。展開している事業は非常に幅広く、中でも油脂化学分野ではパイオニアとして日油は現在も業界の最前線を進み続けています。

それでは日油の歴史を沿革で見ていきましょう。

【日油の沿革】

1910年9月日本リバー・ブラザーズ社(現尼崎工場)設立
1917年8月鈴木商店王子製油所(旧王子工場)設立
1919年11月帝国火薬工業(現愛知事業所武豊工場)設立
1936年6月日邦工業(株)(前身の日本漆器工業(株))創立
1937年6月第一次日本油脂(株)(本社:日産館)設立
1938年1月北海道油脂工業(株)他14社合併
1943年2月昭和金属工業(株)設立
1945年4月日本鉱業(株)化学部門の営業譲渡を受け、日産化学工業(株)に社名変更
1947年6月日油商事(株)(前身の日勢商事(株))創立
1949年7月第二次日本油脂(株)(本社:日本橋白木屋)設立
〔企業再建整備法により独立〕
1951年10月本社を丸の内東京ビルに移転
1954年10月ロケット用推進薬製造開始
1957年2月有機過酸化物製造開始
1961年7月日油工業(株)設立
1961年11月千鳥工場開設
1966年2月油化産業(株)設立
1967年5月本社を有楽町ビルに移転
1970年6月帝国火工品製造(株)と合併
1973年6月(株)日本ダクロシャムロック(現 NOF メタルコーティングス(株))設立
1980年12月日油技研工業(株)設立
1983年2月筑波研究所開設
1984年9月アメリカにMETAL COATINGS INTERNATIONAL INC. (現 NOF METAL COATINGS NORTH AMERICA INC.)設立
同社はフランスのDACRAL S.A. (現 NOF METAL COATINGS EUROPE S.A.)を同時に子会社化
1988年12月アメリカにNOF AMERICA CORPORATION設立
1991年1月ドイツに現地法人 Nippon Oil & Fats GmbH設立
1992年10月神岡試験場(現 神岡出張所)開設
1994年3月北海道日本油脂(株)(現 北海道日油(株))設立
1994年7月Nippon Oil & Fats GmbHを発展的解消し、ベルギーにNOF EUROPE N.V.設立
1994年11月本社を恵比寿ガーデンプレイスタワーに移転
1995年11月インドネシアに PT.NOF MAS CHEMICAL INDUSTRIES設立
1996年2月(株)ジャペックス設立
1997年12月種子島事業所開設
1999年10月日本工機(株)を株式取得により子会社化
1999年12月ライフサイエンス事業部発足
2001年10月DDS事業開発部発足
2004年3月(株)タセトの全株式を神鋼タセト(株)に売却
2004年6月大師工場開設
2004年10月中国に常熟日油化工有限公司設立
2004年10月ニチユ物流(株)設立
2005年3月日本油脂BASFコーティングス(株)の全株式を
BASF Coatings AGに売却
2005年7月DDS工場開設
2006年6月防錆部門発足
2007年10月社名を日油株式会社に変更
2009年4月油化産業(株)がニチユソリューション(株)を吸収合併
2010年9月日油技研工業(株)を株式交換により完全子会社化
2012年7月筑波研究所を筑波研究センターに改編
2013年4月ディスプレイ材料事業部発足
2014年11月NOF EUROPE (BELGIUM) N.V.をドイツに移転し、NOF EUROPE GmbH設立
日油HP:沿革より引用


現在では医薬品や化粧品に利用される脂肪酸やグリセリンをはじめ、機能事業で生産化されたプラズマテレビ用反射防止フィルムは世界規模でのシェアを獲得するなど本当に幅広い分野で活躍しています。わたし達には直接的に関わることが少ないと思いがちですが、化学製品はわたし達の生活の根幹を支えている大切な事業なんです。

日油株式会社の経営

次に、日油の経営をまとめていきます。

【経営理念】

私たち日油グループは、バイオから宇宙まで幅広い分野で新しい価値を創造し、人と社会に貢献します。

1.カスタマーニーズに応え、最高の品質とサービスをグローバルに提供します。
2.総合力を発揮し、未来を拓く先端技術と優れた商品を開発します。
3.環境との調和に努め、製品と事業活動における安全を確保します。
4.適切な利益水準を維持し、支える人々に構成な還元で報います。
5.意欲ある挑戦を支援し、働き甲斐と豊かな人生の実現に努めます。

当社およびグループ各社が、将来に向けて、結束を強め、共に業績の向上を目指すという基本理念を明確に表わすため、そして、また、環境保全・安全への配慮といった社会との共生を基本方針として示すため、「経営理念」に以下のキーワードを盛り込んでいます。

1.グループ経営
「私たち日油グループは‥」としグループ経営推進の理念を明文化しています。
2.顧客第一
顧客第一の考え方を”カスタマーニーズ“と表現し、この文を個別項目の1番目に置きました。 3.環境・安全
環境・社会への配慮、製品・操業の安全を重視いたします。
4.利益の追求
民間企業として、適正な利益水準の維持と、ステークホルダー(従業員・株主・取引先・地域社会など)への還元を明文化しています。
5.社員の挑戦
社員に挑戦と成長を求め、意欲ある挑戦をサポートする、との考え方を打ち出しています。
日油HP:経営理念より引用

日油株式会社の事業内容

最後に日油の事業内容は以下の通りです。本当に幅広い分野を扱っていることに驚きます。日油のコア事業である油化事業ではわたし達の生活に非常にリンクしている製品も多く業界をリードし続けています。コーポレートスローガンにも掲げられている『バイオから宇宙まで』この言葉が大げさではない事がおわかりいただけると思います。

【油化事業】
油化事業は、1910年の油脂事業創業以来、わが国油脂化学分野のパイオニアとして業界をリードしてきました。
現在では、脂肪酸類、脂肪酸誘導体、界面活性剤等油脂化学分野の製品に加えて、石油化学分野においてもアルキレンオキサイド誘導体や(メタ)アクリル酸エステル等をベースとした種々の機能性製品を開発し、環境・エネルギー分野、情報・電子分野、パーソナルケア分野等、技術革新が目覚ましい成長分野へ提供しています。
これからも、古くて新しい素材「油脂」のさらなる可能性を探究するとともに、長い間蓄積してきた当社固有の技術力をベースに油脂化学・石油化学の幅広い分野で新たな高機能素材を開発し、成長する先端分野で存在感のある事業を展開してまいります。

【化成事業】
化成事業は、1957年の有機過酸化物事業創業以来、着実に事業領域を拡大し、現在では、有機過酸化物製品、機能性ポリマー製品、石油化学製品を柱として、多彩な事業を展開しています。
有機過酸化物製品事業では、積極的な製品開発と新規用途開拓に努め、世界有数の総合有機過酸化物メーカーとして高い評価を受けています。
機能性ポリマー製品事業では、特異構造グラフトポリマー・ブロックポリマーの樹脂改質分野への提供等、斬新な発想から生まれた高機能製品群の積極的な応用展開を図っています。
石油化学製品事業では、ポリブテン、イソパラフィン系無臭溶剤等を製造し、広く関連業界の発展に寄与しています。
これからも、次世代技術に対応すべく固有技術を駆使して最先端素材の開発に注力し、ケミカルの新分野を開拓してまいります。

【化薬事業】
化薬事業は、1919年の火薬事業創業以来、卓越した研究開発力と製造技術による高機能製品群と安全性を最優先とした応用技術を創出し、社会に提供してきました。
現在では、世界でも稀有な総合火薬メーカーとして確固たる事業基盤を築いており、産業用爆薬事業、防衛・宇宙開発事業および民生品事業を展開しています。
産業用爆薬事業では、膠質ダイナマイト、含水爆薬、電気雷管および遠隔制御発破装置等により、トンネル掘削をはじめとする国土開発に寄与しています。
防衛・宇宙開発事業では、発射薬、銃砲弾、ロケット用推進薬、火工品等、最先端技術を活かした高性能製品によって、国の防衛と宇宙開発に貢献しています。
また民生品事業では、自動車用安全部品、海洋機器、示温材、滅菌資材、医薬品原料、防犯機器等、日常生活に関連する様々な分野へ製品を提供し、幅広く社会に貢献しています。
これからも、最先端のパイロテクノロジー(火工品技術)を最大限に活用して新しい未来へ挑戦してまいります。

【食品事業】
食品事業は、1917年の創業以来、常に他社に先駆けて食用油脂の精製・加工技術の革新に取り組んできたパイオニアです。現在では、事業領域を拡充し、食用加工油脂事業と健康関連事業を展開しています。
食用加工油脂事業では、マーガリン、ショートニング、製菓改良脂、離型油、フィリング・トッピング材、粉末油脂、調理・冷凍食品用素材等、油脂加工のパイオニアとして培ってきた技術をベースに「おいしさ」を追究した製品開発に努め、広く食品産業に貢献しています。
健康関連事業では、機能性脂質、乳化・可溶化製品、油脂コーティング製品、医療栄養食等、社会へ「健康」を提供するための技術研鑚に努め、次々と新製品を開発しています。
おいしく、健やかに、「食」の豊かさを一つ一つかたちに、これからも社会に貢献できる製品を提供してまいります。

【ライフサイエンス事業】
ライフサイエンス事業は、「リン脂質極性基を有するLIPIDURER (MPC(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)ポリマー)の製造技術の開発」の成功を機に、本格的に事業運営体制を整え、生体適合性素材として積極的な市場展開を進めてまいりました。
その用途はコンタクトレンズ関連材料や点眼薬などのアイケア分野、診断薬やメディカルデバイス等の医薬医療分野、洗口液をはじめとしたオーラルケア分野、更には繊維分野等、多岐にわたっており各分野で高い評価を得ています。
そして、現在はこれまでに蓄積された分子設計技術、精製技術、評価技術を駆使し、さらなる用途開発を進めると共に新製品の開発も強化しています。
独創的なキーテクノロジーを核に革新的な価値の創造に挑戦し「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)」に貢献してまいります。

【DDS事業】
医薬品業界では、薬物の治療効果を最大限に発揮させる薬物送達システム(DDS:Drug Delivery System)を利用した医薬品が数多く商品化され、患者の治療に役立っています。
なかでも、薬物の送達物質(キャリア)としてナノサイズのものを用い、医薬品の生物活性、副作用、病巣へのターゲティング、化学的安定性、代謝活性等を調整して、体内の必要な場所に必要な量を必要な時間だけ作用させ、医薬品の効果を高める技術が注目されています。
当社は、このナノ技術を応用したDDS分野において、ポリエチレングリコール(PEG)誘導体、リン脂質、高純度不飽和脂肪酸等、当社固有技術である合成・精製・品質管理技術によって開発された創造性の高い製剤材料および製剤技術を提供しています。
これからも、高純度素材および新規技術によりDDS革新へ貢献してまいります。

【ディスプレ材料事業】
2013年4月、機能フィルム事業と電材事業を統合してディスプレイ材料事業を設立しました。
機能フィルム事業は、世界で初めてのウエットコーテイング法による反射防止フィルム「リアルックR」、「エアライクR」、耐指紋性フィルム「クリアタッチR」、耐指紋性反射防止フィルム「ピュアフェイスR」、書味向上フィルム「ペンフィットR」などの機能フィルム製品を次々と開発し、これまで業容を拡大してきました。また、近年急激に増加しているタブレットおよびスマートフォンに当社インデックス・マッチングフィルム「ライトナビR」が使用され、顧客から高い評価を受けています。一方、電材事業は、日本化学会の化学技術賞を受章した当社の固有技術をキーテクノロジーとして革新的な製品の開発を続けてきました。特に、ブロックカルボン酸硬化技術を基に開発した「ノフキュアーR」は、国内外で新規採用を獲得するなど、ディスプレイ材料市場で販売を拡大しています。
これまで両事業が培ってきた技術を融合してシナジー効果を発揮し、新事業展開のスピードアップや新製品開発力の強化を図り、顧客のニーズに合致したより機能性の高い製品を提供してまいります。

【防錆事業】
防錆事業は、独創性の高い防錆処理剤を核に最先端の表面処理技術を蓄積し、自動車部品防錆処理の世界的デファクトスタンダードとなるまでに発展してきました。
現在では、国内およびアジア地域で事業を展開するNOF メタルコーティングス株式会社を中心に、米国ではNOF METAL COATINGS NORTH AMERICA INC.、欧州ではNOF METAL COATINGS EUROPE S.A.(仏)等グローバルなネットワークを構築し、全世界の自動車生産拠点に向けた防錆処理剤の供給体制を整えています。
これからも環境にやさしい表面処理を最優先課題に、高機能製品の開発と防錆処理技術の向上に取り組んでまいります。

【物流・不動産他】
物流事業については、ニチユ物流株式会社を核に、サプライチェーンマネジメントの観点から日油グループのさらなる経営効率向上を目的に事業を展開しています。
不動産事業については、日油商事株式会社が主体となり、きめこまかな不動産管理・運営に努めています。
またサービス事業として、日油商事株式会社では、各種保険取り扱い業務等も行っています。
日油HP:事業紹介より引用

化学からわたし達の生活と社会の豊かさを支えているのが日油株式会社!

化学と聞くと少し難しいように感じますが、その研究の結果がわたし達の生活を豊かにしてきた事は紛れもない事実です。普段の生活で使用している製品のほぼ全てにこの化学が関係しており、日油はその分野で現在も活躍を続けています。日本のみならず世界規模でのシェアを誇る製品など、常に新しい研究を続けている日油の発展は、これからのわたし達の生活を必ず豊かにしてくれると思います。これからも日油のますますの活躍に期待していきたいですね!