岩谷産業株式会社:概要と沿革
まずは、岩谷産業の基本情報を確認しておきましょう。
岩谷産業株式会社の概要
社名 | 岩谷産業株式会社 |
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本社所在地 | 東京都港区西新橋3-21-8 (東京本社)
大阪府大阪市中央区本町3-6-4(大阪本社) |
設立年月日 | 1930年5月5日創業、1945年2月2日設立 |
代表取締役社長 | 野村雅男 |
株式公開 | 東証1部 |
資本金 | 200億96百万円 |
事業内容 | LPガス、カセットこんろを中心としたエネルギー事業と、水素などの創業以来の産業ガス事業を基幹として、それらから派生した機械、溶材、電子機器、マテリアル、食品など幅広い分野で事業展開を図っています。
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岩谷産業は国内に59ヵ所の支社・支店があり、研究所も保有しています。また、世界中に事業会社を持っている、とても規模の大きな会社です。
岩谷産業株式会社の事業内容
総合エネルギー
岩谷産業のメイン事業です。産ガス国からLPガスを直接輸入し、国内で貯蓄から供給するような大規模な事業から、カセットこんろなどの調理器具の開発・販売まで多岐にわたっています。私たちもお世話になっている岩谷産業の商品があるのではないでしょうか。また、富士山麓から採水した水から、宅配天然水「富士の湧水」の事業や、化粧品の販売事業も展開しています。
産業ガス・機械
産業用ガスとして、広範囲のガスを取り扱っています。また、そのガスを取り扱うための周辺の設備の開発も行なっています。岩谷産業はガスだけてなく、様々な溶接材料や、産業機械の開発も行っており、国内の多くの産業を支えています。
マテリアル
ミネラルサンドを中心に、海外で資源開発、電子や触媒分野でのセラミックスの新たな素材開発に取り組んでいます。ステンレス・アルミ・高合金などの素材から、ワイヤー製品や岩谷産業独自の製品開発も行なっています。
自然産業
冷凍食品や、健康食品などの取り扱いや、岩谷産業のガス技術を応用した栽培システムへの事業展開も盛んです。国内への農業への貢献度も高いです。
以上の通り、岩谷産業は私たちの生活を豊かにする直接の製品から、他の産業を支えるような事業まで行っていて、私たちの生活になくてはならない存在です。
岩谷産業株式会社の企業理念
「世の中に必要な人間となれ、世の中に必要なものこそ栄える」
創業者岩谷直治の事業哲学を表現したもので、ダーウィンの「進化論」をヒントに、人も企業も狩猟型よりも息の長い農耕型の努力が必要だという思いが込められており、「世の中に必要とされるもの」が互いに扶け合うことに価値の基準を置き、社会や生活者の満足・CS(カスタマー・サティスファクション)を追い続けようというものです。
1.顧客が求める新しい価値を創造し、社会に貢献します。岩谷産業の企業倫理網領
2.関係法令の遵守及びその精神を尊重し、公正で自由な競争を通じ、社会的責任をはたします。
3.広く社会の共感、相互理解を得るために、積極的に企業情報を開示するとともに社会との対話を行います。
4.ゆとりと豊かさを実現するため、多様な価値観を尊重し、能力を充分発揮できる環境をつくります。
5.「住みよい地球がイワタニの願いです」との認識に立った、環境との共生をめざす企業活動を行います。
6.国際的な視野に立った企業経営を行います。
岩谷産業株式会社の事業ビジョン
岩谷産業は世の中に必要なものをということを掲げていて、その象徴の事業でもあるLPガス事業は、元々は主婦の台所労働を軽減しつつ家庭の燃料革命を進めてきていて、今では暮らしだけでなく、様々な事業や、アウトドア、緊急時に信頼できるエネルギーとして発展してきました。
また、中国や東南アジアにも届けられています。クリーンエネルギーの追求・実現を行ってきました。岩谷産業は住み良い地球を願っています。
岩谷産業の企業コンセプトとして、地球のかけがえのない資源であるガス&エネルギーを扱う企業として、今あるエネルギーを大切に、有効に、再利用できる形で使い、そのために新しい知恵を生み出すこと、これからの社会の原動力である新しいエネルギーを創り出すこと、としています。
ガス&エネルギーの価値を想像することが、岩谷産業の使命であり、地球の資源を扱う企業です。
岩谷産業株式会社の事業ポートフォリオ
1930(昭和 5)年 | 大阪市港区に岩谷直治商店を創業し、酸素・溶接棒・カーバイドの販売に取り組む。 |
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1945(昭和20)年 | 資本金19万8千円で岩谷産業(株)を設立。創業者岩谷直治が社長に就任。 |
1947(昭和22)年 | 大阪市東区本町3丁目に本社社屋建設。 |
1953(昭和28)年 | マルヰプロパンを家庭用に販売開始。 |
1930(昭和5)年 | 大阪市港区に岩谷直治商店を創業し、酸素・溶接棒・カーバイドの販売に取り組む。 |
1945(昭和20)年 | 資本金19万8千円で岩谷産業(株)を設立。創業者岩谷直治が社長に就任。 |
1947(昭和22)年 | 大阪市東区本町3丁目に本社社屋建設。 |
1953(昭和28)年 | マルヰプロパンを家庭用に販売開始。 |
1962(昭和37)年 | 大証・東証第2部に上場、1965年に第1部に昇格。 |
1964(昭和39)年 | オーストラリアAMA社の日本総代理店となりミネラルサンドの取り扱いに拍車。東京オリンピック聖火に、マルヰプロパンが採用される。 |
1966(昭和41)年 | カナダからLPガスの輸入開始。 |
1969(昭和44)年 | ガス漏れ警報器“みはり”とホースノンこんろ“カセットフー”の2大ブランド商品開発、発売。大阪・東京の2本社制となる。 |
1970(昭和45)年 | 大阪本社を中央区本町3丁目4番8号に移転。企業スローガンに「住みよい地球がイワタニの願いです」を採用。 |
1972(昭和47)年 | 中国の友好商社に指定され中国貿易本格化。 |
1973(昭和48)年 | 岩谷直治記念財団発足。 |
1975(昭和50)年 | 大阪ガス(株)と合弁で(株)コールド・エアー・プロダクツを設立し、空気分離によるガスの製造分野に進出。 |
1977(昭和52)年 | 川崎製鉄(株)の一次商社となり、金属部門を拡大。 |
1978(昭和53)年 | 初の本格液化水素製造プラント完成。1986年からの全H型宇宙開発ロケットに液化水素を供給。 |
1980(昭和55)年 | 創業50周年。堺LPG輸入ターミナル完成(8万トン強)、翌年ペトロミンよりLPガスの直輸入開始。 |
1985(昭和60)年 | 米ユニオン・カーバイド社と工業ガス分野で業務提携を締結。岩谷直治会長・齋藤興二社長体制船出。 |
1986(昭和61)年 | 第2次生活創業を提唱し、ライフアップ事業スタート。 |
1987(昭和62)年 | Iwataniのロゴマーク採用。滋賀技術センター(守山市)を開設。NHK交響楽団と事業協力に着手し、1993年には同楽団から「有馬賞」を受賞。 |
1989(平成元)年 | 大連市との合弁会社・大連岩谷气体机具有限公司設立を皮切りに、中国で各種の合弁事業を展開。 |
1990(平成2)年 | 創業60周年。 |
1991(平成3)年 | “第1回メセナ大賞1991”で「メセナ賞」を受賞。 |
1993(平成5)年 | マルヰプロパン発売40周年を記念し、ブランドをMaruiGasに改新。 |
1994(平成6)年 | 鹿島共同備蓄LPGターミナル(22.5万トン)と喜連川セパレートガスプラント完成、稼働開始。 |
1995(平成7)年 | 阪神・淡路大震災被災地にカセットフー緊急輸送。経団連より第11回企業広報賞の“優秀賞”を受賞。 |
1997(平成9)年 | 「イワタニグループ環境憲章」制定。東京本社を現在地に移転。 |
1998(平成10)年 | 楊井立夫社長、岩谷直治名誉会長体制となる。 |
1999(平成11)年 | 1998年の東京本社・首都圏支社他に続き、大阪本社・近畿支社でISO14001の認証を取得。2000年には支社以上の全事業所での一括拡大認証を取得。 |
2000(平成12)年 | 創業70周年。牧野明次社長就任。翌年にかけ関西・中部・北陸の電力3社他とそれぞれLNG販売会社を設立。世界初、LPガス燃料でディーゼル車を走らせる技術を工業技術院などと開発。簡易型LPガススタンド「セルフステーションα」開発。 |
2001(平成13)年 | 高度な専門技術を誇る「ガス保安検査(株)」を設立。 |
2002(平成14)年 | 国内初の大阪に続いて、横浜にも「水素ステーション」を完成。国内初の「移動式水素ステーション」開発と相俟って、水素のインフラ整備に先鞭。 |
2003(平成15)年 | 民間企業初、2台の燃料電池車(「Honda~~~FCX」と「トヨタFCHV」)を購入し、全国各地で展示・試乗会を展開。当社3ヵ所目の水素ステーションを東京・有明に完成。次世代エネルギー・DMEを燃料とする小型トラックや福祉マイクロバスも共同開発。 |
2004(平成16)年 | 執行役員制度を導入。日本初、燃料電池車で東京-大阪問の長距離・高速道走行を実現。新潟県中越地震被災地にカセットこんろとガスを緊急出荷し、合わせてMaruiGas災害救援隊を派遣した。 |
2005(平成17)年 | 四国における地域分社・四国岩谷産業(株)設立。関西電力(株)と液化水素方式による移動式水素ステーションを共同開発。東芝燃料電池システム(株)と一般家庭にLPガス改質型家庭用燃料電池コージュネを設置し、実証運転を開始。 |
2006(平成18)年 | イワタニグループが推進したわが国3番目のLPガス国家備蓄基地「神栖国家石油ガス備蓄基地(20万トン)」完成。マツダ(株)が開発した水素ロータリーエンジン車「RX-8ハイドロジュンRE」を購入。2004年に堺LNG(株)と設立した「(株)ハイドロエッジ」の液化水素、並びに空気分離ガスプラントが運転開始。中期経営計画「PLAN08」を対外発表。国際水素エネルギー協会の「コンスタンチン・ツィオルコフスキー賞」受賞。水素社会早期実現に向け「水素エネルギーフォーラム」を開催。 |
2007(平成19)年 | 能登半島地震被災地にはMaruiGas災害救援隊を派遣し、新潟県中越沖地震ではカセットフーほかを輸送。東日本でのステンレス加工・販売の(株)INステンレス加工センター設立。関西空港水素ステーション完成稼働。グループの甲賀エナジー(株)で天然ガスを供給開始。種子島から稚内の「日本縦断燃料電池車・水素自動車キャラバン」で水素サイエンス教室などを各地で開催。 |
2008(平成20)年 | デリー駐在員事務所を開設。関東圏でも産業向けにLNGを供給開始。英文社名をIwataniCorporationに改訂。室温でオゾンガスを濃縮する新技術を開発。京都大学と三フッ化塩素(CIF3)ガスを用いた半導体製造向けガスクラスターエッチング技術を開発。低炭素社会の早期実現目指して、2006年より東京で開催の「水素エネルギーフォーラム」を、東京・大阪・福岡の3会場で主催。 |
2009(平成21)年 | 当社の水素エネルギー啓発活動が「第18回地球環境大賞」でフジサンケイビジネスアイ賞を受賞。「サウジアラムコ-岩谷産業緊急災害時LPガス支援基金」を共同設立。東日本初の液化水素製造プラント、岩谷瓦斯㈱千葉工場で竣工。家庭用燃料電池「エネファーム」本格販売開始。「西日本水素ハイウェイ実証デモンストレーション」で、堺市から北九州市まで水素自動車4台で626㎞を走行。「北九州水素ステーション」完成稼働。~~~純水素型小型燃料電池搭載「水素自転車」を開発。福井LPGセンター新設。 |
2010(平成22)年 | 創業80周年。カタールより、日本企業として初めてヘリウムを直接輸入する権益を取得。堺、岡崎の機能を集約し、大阪ヘリウムセンターが稼働・竣工。全国計80校の小学校で、「環境」と「水素エネルギー」に関する授業である「水素エネルギー教室80」を開催。大阪本社を現在地(中央区本町3丁目6番4号)に移転。 |
2011(平成23)年 | 東日本大震災発生、カセットこんろ35万台、カセットボンベ905万本を緊急出荷。業界初、滋賀技術センターが「国際試験所規格」ISO17025を取得。東京本社ビルの空調を一部LPガスによるGHPに変換、節電に努める。現地法人インド岩谷会社を設立。クライオ事業(低温機器製造・販売事業)、エーテック株式会社の96%株式を取得、連結子会社化。カセットガスストーブが「2011年度日経優秀製品・サービス賞」優秀賞を受賞。 |
2012(平成24)年 | 基幹LPGセンター11ヵ所の整備完了。埼玉県庁にソーラー水素ステーションを設置。~~~水素ガスベースの新溶断混合ガス「ハイドロカット」を開発。牧野明次会長兼CEO、渡邊敏夫副会長、野村雅男社長体制となる。「金沢LPGセンター」移転。災害時に役立つ「炊き出しステーション」新発売。簡易株式交換により、岩谷瓦斯(株)を完全子会社化。 |
2013(平成25)年 | 新たな技術拠点として兵庫県尼崎市に「中央研究所」が完成、営業開始。「富士の湧水」を原料に使用した化粧品「fujina」を新発売。70MPa商用実証水素ステーション「とよたエコフルタウン水素ステーション」完成。山口県周南市に国内3ヵ所目の液化水素製造プラント「山口リキッドハイドロジェン」が運転開始。 |
2014(平成26)年 | 日本初の商用水素ステーション「イワタニ水素ステーション尼崎」が開所。当社が長年培った排ガス処理技術を応用し、名古屋工業大学、上田石灰製造株式会社と共同で蛍石合成技術を世界で初めて確立。九州初の商用水素ステーション「イワタニ水素ステーション小倉」が開所。国内4ヵ所目の液化炭酸製造プラント「堺カーボニクス」を設立。 |
2015(平成27)年 | 日本初の商業用移動式水素ステーション開設へ豊田通商、大陽日酸との3社共同で水素供給の新会社を設立。東京タワー近傍に商用水素ステーション「イワタニ水素ステーション芝公園」開所。 |
以上の通り、岩谷産業は歴史ある企業であることがわかりますし、積極的に国内、海外の拠点を広げていることがわかります。また、新技術への研究開発も盛んで、様々な研究所を開所しています。
まだ私たちの記憶にも鮮明な東日本大震災時には、ガスの配給が止まった地域へたくさんのカセットコンロやガスボンベを出荷しました。岩谷産業が国が認めている商品を開発しているという実績であり、大きく社会に貢献していることがわかります。
また、岩谷産業はよりクリーンなエネルギーとして、液化水素の研究開発も盛んに行っていて、上記の年表を見れば、何回も燃料電池の実験を行っていることがわかります。岩谷産業はガスだけでなく、新たなエネルギー開発も積極的です。
私たちの暮らし、産業、地球を支える企業である岩谷産業株式会社
岩谷産業のご紹介をしました。今使っているものが、実は岩谷産業の知恵をどこか借りて出来上がっている商品かもしれません。岩谷産業はガス&エネルギーを中心として、私たちの暮らしや産業を支えています。環境に優しいクリーンエネルギーの研究開発にも積極的に取り組んでいて、岩谷産業は地球にも優しい企業と言えます。たくさんの海外のネットワークも持っています。
これからの日本や世界、地球規模でガスやエネルギー事業に携われるかもしれません。