株式会社ニコンの概要と沿革
まず、ニコンの基本情報は以下の通りです。
【ニコンの概要】
社名 | 株式会社ニコン(NIKON CORPORATION) |
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本社所在地 | 東京都港区港南2-15-3 品川インターシティC棟 |
設立年月日 | 1917年(大正6年)7月25日 |
取締役社長兼社長執行役員 | 牛田 一雄 |
株式公開 | 東証一部上場(証券コード:7731) |
資本金 | 65,475 百万円(2016年3月末現在) |
事業内容 | 光学機械器具の製造、ならびに販売 |
ニコンは東京都港区に本社を置いています。創業は、1917年に東京計器製作所の光学計器部門と、岩城硝子製造所の反射鏡部門が統合したことに、三菱合資会社からの出資によって「日本光学工業株式会社」として誕生しました。ですのでこの設立に影響を与えた三菱グループとは繋がりが深く、現在もニコンは三菱グループの一員で日本の大手メーカーとして事業を展開し続けています。そして、原点であり今も作り続けている小型カメラ、ニコンシリーズから名をとり、1988年にそのまま社名をニコンへと変更し今に至ります。
それではニコンの歴史を沿革で見ていきましょう。
ニコンは本当に歴史が古く、常に新しい製品開発、そして新しい市場を模索してきた結果、沿革が少し長いですが是非ともご覧ください!
【ニコンの沿革】
1917年 | 東京計器製作所の光学計器部門と岩城硝子製造所の反射鏡部門を統合、三菱合資会社社長岩崎小彌太氏の出資をもって「日本光学工業株式会社」を設立(直後に藤井レンズ製造所を合併) |
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1918年 | 大井第一工場(現 大井製作所)完成 |
1918年 | 光学ガラスの製造研究に着手 |
1921年 | 超小型双眼鏡「ミクロン4×、6×」発売 |
1925年 | 「JOICO顕微鏡」発売 |
1931年 | 8インチ天体望遠鏡を東京科学博物館(現 国立科学博物館)に納品 |
1932年 | 写真レンズの名称をNIKKOR(ニッコール)に決定 |
1945年 | 第二次世界大戦終結にともない、双眼鏡、写真機、顕微鏡、測量機、測定機、メガネレンズ等の民生用光学機器の生産に転換 |
1946年 | メガネレンズ「ポインタール」発売 |
1946年 | 小型カメラの名称をNikon(ニコン)に決定 |
1947年 | 測量機「レベルE型」「トランシットG型」発売 |
1948年 | 小型カメラ「ニコンI型」発売 |
1948年 | 「万能投影機一型」発売 |
1949年 | 東京および大阪証券取引所に株式上場 |
1950年 | ニューヨーク・タイムズ、ニコンカメラ、ニッコールレンズの優秀性能を世界に紹介 |
1952年 | 写真文化の向上のため「ニッコールクラブ」設立 |
1953年 | 米国にカメラ等の輸入・技術サービス・市場調査を行うNikon Optical Co., Inc.(現 Nippon Kogaku (U.S.A.) Inc.)を設立 |
1954年 | 「実体顕微鏡SM型」発売 |
1955年 | 「位相差顕微鏡装置」発売 |
1959年 | 一眼レフカメラ「ニコンF」発売 |
1961年 | スイスにNikon AG設立 |
1962年 | 超高解像力レンズ「ウルトラマイクロ・ニッコール」発売 |
1963年 | オールウェザーカメラ「ニコノス」発売 |
1964年 | ルーリングエンジン1号機納品 |
1968年 | フォトギャラリー「銀座ニコンサロン」開設(1971年「新宿ニコンサロン」開設、1974年「大阪ニコンサロン」開設) |
1968年 | (株)橘製作所(1977年(株)水戸ニコン、2007年(株)水戸ニコンプレシジョンに社名変更、2010年解散)設立 |
1968年 | 「光電式ロータリーエンコーダRIE型」発売 |
1968年 | オランダにNikon Europe N.V.(現 Nikon Europe B.V.)設立 |
1969年 | 第1回ニコン フォトコンテスト・インターナショナル(現 ニコン フォトコンテスト)作品募集 |
1971年 | アポロ15号に「ニコンフォトミックFTN」が搭載される |
1971年 | 精密光波測距装置「MND-2」発売 |
1971年 | 西ドイツ(現 ドイツ)にNikon Vertriebs GmbH(現 Nikon GmbH)設立 |
1976年 | 顕微鏡「バイオフォト」「メタフォト」発売 |
1978年 | カナダにNikon Canada Inc.設立 |
1979年 | 英国にNikon U.K. Ltd.設立 |
1980年 | 一眼レフカメラ「ニコンF3」発売 |
1980年 | 超LSI製造用縮小投影型露光装置「NSR-1010G」発売 |
1981年 | 米国にNikon Americas Inc.設立 |
1981年 | チタンフレーム「チテックス」発売 |
1981年 | 米国のEhrenreich Photo-Optical Industries, Inc.の全株式を取得し、Nikon Inc.に改称 |
1981年 | 「ニコンフィールドスコープ」発売 |
1982年 | ウェハ検査顕微鏡装置「オプチステーション」発売 |
1982年 | 米国にNikon Precision Inc.設立 |
1983年 | コンパクトカメラ「ニコンピカイチ(L35AF)」発売 |
1984年 | 35mmフィルムダイレクト電送装置「NT-1000」発売 |
1985年 | トータルステーション「DTM-1」発売 |
1986年 | 香港にNikon Hong Kong Ltd.設立 |
1986年 | 三次元測定機「トライステーション600/600M」発売 |
1986年 | 一眼レフカメラ「ニコンF-501」発売 |
1986年 | フランスにNikon France S.A.(現 Nikon France S.A.S.)設立 |
1986年 | 大型基板用露光装置「NSR-L7501G」発売 |
1988年 | 縮小投影型露光装置「NSR-1505EX」発売 |
1988年 | ニコンカメラ販売(株)(現 (株)ニコンイメージングジャパン)設立 |
1988年 | 「株式会社ニコン」に社名変更 |
1988年 | 西ドイツ(現 ドイツ)にNikon Precision Europe GmbH設立 |
1990年 | 韓国にNikon Precision Korea Ltd.設立 |
1990年 | タイにNikon (Thailand) Co., Ltd.設立 |
1991年 | ハンガリーにNikon Kft.設立 |
1993年 | イタリアにNikon Instruments S.p.A.設立 |
1993年 | 累進焦点メガネレンズ「プレシオFX/DX」発売 |
1994年 | チェコにNikon s.r.o.設立 |
1995年 | CNC画像測定システム「NEXIV」発売 |
1995年 | デジタル一眼レフカメラ 「E2/E2s」発売 |
1995年 | 縮小投影型露光装置「NSR-S201A」発売 |
1995年 | シンガポールにNikon Singapore Pte Ltd設立 |
1995年 | 台湾にNikon Precision Taiwan Ltd.設立 |
1995年 | スウェーデンにNikon Svenska AB(現 Nikon Nordic AB)設立 |
1996年 | 米国にNikon Research Corporation of America設立 |
1996年 | ネイチャースコープ「ファーブル」発売 |
1996年 | 研究用生物顕微鏡「ECLIPSE E800」発売 |
1997年 | 中国にGuang Dong Nikon Camera Co., Ltd.設立 |
1997年 | デジタルカメラ「COOLPIX 100/300」発売 |
1999年 | ノンプリズム機能搭載型トータルステーション「GF-212/215C」発売 |
1999年 | 中国にNanjing Nikon Jiangnan Optical Instrument Co., Ltd.設立 |
1999年 | デジタル一眼レフカメラ 「D1」発売 |
1999年 | 中国にHang Zhou Nikon Camera Co., Ltd.設立 |
2000年 | フランスのエシロールインターナショナル社との合弁企業(株)ニコン・エシロール設立 |
2000年 | 「ビジョン Nikon21」を策定。企業理念「信頼と創造」が制定される |
2000年 | シンガポールにNikon Precision Singapore Pte Ltd(2013年、Nikon Singapore Pte. Ltd.に吸収合併)設立 |
2000年 | 液晶ディスプレイ用露光装置「FX-21S」発売 |
2000年 | 国立天文台の大型光学赤外線望遠鏡「すばる」プロジェクトに、高分散分光器「HDS」と微光天体分光撮像装置「FOCAS」を納品 |
2000年 | オランダにNikon Holdings Europe B.V.設立 |
2000年 | 米国のNikon Instruments Inc.営業開始 |
2001年 | 望遠鏡事業を独立分社化、(株)ニコンビジョン設立 |
2001年 | マレーシアのNikon (Malaysia) Sdn. Bhd.営業開始 |
2002年 | オランダのNikon Instruments Europe B.V.営業開始 |
2002年 | 中国にNikon Imaging (China) Co., Ltd.設立 |
2002年 | 中国にNikon Precision Shanghai Co., Ltd.設立 |
2003年 | ニコングループの新ブランドシンボル制定 |
2003年 | 米国のトリンブルナビゲーション社との合弁企業(株)ニコン・トリンブル設立 |
2003年 | 中国にNikon Instruments (Shanghai) Co., Ltd.設立 |
2003年 | ポーランドのNikon Polska Sp. z o.o.営業開始 |
2004年 | 一眼レフカメラ「ニコンF6」発売 |
2005年 | 韓国のNikon Instruments Korea Co., Ltd.営業開始 |
2005年 | 中国のNikon Imaging (China) Sales Co., Ltd.営業開始 |
2006年 | ArF液浸スキャナー「NSR-S609B」発売 |
2006年 | 韓国のNikon Imaging Korea Co., Ltd.営業開始 |
2006年 | オーストラリアのNikon Australia Pty Ltd営業開始 |
2007年 | 細胞培養観察装置「BioStation CT」発売 |
2007年 | (株)ニコンライフと(株)ニコンロジスティクスと(株)ニコン技術工房が合併し、(株)ニコンビジネスサービス発足 |
2007年 | 中国のNikon International Trading (Shenzhen) Co., Ltd.営業開始 |
2007年 | インドのNikon India Private Limited営業開始 |
2007年 | デジタル一眼レフカメラ「D3」発売 |
2008年 | ロシアのNikon (Russia) LLC.営業開始 |
2009年 | フランスのエシロールインターナショナル社との合弁企業(株)ニコン・アンド・エシロールインターナショナル・ジョイントリサーチセンター設立 |
2009年 | 液晶スキャナー「FX-101S」発売 |
2009年 | メキシコのNikon Mexico S.A. de C.V.営業開始 |
2009年 | ベルギーのMetris NV(現 Nikon Metrology NV)を完全子会社化 |
2009年 | ArF液浸スキャナー「NSR-S620」発売 |
2010年 | 国際宇宙ステーション(ISS)でデジタル一眼レフカメラ「D3S」、「D3X」、NIKKORレンズが使用される |
2010年 | 超解像顕微鏡「N-SIM」「N-STORM」発売 |
2010年 | 香港にNikon Holdings Hong Kong Limited設立 |
2010年 | 非接触マルチセンサー3D計測システム「HN-6060」発売 |
2011年 | タイのNikon Sales (Thailand) Co., Ltd.営業開始 |
2011年 | ブラジルのNikon do Brasil Ltda.営業開始 |
2011年 | レンズ交換式アドバンストカメラ「Nikon 1 J1」「Nikon 1 V1」発売 |
2012年 | デジタル一眼レフカメラ「D4」発売 |
2012年 | アラブ首長国連邦(UAE)ドバイのNikon Middle East FZE営業開始 |
2013年 | インドネシアのPT Nikon Indonesia営業開始 |
2013年 | コンパクトデジタルカメラ「COOLPIX A」発売 |
2013年 | ラオスにNikon Lao Co., Ltd.設立 |
2013年 | シンガポールにNikon Asia Pacific Pte. Ltd.設立 |
2013年 | レンズ交換式アドバンストカメラ「Nikon 1 AW1」発売 |
2014年 | パナマ共和国のNikon Latin America, S.A.営業開始 |
2014年 | 本社を品川インターシティC棟に移転(東京都港区港南二丁目) |
2015年 | 英国のOptos Plcを完全子会社化 |
2015年 | (株)ニコン・セル・イノベーション設立 |
2015年 | 「ニコンミュージアム」開設 |
2016年 | デジタル一眼レフカメラ「D5」発売 |
2016年 | オーストリアのNikon CEE GmbH営業開始 |
2016年 | アクションカメラ「KeyMission 360」「KeyMission 170」「KeyMission 80」発売 |
2016年 | 英国のMark Roberts Motion Control Limitedを完全子会社化 |
100年近い歴史の中で、ニコンが国内だけではなく、いち早く世界へも目を向けてきたことがお分かりいただけたかと思います。現在ではニコンは、アメリカをはじめヨーロッパ、そしてアジア全域などの世界中に50以上の事業拠点をおいています。まさに日本が世界に誇れる大企業の一つです。わたし達が直接触れる機会の多いデジタルカメラなどの製品から、専門分野で活躍している顕微鏡や、細胞の培養観察装置、近年では3D技術も取り入れるなど多くの分野から絶大な評価をニコンは得ています。
株式会社ニコンの企業理念・ビジョン
次に、ニコンの経営ビジョンをまとめていきます。
【企業理念】
信頼と創造ニコンHP:経営理念・ビジョンより引用
「信頼と創造」という企業理念は、シンプルな言葉ですが、実現することは決して容易ではありません。
私たちは、これまで大切にしてきたこの言葉を、変わることのないテーマとして、これからも掲げていきます。
【私たちのありたい姿】
期待を超えて、期待に応える。ニコンHP:経営理念・ビジョンより引用
お客様の求めているものに応えるだけでなく、期待以上の価値を提供すること。
それは、「私たちのありたい姿」であり、未来に向けた私たちのビジョンです。
【私たちの心掛け】
「果敢に行動する力」ニコンHP:経営理念・ビジョンより引用
広い視野と知恵をもって、すばやく果敢に行動する。
「伝え、感じる力」
既成の枠を越えて、伝え、感じ、多様な才能・技術を融合する。
「探究する心」
自らを磨き、飽くなき探究心によって可能性を切り拓く。
「誠実な心」
責任ある個人として、つねに真摯な姿勢で取り組む。
「私たちのありたい姿」を実現するために、全員で実践していく日々の心掛けです。
戦前から今に至るまでの長い歴史を歩んできたニコンの経営理念には、信頼と創造という言葉があります。決してこれは簡単に実現できるものではないと書いてありますが、容易ではないからこそ常にそれを目指し、実現への試行錯誤を重ねてきた姿勢が、今のニコンをここまでの企業へと押し上げた結果として表れてますね。一般的な製品から、専門的な精密な機器に至るまで、常に顧客のニーズ以上を意識していくことで新しいものの開発、製品化に繋がっていってるんだと思います。
株式会社ニコンの事業内容
ニコンの事業内容は以下の通りです。
精機事業ニコンHP:事業内容より引用
半導体を製造する半導体露光装置や、液晶パネル・有機ELパネルを製造するFPD露光装置の開発・製造を通じて、エレクトロニクス社会を支えています。
映像事業
長い歴史に支えられたカメラづくりのノウハウとテクノロジー、そしてデジタル画像技術によって、映像の可能性を広げ続けています。
インストルメンツ事業
バイオサイエンスから産業分野まで、“ミクロを見つめる目”、そして“確かな精度を持つ目”を提供することで、社会の発展を支えています。
メディカル事業
医療分野における予防、診断、治療、予後管理の各段階でのアンメットメディカルニーズ(未充足の医療ニーズ)に応える新たな技術や機器、サービスの開発を進めています。
その他の事業
メガネレンズなどの身近な製品から、産業や宇宙に関わる最先端技術の開発まで、多彩な事業の製品・技術を通じて、科学技術や産業・社会の進化に貢献しています。
現在、ニコンは大きく分けて、〔精密事業〕〔映像事業〕〔インストルメンツ事業〕〔メディカル事業〕〔その他の事業〕の様な事業を展開しています。ニコンの事業別の売り上げ比率を見てみると、2016年度売上高約8200億円のうち、映像事業が63.2%次ぐ精密事業が22.2%残りがインストルメンツ、メディカル、その他と続きます。映像事業がニコンの売り上げ比率からも分かるように主体になっていることがわかります。ですが、これは単純に割合が低いから悪いというわけではなく、需要数の圧倒的な違いがあるためでしかありません。ニコンがカメラだけではないとお分かりいただけたら十分です!
世界に誇る技術を持つのがニコン、そしてアポロで宇宙にも行ったのも株式会社ニコン!
いかがでしたでしょうか?現在ニコンは世界各地に事業所を持ち、その技術の結晶である製品を世界中の人々へ届け続けています。地域別の地域別売上構成を見てみても、日本が全体の14.2%に対し、アメリカが25.4%、中国が17%となっておりニコンが日本が世界に誇る企業だということがお分かりいただけると思います。時代は3D技術の進歩でまた変わりつつあります。そんな映像業界に更なる新しい風をもたらしてくれるであろうニコンを期待して見ていきたいですね!