株式会社コロンバン 倒産寸前から奇跡の復活。老舗洋菓子メーカー 波乱万丈の再生物語 株式会社コロンバン 代表取締役社長 小澤 俊文  (2019年11月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】

テクノロジーの発展とともに変化を続ける消費者の生活環境に合わせ、メーカーもまた変化を求められている現代。

洋菓子業界も例外ではなく、この変化に対応ができず、その歴史に幕を下ろす洋菓子店も少なくない。

そんな中、倒産寸前の状態からヒット商品を連発し、V字回復を成し遂げた企業がある。株式会社コロンバンだ。

日本初の本格的なフランス菓子店として1924年に創業。

本店サロンがある東京都・原宿の名を冠した『原宿ロール』や、大学の校章入りクッキーなど数多くのヒット商品を生み出した、業界屈指の老舗メーカーである。

しかし2000年代に入り、一時は売上が100億以上落ち込むという絶体絶命の危機を迎えていた。

この状況を打破すべく、大手都市銀行から出向してきたのが現代表取締役社長、小澤俊文だ。

当時の社長の命令で、ある工場へ出向いた際、小澤は大きな決断をすることとなる。

【小澤】

衝撃を受けました。言い方は悪いのですが、生きて帰れないのではと思いました。

【ナレーター】

再建は困難と言われていた企業をV字回復へ導いた経営者の、奇跡の物語に迫る。

【ナレーター】

監査役として出向を命じられた当時のコロンバンの状況について、小澤は次のように語る。

【小澤】

平成16年に、そもそも再建可能かどうかを見極めるために出向したのです。

当時コロンバンは極端な右肩下がりで衰退していました。120~130億円あった売上が、私が来た時には30億円まで落ちていた状態だったのです。

しかし元々の規模が大きかったため、売上が100億円落ちていても表面上は変わりなく見せることができていました。

例えば、私が来る前、8つあった工場は、5つを売却していて3つしか残っていませんでした。つまり資産を売ってつないでいるということです。

これを「減収増益構造」というのですが、売上はどんどん落ち込んでいても、含み益のある工場や物件などの不動産を売却したため利益が計上されるのです。

保有する資産を次々と売却して何とかつないでいるという状況だったのですね。

これまで他行からも何人か出向者が来ていたのですが、前の経営者に皆帰されてしまったようでした。

私に白羽の矢が立ったのは、銀行の中でもかなり跳ねっ返りと言われていましたので、小澤なら猫の首に鈴をつけることができるのではないか、という考えだったようですね。

【ナレーター】

出向後、当時のコロンバンの経営者からは、工場や売り場などの現場には行かないようにと指示を受け、会計資料と向き合う毎日を過ごす。

しかし急遽、大阪にある工場に向かうようにと言われ、向かった小澤は、初めて現場の状況を目の当たりにし愕然とする。

【小澤】

その日のことはもう鮮明に覚えていますよ。

何も知らないまま訪ねて行き、工場にたどり着いた時にはすでに従業員の皆さんが激怒しているんです。

監査役が何をしに来たのかと詰問され、4階の支店長室の宿泊施設に連れ込まれて、何十人もの人に囲まれながら「本社のスパイなのか!?」と詰め寄られました。

始めは何のことか全くわからなかったのですが、色々話を聞いてみると、当時の社長が何の前触れもなく、組合への断りもなく工場を急遽閉鎖すると通達していたことがわかりました。

従業員たちの怒りはすさまじく、何も知らなかった私は「大変なところに来てしまった」と思いましたね。

【ナレーター】

実は、小澤が訪問する数日前、突然社長が当時約100名の従業員が勤務する大阪工場を閉鎖すると通達していたのだ。

この事実を聞いた瞬間、小澤は覚悟を決めたという。

【小澤】

腰を据えて話をしようと決めました。

「怒っても喧嘩をしても仕方がない、全員の話を聞くから、とにかく話をしよう」と呼びかけたのです。

すると、聞けば聞くほど「それはおかしい、声をあげて当然だ」という話が出てきたので、「皆さんの気持ちはわかりました。ここは私に預からせてほしい、本社に帰って必ず工場の閉鎖を阻止するので、待っていてほしい」と話して本社へ持ち帰りました。

そして本社に帰った後、前社長と大喧嘩になったんですね。

「社長、あまりにも理不尽すぎます。閉鎖するなら閉鎖するなりのきちんとした説明をしたり、組合に筋を通したりするべきです。これでは労働争議になります。当社全体の問題なり、社会的な責任も出てきますよ」と話して、閉鎖を阻止したのです。

この経験を経て、初めて従業員の熱い想いに触れました。

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経営者プロフィール

氏名 小澤 俊文
役職 代表取締役社長
生年月日 1953年11月21日
出身地 神奈川県
座右の銘 為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の為さぬなりけり
愛読書 『坂の上の雲』、『勝つためには何をするか』
尊敬する人物 平清盛、織田信長、渋沢栄一
著書 テスト
略歴
1976年 4月 三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。
1992年 4月 築地支店副支店長
1997年 4月 中目黒支店長
2000年 4月 亀戸支店長
2002年10月 神奈川公務法人部長
2004年10月 参与(東京)に就任
2004年11月 株式会社コロンバン 監査役に就任
2005年11月 常務取締役管理本部長に就任
2006年11月 代表取締役社長に就任 現在に至る

会社概要

社名 株式会社コロンバン
本社所在地 東京都中央区銀座8-17-5
設立 1924
業種分類 食料品
代表者名 小澤 俊文
従業員数 309名(令和4年9月)
WEBサイト http://www.colombin.co.jp/
事業概要 ●洋菓子製造・販売 ●喫茶室の運営 ●不動産賃貸(渋谷コロンバンビル他)●養蜂及び関連商品の製造・販売
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