株式会社ワコム ~「渦」を巻き起こせ。液晶ペンタブレットトップメーカーの挑戦~

株式会社ワコム   代表取締役社長兼CEO 井出 信孝   (2020年10月取材)

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【ナレーター】
様々な経験を経て、徐々に自身の型を身に着けキャリアを重ねていった井出。しかし、今の仕事の中で次にやりたいことが見えず、環境を変えようと転職を決意。そこで出会ったのがワコムだった。知られざるワコム入社のエピソードに迫った。

【井出】
ワコムのホームページがすごく面白かったんですよね。

煉瓦の壁の絵を出していて、「この壁を見てあなたはどう思いますか?」という問いかけがあって。100人の人がこの絵を見たら、100人の思いやイメージがある、その100人のイメージを表現することを支えるのがワコムなんですと書いてあって、しびれました。これもロジックではないのですが、「この会社に行きたい」と思いましたね。

応募したところ、書類選考で落とされました。しかし、その煉瓦のメッセージがどうしても頭から離れなくて、手紙を書いたんですね。

この間は自分のことをちゃんと伝えられなかったかもしれないので、もう1回、考えを書きますと。A4で2枚ぐらいの手紙を書いて、それをエージェントさんに託し「何とかワコムに届けてください」とお願いしました。

すると、違うポジションの応募があって、そこにエージェントさんがねじ込んでくれて。何か変な奴が来たという感じで、実は応募を出していない非公開のポジション、そこを紹介しますということで、無事入社することができました。

本当に奇跡ですね。ただ、ネット上で会った1人のエージェントさんなのですが、今でもお付き合いがあります。

【ナレーター】
ワコム入社後も順調にキャリアを重ね、2018年に代表取締役社長兼CEOへ就任。井出が目指すワコムの将来像とは。

【井出】
この仕事をするために生まれてきました、というような気持ちがあるんですよ。

正直に言うと、会社を極限まで大きくしようとか、そういう思いではなくて、ここまで30何年間やってきたワコムの使命があると思っています。

なぜワコムが生まれて、今まで社会で存在を許されていて、これから何をしていかなければいけないのか。

ビジネスもそうだし、技術イノベーション、お客様に体験を提供するとか、本当に色々なものがあるんですが、やはり、何か本当に揺るがない使命があると思っていて、その使命をつないでいくことを奇しくも託された。

19歳のキャンバスライフから今日に至るまでの経験というのはこの日のためにあったって、本気で思っているんです。その思いは揺るがないです。

【ナレーター】
組織マネジメントにおいて、井出はメソッドやセオリーなどは一切ないと言い切る。そのマネジメント術の原点に迫った。

【井出】
たった1個です。

これまでの職場環境が良くなかったなと思いながら、この真逆をやりたかったと思ったことを全部やっている、それだけなんですね。

エッセンシャル的なセオリーもなく、培ってきた理論とかMBAのフレームも何もなく、ただただ、自分が思い切り全速力で働いてきた経験の中で、「こんなふうに働けたらもう死ぬほど楽しかったはずだ」「こんなふうに周りの上司がやってくれたから自分はここにあるんだ」というのを全部やっている、それだけです。

【ナレーター】
今後の成長のキーワードとして「渦」を挙げた井出。その真意について、次のように語る。

【井出】
どういう成功を持ち込みたいかというよりも、軌跡を経ていきたいというところが、僕の中ではポイントになっているんですね。

こういう技術イノベーションを起こしたいですとか、こういう体験をつくりたいとか、ものすごくありますが、一番やりたいことは仲間たちと、コミュニティーと、社会と一緒に「渦」をつくっていくようなイメージなんですよ。

ワコムと一緒にやっていると面白いよね、とか、ワコムの縁なんですよ、とか。そういう渦、軌跡がどんどん出てくる、そういうことを巻き起こしていく存在になるためにはどうしたらいいかを考えています。

ムーブメント、ワクワクするような渦をつくり出して、社会を活性化していく存在になっていくんだという問いの立て方というのは、ひょっとしたら今後の企業のあり方、資本主義のシステムの中で、何か今までとは違う社会をつくっていく新しいアプローチなんじゃないかというのを僕は思っています。その挑戦をしたいですね。

【ナレーター】
2020年11月に行われた自社主催のイベント『コネクテッド・インク』は、社内・社外問わず、渦を巻き起こす象徴的な例のひとつだ。このイベントの意義について、井出は次のように語る。

【井出】
僕らは「創造的なカオス」と呼んでいるのですが、カオスが、渦が巻き起こる日でもあって、そこに色々な人が、色々なものを持ち込んで。ビジネスもあればテクノロジーも、アートも社会的な意義も、ソーシャルイニシアチブ、色々なものが雑多になって集まっているのです。

何か意味のある渦ができるかもしれない、集ってくれる仲間たちがいるというのを僕は実感を持っていますね。

色々な悪いことも、良いことも、明るいことも、暗いことも全部あるんですけど、希望みたいなものに対して祈っていく。本当に何万年も前から人間がやっている行為というのは実は続いてきていて。

そういうところにもう一度、人間が対峙する、僕らはそういう希望や祈りといった、本来人間が持っているようなものを、僕らの持っている技術と仲間たち、コミュニティー、すべての力を使って支えていくのが使命なのではないかなと思っています。

-視聴者へのメッセージ-
【井出】
僕はすべて、「縁」や「一期一会の出会い」みたいなものをいつも意識しています。

こういうふうにひょんなことから僕の動画を見ていただいたことも、縁だとか一期一会の大切な出会いなんじゃないかなと思っていて。

もしさらなる縁があれば、同じ会社で一緒に働くというのもあるかもしれないですし、同じ会社じゃなくてもコミュニティーや社会の中で、必ずどこかクロスする瞬間というのはあると思っています。

またそういう時に、何か一緒にお話したり、考えをスパークさせたりと盛り上がるチャンスはまた来ればいいなと心から思います。ありがとうございます。またいつの日か!

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社長プロフィール

President's profile
氏名 井出 信孝
役職 代表取締役社長兼CEO
生年月日 1970年5月19日
略歴 1995 年4月 シャープ株式会社入社
2013 年8月 当社入社
コンポーネント事業本部技術マーケティング部ジェネラルマネージャー
2015 年4月 テクノロジー ソリューション ビジネスユニット バイスプレジデント
2015 年7月 テクノロジー ソリューション ビジネスユニット シニア・バイスプレジデント
2017 年4月 エグゼクティブ・バイスプレジデント
テクノロジーソリューションビジネスユニット担当兼プラットフォーム&アプリケーションビジネスユニット担当
2017 年6月 取締役
2018 年4月 代表取締役社長 兼CEO(現任)
出身地 東京都
座右の銘 「65点で全力疾走」(本人オリジナル)
愛読書 三島由紀夫 「豊饒の海」
尊敬する人物 板垣祟志(いたがきたかし)氏、岩手県花巻市るんびいに美術館 アートディレクター
著書 なし

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