日本盛株式会社 ~『生原酒ボトル缶』で業界に変革を起こした酒造メーカー新社長の挑戦~

日本盛株式会社   代表取締役社長 森本 太郎   (2020年11月取材)

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【ナレーター】
そして2015年、業界初となる生原酒のボトル缶の開発に成功した日本盛。森本も自身が携わってきたプロジェクトの中で最も印象に残っていると語る。知られざる開発秘話に迫った。

【森本】
今、世にない商品をつくる。しかも缶で。結構大きなチャレンジでして、そういった意味ではよく会社もこの取り組みを了承したなと思いますね。

売れるかどうかは正直、半信半疑でした。例えばスーパーマーケットなどでも、今は棚の取り合いです。

既存商品に対して、こちらの方がいいですよと差し替えるのは簡単ですが、今までにない“缶のお酒”というこの商材はどこにはめ込むのか、どこに売り込むのかというのは本当に手探りの状態で、どうなるものかと本音では思っていましたね。

【ナレーター】
半信半疑の中、販売された業界初の生原酒のボトル缶はその後、順調に売れ、後のヒット商品となる。その要因について、森本はこう分析する。

【森本】
大手コンビニ3社にすっと入った新商品というのは、おそらく清酒メーカーでほぼないと思います。

なぜ受け入れられたかといえば、生原酒というお酒の価値を認めていただいたこと、そしてやはり、ポータブルな時代、かつパーソナルな時代になり、一人で飲み切れる量で、各自が違うものを飲めるという小容量の商品というのは絶対受けると。

しかもキャップ付きで開けたり閉めたりできる。品質も非常に高い、これはいけるのではないかと皆に評価いただいて、どんどんうまく入っていきましたね。

【ナレーター】
そして2020年6月に、代表取締役社長に就任。実に31年振りとなる社長交代について、森本は次のように語る。

【森本】
おそらく会長自身としては、2019年に130周年を迎えた一つの節目でもありますし、そろそろという想いがあったのだと思います。ただ、コロナ禍のタイミングでバトンを渡してもいいものかとは、かなり悩んでいました。

私としては、コロナがきっかけで社会が大きく変化しているというときだったので、これはいいタイミングでバトンもらったなと。

社員の皆がこの危機に対して非常に危機感を持っていました。このままでいいのかという思いと、だからやはり変わらなくてはという変革マインドを持ってくれていました。

このタイミングでバトンをもらったら、もっと様々なチャレンジができるのではないかと。だから本当にいいタイミングだと思っています。

【ナレーター】
森本が語る、日本盛が目指すべき姿とは。

【森本】
全社員集めて朝礼を行い、そこで所信表明をしました、会社がこれから進んでいく方向性について2点お話ししたのです。

一つは、世の中に必要とされ続ける会社になろうよと。もう一つは、ここにいるみんなが誇りに思える会社にしようよという話をしたのです。

今後50年100年さらに続いていくかというと、何の保証もないんですよね。だから皆に言ったのは、日本盛の存在意義、それを維持するためにも、周りから差別化された商品やサービス、そして価値、そういったものを提供していかないとすぐに置いてけぼりになってしまう、淘汰されてしまうよ、という思いを伝えました。

もう一つは、企業は株主のものだという風潮がありますが、何か違うと思っていまして、私は、社員がいるから会社があるのだと思っています。

そういった意味ではやはり社員ファーストが一番大事です。社員の皆が働きやすい環境へ、そして仕事のやりがいが持てる、そんな会社にしたいなと。その二つを所信表明で言いました。これが、私が目指すべき方向性といいますか、道だと思っています。

【ナレーター】
今後の展望として、食中酒としての日本酒を海外に定着させていきたいと森本は意気込む。

【森本】
これまで輸出代理店に任せていたこともあり、自分たちの手で開拓してきた部分がまだまだ足りていないと思っています。なので今後は直接現地を訪問して、現地の企業と一緒にマーケットをつくっていきます。

本当に日本酒を海外に定着させようとしたら、現地の人、ネイティブが飲むようにならないと、浸透していかないと思っています。どう現地の人に召し上がってもらえるような取り組みができるか。それが大きな課題です。

日本酒の良さは食中酒だということです。日本の生活スタイルを含めて輸出ができたら、おそらく新しいマーケットができていくだろうなと思います。

今の食後にバーで飲むというスタイルの中に日本酒をはめ込むのは難しいですが、食中酒という日本の食文化を含めて、もう少し広めていきたいと思いますね。

【ナレーター】
2019年に創業130周年を迎えた日本盛。しかし、酒造業界の中ではまだまだ未熟であり、商品づくりに創意工夫を凝らす必要があると森本はいう。そんな森本が組織マネジメントにおいて大事にしている2つの要素とは。

【森本】
一つは人の提案に対して否定的なことを言わない。もう一つはやってみたことに対してペナルティを与えないことです。

やはり皆やるときはリスクを抱えてやるんですよね。失敗したらミスをあげつらうようなことをしていては、次に誰もチャレンジしなくなるので、失敗を咎めないことが大事だと思っています。

-視聴者へのメッセージ-
【森本】
現在、社会は大きく変化し、まさに時代の節目を迎えています。この困難な状況をどうやって乗り越えるか経営者は頭を抱えている、そんなケースが多いと思います。

でも実は、変化はチャンスです。このチャンスをつかめば企業は大きく成長します。だから今、我々はすごくワクワクしています。

一般的には老舗企業と思われると思いますが、社内にはチャレンジ精神旺盛な社員が今日もまた新しいことを突き詰めています。

日本盛の名の通り、日本を大いに盛り上げる。そんな会社でいられるようにしっかり頑張って行きますので、どうぞ皆さんこれからもよろしくお願いいたします。

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社長プロフィール

President's profile
氏名 森本 太郎
役職 代表取締役社長
生年月日 1980年9月3日
略歴 2003年同志社大学商学部卒業後、住友商事株式会社へ入社。営業を始め、広報、海外工業団地部へ所属。その後、2012年に日本盛株式会社へ入社し、中期経営計画の策定や営業に従事し、業界初商品の「生原酒ボトル缶」の企画から販売戦略を主導し、新マーケット拡大の発展に貢献。2020年6月に代表取締役社長へ就任。
出身地 福岡県
座右の銘 人生逃げ場なし
愛読書 スティーブン・R・コヴィーの「7つの習慣」
尊敬する人物 東郷平八郎
著書

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