※本ページ内の情報は2023年11月時点のものです。

少子高齢化が急速に進む中、生産年齢人口である15〜64歳も減少傾向にあり、あらゆる業界が人手不足に悩まされている。

そんな中、クラウドの最先端テクノロジーを活用したシステム開発をおこなっているのが株式会社フレクトだ。DXによる企業の業務の効率化だけでなく、経営戦略からビジネス成功へのサポートを目指している代表取締役CEOの黒川幸治氏に話をうかがった。

学生起業家を経てシステム開発事業へ

ーー起業なさったきっかけは何だったのでしょうか。

黒川幸治:
私が大学生のとき、IT業界のコミュニティーに参加したのが起業のきっかけです。

コミュニティー内でIT業界の経営者たちが生き生きと活動しているのを見て、「自分も経営者になってみたい」と思いました。

2000年の大学在学中に起業し、大学のサークルや部活動のコミュニティーサービス運営事業をおこなっていましたが、収益化へとつなげることができなかったのです。

そこから心機一転、新たにスタートしたのが株式会社フレクトです。業務内容もシステム開発へと切り替えました。

ーーどのような思いで新たに会社を立ち上げたのでしょうか。

黒川幸治:
システム開発はとても社会的意義がある仕事です。システム開発によって、企業様の業務を改善するサポートをおこない、社会問題の解決へとつなげていきたいと思っています。

また、設立当時は多重下請け構造が慢性化しており、エンジニアが報われない環境だったのを歯痒く感じていました。そこで、クライアントとの直接契約に注力し、エンジニアがより輝ける会社にしようと思いました。

より多くのお客様の期待に応えるべく上場を決意

ーー貴社が成長なさった過程について、ターニングポイントを交えて教えてください。

黒川幸治:
まずは2008年のリーマンショックがターニングポイントですね。当時は株式会社リクルート様を中心に展開されていたモバイル開発事業をおこなっていました。売上も順調だったのですが、リーマンショックを機に景気後退が進み、弊社の業績も下がってしまいました。

この失敗と反省を元に「選ばれる価値を提供できていれば業績は下がらない」と考え、2009年にクラウド事業に参入し、セールスフォースビジネスを始めます。そこからはセールスフォース様との協業によってさまざまなお客様と出会い、事業の拡大へと進みます。

次のターニングポイントは、2015年に上場を目指したときです。多くのお客様に引き合いをいただけるようになったのですが、当時規模が小さかった弊社は、すべての案件を受けることができず、お断りする機会が増えてしまったのです。

特定のお客様にしか価値を届けられなくなり、企業理念である「インターネットを通じてみんなの人生満足を追求する」を果たせていないことに矛盾を感じました。そこで、2015年に初心に返り、経営理念に沿ってお客様への価値を最大化する戦略へと舵を切り、外部資本を受け入れ規模拡大を押し進めてまいりました。

起業当初から大手企業に選ばれ続けてきた

ーー起業当時から大手企業に選ばれていたのは、どういった点が評価されていたのでしょうか。

黒川幸治:
当時、株式会社リクルート様は、中小企業とさまざまなサービスを迅速に開発して世に出すことに力を入れられていました。取引を始めた当時のフレクトは小さな会社でしたが、その分スピード感を持って対応することに注力したため、評価していただけたのです。

セールスフォース様の場合、既に大手ベンダーとお取引をされていましたが、設立当初から顧客接点のアプリケーションを得意としていた弊社を評価していただき、案件の獲得へとつながっていきました。

ーーそのほかにも、他社との違いや強みはどういった点がございますか。

黒川幸治:
弊社は、企画からデザイン、マルチクラウド開発、そして運用サポートまで一気通貫したサービスが強みです。まずはお客様のビジネスモデルを分析してから、業務上の悩みや問題解決へと導けるシステムを開発し、その先のビジネス成功へのサポートをおこなっています。

また、さまざまなクラウドを使いこなせる社員一人ひとりの高い技術力も強みです。教育コンテンツを充実させて、スキル・キャリアアップのサポートをおこなっています。社内でも、積極的に学ぶ文化を構築してきたため、学びへの向上心が高い社員が集まっていますね。

ーー今後、注力して取り組みたいことについてお聞かせください。

黒川幸治:
新規開拓よりも、ビジネスにおける既存のお客様の成功に向けて、サポートづくりに注力して取り組み続けたいですね。

お客様にただシステムを提供して終わりではなく、システムの機能の改善や向上を探り、発展し続けていかなければならないと思っています。

「Cariot(キャリオット)」によって2024年問題の解決を図る

ーークルマと企業をつなぐドライバー働き方改革クラウドである「Cariot(キャリオット)」のシステムについても伺いたく存じます。

黒川幸治:
Cariotは、2016年から始めた車両動態管理サービスです。車両の位置情報をリアルタイムで共有し、速度や業務活動などを一貫して管理できます。また、日報のデジタル化やアルコールチェックの結果管理なども可能で、業務の効率化や生産性の向上につながります。

トラックドライバーの残業上限時間が規制される2024年問題に対応するためにも、物流業界のDXの必要性も感じています。そのような問題の中にCariotの価値を提供していきたいですね。

若い方へのメッセージ

ーー最後に、若い方へのメッセージをいただきたく存じます。

黒川幸治:
デジタルというトレンドは、ますます発展していくと思っています。語学力と同じくらい、プログラミング技術が必要とされるでしょう。ベースにプログラミング技術があるだけで、今後のキャリアにも応用が利くと思います。

弊社は、先ほど述べたように、スキル・キャリアアップのサポートが整っている会社です。10年後のマーケットにおいても必要とされる人材になることを目標に掲げています。先端の技術を磨きながら、より輝けるキャリアの後押しができると思っています。

編集後記

「エンジニアが輝ける企業」を目指して会社を設立した黒川社長。既存のお客様を大切にする姿勢からも人を大切にしたい熱意が伝わる。

新型コロナウイルスの影響やあらゆる業界の人手不足などによってDXが加速する中、クラウド先端テクノロジーを駆使して社会にどのような価値を提供していくのか。今後の株式会社フレクトに期待が高まる。

黒川幸治(くろかわ・こうじ)/1979年、広島県出身。國學院大學に在学中の2000年に、前身IT会社の起業を経て、2005年に株式会社フレクトを設立しクラウド事業へ参入。2016年にクルマと企業をつなぐドライバー働き方改革クラウドである「Cariot(キャリオット)」の事業を開始する。2021年に東京証券取引所マザーズ市場に上場。