※本ページ内の情報は2024年2月時点のものです。

1982年に創業して以来、国内IT産業の発展に尽力してきた株式会社ニューテック。

2000年以降はストレージ専業メーカーとして「日本ならではの品質」をより高く掲げ、自社製品の開発・販売・保守を一貫して行っている。2021年5月より代表取締役社長に就任した早川広幸氏に、自身のキャリア形成や今後の展望について聞いた。

私のキャリアジャーニー「30歳から営業職にチャレンジ」

ーー早川社長のご経歴についてお伺いしたいと思います。

早川広幸:
学生時代に会計学を学んだことから、地方銀行での勤務を経て、弊社に入社しました。大船テクノセンターで原価管理を務めながら、購買や管理系の仕事も経験し、2年ほど経ったタイミングで営業に転向しました。30歳を過ぎてから初めての営業職は大変だろうと悩みましたが、人と喋ることは好きですし、かれこれ15年ぐらいは営業を続けましたね。

バイヤー部門を少しだけ手伝っていたことから、「お取引先をご紹介ください」と仕入先にお願いすることから始めました。直販営業よりも代理店営業に手応えを感じ、大学と深いコネクションがある代理店にお声がけしていきました。

電話やメールのみの営業では厳しいところがあるので、1件ずつコミュニケーションをとって顧客の生の声を聞き、ストレージにまつわるお困りごとなどを伺いました。大学を回りながら繋がりをつくり、大手電気メーカー案件の大学系基盤センターに関わりました。そちらでは、自分なりのOEMをお客様にご提案したこともあります。

ーー顧客先の開拓で印象的なエピソードはありますか。

早川広幸:
営業1年目の頃、紙袋にカタログを50部ぐらい詰めて、石川県にある大学の情報基盤室を訪ねたときのことです。

「ニューテックの製品は以前も買ったことがあるよ」と、わずか10分間のうちにお取引が決まり、研究室に25台のストレージを導入していただきました。金額にすると2500万円となり、大変なビギナーズラックでした。この体験から「営業は行動しなくてはいけない」と痛感したものです。

現場で培ったリーダーシップ――会社の発展について

ーー社長に就任してからの思いや、取り組みをお聞かせください。

早川広幸:
私は経営学を学んでおらず現場主義ですので、周囲の力を借りることで現職を務められています。利益を上げなければ会社の存続はありえませんから、株主や社員へ還元しつつ「みんなで潤う」という考えを大切にしています。「ニューテックの発展のために」という思いを持ち、より一層仕事に邁進していきたいと思っております。

また、お客様第一主義と若手の育成を心がけています。やや手薄な中間管理層を底上げするために、適正と能力に応じて若手も課長に抜擢するなど、人事評価面の工夫をしています。給与も上場企業の上位水準を目指して、昇給やベースアップを進めています。

ストレージ業界の現状と未来、ニューテックの役割

ーー貴社の特徴や強みをお聞かせください。

早川広幸:
ニューテックはどこの会社にも影響されない、独立型ストレージメーカーです。売上先としては研究機関や大手電機メーカー、医療分野など3〜4本の柱があり、ストレージのコントローラおよびIT機器の開発と製造販売をしています。

また、「ニューテックはニッチな分野でトップを取る」という考えがあります。日本国内で自社RAIDコントローラをつくっているメーカーはごく少数ですが、海外製品はブラックボックスな部分があり、サポート対応も遅れがちです。

「日本品質のサポートとコーディネートができる会社」として日本の企業から評価を得たことで、大手のファクトリーコンピュータにも自社製品が採用されていると自負しています。

ーー今後のご展望もお話しいただければと思います。

早川広幸:
今まで弊社はオンプレミス(情報システムを自社で保有・運用すること)のみでしたので、クラウドの分野に関しては他社との競合・共存を考えなくてはいけません。「オンプレミスからクラウドにバックアップ」という形は今後の選択肢としてあります。

オンプレミスが世の中から完全に消え去ることはないでしょう。しかし、プレイヤーが減少してもオンプレミスの中で生き続けて、「ストレージのRAIDコントローラをつくり続ける」という基本的なスタンスは変わらないと思います。

能動的な行動で生まれる人材の成長

ーー貴社が求める人材像について教えてください。

早川広幸:
待っているだけで仕事が舞い込む時代ではないので、能動的な行動や発言をしてくれる人が社内に増えていくことを望んでいます。出る杭はどんどん上がっていくほど打てなくなりますから、良いことも悪いことも含めて自分の意見を言えることが大切です。

編集後記

日本の企業に選ばれるコントローラをつくり続けているニューテック。

営業を通して現場を知り尽くした早川社長だからこそ、「国内独自のポジションを保つ」という会社の誇りを社内のすみずみまで伝え、使命を共有できているのではないだろうか。

早川広幸(はやかわ・ひろゆき)/1968年生まれ。証券会社でのアルバイトや地方銀行勤務を経て、2001年に株式会社ニューテックへ入社。営業部門担当取締役を経て、2021年より代表取締役社長として経営を担う。グループの将来に向けた成長基盤強化を推進中。