※本ページ内の情報は2024年4月時点のものです。

人口減少や少子高齢化により新設住宅着工戸数は減少傾向にあり、不動産業界には陰りが見え始めている。

そんな中、大阪府枚方市を中心に不動産管理・建設工事・土地活用・注文住宅・リフォーム・葬祭事業などさまざまな事業を手がけているのが、株式会社サンエースだ。

社内改革を進めながら地域の方々に必要とされる企業を目指す、谷岡社長の思いについて聞いた。

サンエースが手がけている事業や地域貢献活動・自社のアピールポイントについて

ーー2023年に新たに始められたガレージハウス事業についてお話しいただけますか。

谷岡倫常:
ガレージハウス事業は、空き地を所有されている方が余っている土地を有効活用できるよう始めたもので、特に駅から離れた立地であっても利回りに期待できることが魅力の商品です。

ガレージハウスは住居のため、オーナーは税金の控除を受けられるメリットがあります。また、1階部分のガレージを店舗または趣味のためのスペースとして使い、2階部分の住居スペースで生活するといったように、汎用性が高いのもポイントです。

弊社のガレージハウス「S-BASE」は、鉄骨造りでスペースが広いのが特徴です。これは、車いじりを趣味にしている社員さんの意見を取り入れました。工具類を置いても作業スペースを確保でき、重いものを持ち上げるときに使うチェーンブロックを引っかけられるので、車好きの方におすすめです。

ーー貴社で葬祭事業も手がけられていますが、事業を始められたきっかけについてお聞かせいただけますか。

谷岡倫常:
不動産業や建設業を行っている弊社にとって、葬祭事業は畑違いと思われるかもしれませんが、これも地域の方々からの声を聞いて始めた事業です。

弊社がある枚方市東部地区は農家の方が多く、かつてはお葬式をご自宅で執り行うことも多かったんです。住人の方がお亡くなりになると、近所の方がその方のご自宅に集まってお手伝いをされていたんですね。それが昨今では会社勤めの方が増えるなど、社会環境の変化によって地域の方だけでお葬式の準備をすることが難しくなったんです。

当時はまだ近くに斎場がなく、地域の方々が困っているという話を聞いた創業者が、21年前に本社があった枚方市の藤阪にパルティという葬祭式場を建て、葬祭事業をスタートさせました。

ーー貴社が運営されている「パルの木ネットワーク」についてお教えください。

谷岡倫常:
葬祭式場パルティの会員になっていただくと、基本葬儀料の割引を受けられる会員制度があるのですが、無料の会員制度なのでとりあえず入っておくといった方が多く、そのまま入会したことを忘れてしまわれることが多かったんですね。そこで、普段から会員であることを意識してもらえるように同じ地域で活躍する様々な店舗の方に協力してもらい、お店で会員証を提示することで、特典を受けられるサービスを始めました。

たとえばお店で商品を購入した際に割引を受けられたり、ドリンク一杯が無料になったりと、お得なサービスを受けられるのが特徴です。

ご協力いただいている店舗様は地元の情報発信をしているポータルサイト「パルの木ネットワーク」で無料で紹介させてもらっています。地域のお店の方からすると、お金をかけずにお店の宣伝ができる仕組みです。

会員様にはお得にサービスを活用していただき、お店を経営されている方々には集客の足がかりとなることで、地域が元気になれば私たちも嬉しく思います。

父親が経営する会社に入社してから社長に就任するまで

ーーサンエースに入社されたきっかけは何だったのでしょうか。

谷岡倫常:
父親は仕事が忙しく、ほとんど顔を合わせることがなかったんですね。そのため父親のことを意識せず過ごしていたので、会社を継ぐなどまったく考えていませんでした。

ただ、前職の不動産仲介業者で営業回りをしているときに、父の名前を聞く機会が多く、次第に近くで父親の仕事を見てみたいという思いが募ってきたんです。その後父親と話し合いをし、2004年にサンエースに入社しました。

ーー入社されてみてどのような印象を持たれましたか。

谷岡倫常:
いざ入社してみると、分譲住宅をやってること以外は何をやっているのかよくわからない会社でした。

上司は何も指示を出してくれなかったので何かしなければと思い、前職での経験を活かして自作したチラシをポスティングしたら「勝手なことをするな」と叱られ、理不尽だなと思いましたね。

ーー役職についてから、あるいは社長に就任されてから苦労された点についてお聞かせください。

谷岡倫常:
入社して6年くらい経ってようやく役職に就いたものの、周りは年上の方ばかりで、自分の意見を強く言えないというもどかしさがありました。

そんなときに経営者のためのプログラム「松下幸之助経営塾」に参加したことがきっかけで、自分の思いを表現することの大切さに気付いたんです。

また、会社である以上は利益を出さなければいけない、それにより従業員やその家族あるいは取引先を守ることで地域貢献へつながるのだと知り、会社経営のイメージも固まっていきました。

ーー社長に就任されてからどのような社内改革をされてきたのでしょうか。

谷岡倫常:
私が社長になった後も、社員たちは会長の指示に従って動いている場面が多々あったんですね。このままでは一向に成長できないと危機感を覚え、幹部を集めた経営者会議を始めました。

しかし、会議で出した答えが会長の一声で覆るという状況が続きました。どうしてこうなってしまうのか考えた結果、私自身が会長の意見を理解しようとしてないことに気付いたんです。

そこで、会長には社員へ直接指示をせず、社内で問題が発生した時は担当者ではなく私を叱ってほしいとお願いしました。そのうえで会長と真剣に意見を交わすことによって少しずつ仕事の権限を与えてくれるようになりました。

それ以降に私が主体となって取り組んできたのが、5年後の達成を目指して中長期経営計画を立てたことです。売上目標の達成を目指し、社員一丸となって取り組んだ結果、予定よりも早い3年目で目標としていた数字を達成できました。

ーー貴社への入社を検討されている方々に向けてメッセージをお願いします。

谷岡倫常:
弊社は不動産業や建築業、葬儀事業、介護事業など、幅広い事業を地域に根ざして展開しているのが特徴です。そのためそれぞれの分野のプロが社内に在籍しており、地域の生活に関わるあらゆるスキルを学ぶことができます。

また、別々の事業をかけ合わせて新たな事業を生み出すなど、これからさらに発展できる自由さもあります。この地域に生活基盤を持ち、スキルも磨いていきたいという方にとっては、安心して長く働いていただける職場だと思いますね。

弊社は創業から50年を超える老舗企業ですが、若手の意見もしっかり取り上げていきます。会社を変えたいという強い意気込みを持ち、ご自身の意見を気兼ねなく私たちに伝えていただける方にぜひ仲間になってほしいと思っています。

編集後記

どのような事業を行っている会社なのか周囲の方々が理解しやすくするため、父親が手がけてきた複数の事業をまとめ上げてこられた谷岡社長。さらに、ガレージハウス事業や、地元の情報発信を行うポータルサイトの運営など、新たな事業やサービスも手がけている。地域の人々の声に耳を傾け、より豊かな生活を送れるようあらゆる角度からサポートする株式会社サンエースの今後に期待だ。

谷岡倫常(たにおか・りんじょう)/1981年大阪府枚方市生まれ。2000年同志社香里高等学校を卒業後、同志社大学へ入学するが2001年に中途退学。同年株式会社福屋工務店に入社し、不動産仲介業を学ぶ。2004年に株式会社サンエースへ入社。2015年に同社代表取締役社長へ就任。地域の振興活動にも注力している。