※本ページ内の情報は2024年4月時点のものです。

お菓子や飲み物、サプリなど、多くの商品は「包装」されて初めて流通する。ゼネラルパッカー株式会社は、この包装のための機械を取り扱う会社だ。しかも、そのスタイルは「マーケットイン」という、顧客の課題や要望を聞き、イチから製造するというもの。同社では、多くの労力が必要なこのスタイルをあえて貫いているという。

そこで代表取締役社長の牧野研二氏に、マーケットインを貫く理由や、それを貫くことを可能にする秘訣についてうかがった。

包装の分野から世界中の物流を支える

ーー貴社の業務内容を教えてください。

牧野研二:
事業内容は自動包装機械の製造・販売です。自動包装機械とは商品を袋詰めする機械のことで、取り扱っているのは、飴やグミ、調味料、健康食品、ペットフード、輸液バッグなど多岐にわたります。

取引先は国内外にあり、海外では約20カ国と取引しています。最近は世界的にペットフードが好調なこともあり、その関係で海外の比重が増えてきています。

また、機械の提供方法は、お客様の課題や要望を聞き、イチから作るスタイルを採用しています。既製品を販売するよりも利益は低いのですが、細かな要望に応えることができます。

マーケットインで顧客の課題にダイレクトに向き合う

ーー貴社の強みはなんでしょうか?

牧野研二:
お客様の課題や要望にダイレクトに応えられることです。業界的には既製品や「ベース機械」のカスタマイズ品を売るのが一般的ですが、弊社は市場ニーズに即した新機種の開発にこだわっています。

マーケットインは、他社の技術を取り込んで変革を起こす、オープンイノベーションを望む会社に好まれる傾向にあります。組織が抱える課題は会社ごとに異なるので、そこに密接に寄り添い、成功を目指して伴走できることは弊社ならではの強みです。

マーケットインにこだわり続けることを可能にした強み

ーーマーケットインの継続が可能な理由をお聞かせください。

牧野研二:
マーケットインが成り立つ大きな理由の一つに、営業担当が高い技術力を持っている点があります。

弊社の営業は、現場で十分な経験や知識を得てから営業活動に移ります。お客様に具体的な提案をするには、下地となる経験や技術が不可欠です。現在40代以上の社員は、機械の調整や試運転までできるような、経験と知識を持っています。

これはマーケットにおけるポジションの確保にも役立ちます。規格が決められている充填物では大手と競合することになってしまいますが、新製品など、流通量が少ない充填物までは大手も入ってきません。

技術者集団をけん引する技術系社長

ーー入社から社長就任まではどのような流れだったのでしょうか?

牧野研二:
私がゼネラルパッカーに入社したのは1985年のことです。最初は現場を経験し、種苗店や漬物店、菓子店などのさまざまな取引先へと出向き、経験を積みました。もちろん、試運転や調整も経験しました。

1990年からは開発部へ移り、2007年には開発部長になります。その後、開発部・技術部・生産部の役員を経験して、2017年に社長に就任しました。

技術系の経験が長かったので、私は技術系の社長ということになります。ちなみに、弊社の社長は私で4代目ですが、そのうち3人が技術系です。

課題にとことん向き合うからこそ生み出せる価値

ーー貴社が大切にしていることはなんでしょうか?

牧野研二:
マーケットインを貫き、お客様に寄り添うことです。お客様の要望に応える製品の開発には時間も費用もかかりますが、課題に一番向き合えるスタイルだと思います。

また、世界中の技術を取り入れることも大切にしています。新たな自動包装機械の開発には多くの技術を必要としますので、世界中の技術に目を向ける必要があります。海外の技術者とのコミュニケーションは大変ですが、これを抜きにしてはグローバル市場で信頼される企業にはなれません。

このように市場ニーズに即した新機種の開発には多くのリソースやノウハウが必要です。しかし、お客様との約束を絶対に守り、逃げずに向き合い続ければ、お客様の成功や喜びが生まれます。

レトルト食品やペットフードのニーズから世界を見据える

ーー今後の展望を教えてください。

牧野研二:
今後は海外事業に力を入れたいと考えています。現在は売上の約40%ですが、レトルト食品やペットフードなどを中心に取り組み、割合を増やしていきたいですね。

マーケットとして注目しているのは、中国やタイ、オーストラリアなどです。特に中国は人口が多いので、食品包装のニーズも多いと見込んでいます。

リソースの課題はありますが、増員を進め、代理店施策などに取り組みながら、マーケットを広げていきたいと考えています。

包装業界で世界を相手取るために必要な2つの要素

ーー人材として求める条件はありますか?

牧野研二:
包装機械の技術と語学力です。海外を相手に技術を提供していくために、これら2点は欠かせません。

語学力はある程度身についている方が望ましいのですが、技術やノウハウは入社後にしっかり身に着けてもらえればと思います。5年程度かけて、じっくり取り組んでほしいですね。

また、お客様からの課題に最後まで向き合える人材を求めています。お客様に寄り添い、新たな製品を開発するためには困難な課題に直面することが多いので、自分で考え、諦めずにトライし続けられるマインドを持つ方が向いていると思います。

厳しい条件だとは思いますが、世界を相手に自分の力を試せる土壌があります。チャレンジ精神のある方はぜひ声をかけていただければと思います。

編集後記

普段、私たちは何気なく包装の恩恵を受けている。しかしその裏には、技術者たちの絶え間ない努力や諦めないチャレンジ精神があることが分かった。

マーケットインで、顧客にダイレクトな価値を提供する。そのような創業から変わらないマインドを持ち続ける牧野社長の挑戦は、これからも世界中の顧客を救っていくことだろう。

牧野研二/1961年生まれ。愛知県出身。1985年愛知工業大学卒、ゼネラルパッカー入社。2007年開発部長、2011年取締役開発部長、2012年取締役開発部長兼技術部担当、2016年取締役開発部兼技術部兼生産部担当、2017年代表取締役社長に就任。2020年代表取締役社長兼開発部担当に就任(現任)。