【ナレーター】
その後、2014年に東証一部へと市場変更を果たし、2017年には檜の柱使用量で国内トップとなるなど、苦難を乗り越えた日本ハウスホールディングス。
現在も、挑戦をしている成田が注力している事業のひとつが、グループ会社のホテル事業だ。
【成田】
やはり事業の柱となるのは建築系。住宅、マンション、リフォームの3本。それにプラスしてホテル事業があります。息を伸ばすのはホテルしかないだろうと思っています。
そしてこれからは特に関東。少子高齢化で人口が減るため、やはりマーケットの一番の中心地は東京になるだろうと考えています。
ですから、2022年2月と12月に箱根にホテルをオープンしました。
銀行からも、コロナ禍の今「なぜやるんですか」と言われました。その答えとしては、ホテル事業を今のタイミングでやることが、会社と社員を守る。ひいてはお客さんを守ることにつながるからです。
もちろん現在、ホテルの経営は苦しい。しかし、5年後、10年後を考えて、コロナが終息した後のことを考えたら、プラスになると思っています。厳しいときだからこそ、仕込みをしておこうよということですね。
住宅事業では利潤をあげられているので、今のうちにもう1つの柱をつくろうとしているんです。
【ナレーター】
ハウスメーカーの在るべき姿について、100年暮らせる家をつくる努力をしていく必要があると、成田は言い切る。
【成田】
20年、30年で取り壊すことを前提としたスペックの、安かろう、悪かろうで家をつくるのはよくないと思いますね。
持続可能という観点でいうと一番優れているのは木造の家。100年、もつような木造の家を開発した方が一番いいじゃないかと。
やはり、この家で死ぬまでずっと暮らすことができ、ひいては孫の代まで住めると言えるような家をつくっていこうよと従業員にも伝えています。
住宅だから、技術・能力がないからこの程度しかできないという発想は捨てるべきだと思いますね。
【ナレーター】
今後は、同社の軸である「檜」をテーマにさまざまな事業を展開していきたいと語る成田。見据えている展望とは。
【成田】
檜は日本の高湿度に順応していて、湿気を吸い、乾燥してきたら湿気を吐き出す湿度調整作用があるんです。
なおかつ、香りも良く、健康にもいい。だから、マンションの内装の仕上げに檜を活用していこうとしています。
それからホテル事業については総檜づくりのホテルを展開したり、ソーラーパネルを設置したりすることも考えています。
また、ホテルがある那須では果樹園、農業も行っています。檜をつかうと必ず「残り材」が出ますから、それを肥料にしているんです。
果樹園ではイチゴ、ブルーベリー、ブドウ、リンゴ、キウイなどを育てており、それをもいですぐ食べられたり、ジャムづくりが体験できたりする企画も行っています。
ただ「温泉に入ったよ」「夜、美味しいものを食べたよ」といって帰るのではなく、そういう参加型のコンテンツがあってもよいと思うんですね。
たとえば、「さつまいもがそろそろできているかどうか、電話してみようか」、さつまいもができているから「土曜日に行こうか」というシチュエーションがあってもいいじゃないかと。
そういった展開を見込み、基本は檜をテーマにやっていこうと考えています。
【ナレーター】
求める人材像について、成田は次のように語る。
【成田】
働くことによって社会に貢献したい、社会のために何かしたい、という気持ちを大小関係なく持っている人。また、常に報恩・感謝の心を感じて、感謝の心で仕事に従事できる人。
感謝できず、自分ひとりが儲かればいい、自分だけが良い思いをすればいいという考えの人はいりません。
そして、物心両面の幸せ。働く喜び、誇りを手に入れるだけでなく、給料もなければだめなんだと。だから従業員一丸となって働いて、給料も分け合えるような会社をつくろうとしています。
給料は私ではなく、従業員が出すんです。だからその分配もしっかりと決めているんですね。
-大事にしている言葉-
【成田】
「人は心の持ち方で人生が変わる」。要はプラス思考で物事を考えなさいという言葉です。
もうひとつは仏教の言葉で「苦楽共生」。要は苦が楽になったり、楽が苦になったりという言葉です。楽しいと思って調子づいていると、墓穴にはまりこんで苦しむということも経験もありますよね。
だから、苦あれば楽あり、楽あれば苦あり、人生、片方だけではないよと。夢を持って、目標を持つことで人生の充実につながると考えています。