株式会社ラウンドワン 年間6000万人の来場者を誇る『ラウンドワン』知られざる成長の裏側 株式会社ラウンドワン 代表取締役 社長執行役員 杉野 公彦   (2020年10月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】
その後、アミューズメント施設の代名詞として広く認知され、5000万人以上の来場者数を誇るまでに成長したラウンドワン。その強みについて、杉野は次のように語る。

【杉野】
カラオケ店はカラオケ、ゲームセンターはゲームセンターしかありません。そしてほとんどのボウリング場にはボウリングしかないわけです。

唯一、ラウンドワンだけが新築で、非常に大きな建物で、幼稚園児から上はもう90歳の方までいらっしゃるわけですね。時間帯や曜日によって来店される年齢層が変わるレジャー施設はまずないわけです。

例えば高校生は3時~4時に来て、大学生は深夜帯に来て、その間の夜にはお父さんが会社のコンペだとか親睦会で来られたり、お母さんはPTAの会合の後にお昼に来られたり、週末はファミリーで来られたりと、色々な組み合わせで来店していただけるようになっているわけですね。

それは様々なアイテムがあるし、そのような方針を打ち出して、継続してやってきたからだと思います。さらに今の30代40代のお父さん母さんは、ラウンドワンで知り合ったかもしれない。そのお子さんがラウンドワンにもう来られているわけです。

お子さんがラウンドワンに行きたいと言っても、それを反対はできないですよね。勉強せよはあったとしても。

【ナレーター】
ラウンドワンのような多くのレジャー施設は、各メーカーが販売している製品を購入し、フロアに設置するのが一般的だ。

その常識に風穴を開けるべく、杉野が自社で製造・展開したのが、遠方にいる人とオンラインでつなぎ、一緒にプレーしている体験ができる『ROUND1 LIVE』だ。その開発の裏側に迫った。

【杉野】
やはり子どもたち、特に小学生が小学校の時に体験したものが、唯一、高校・大学になって自分たちでお金をアルバイトで稼ぐようになったら行ってみたい、もう一度やってみようということになるのですが、小学校の体験がなければ来なくなるのです。

小学生が来ないということは、10年後のお客様はゼロになるということですよ。ですから、それを何とかして変えないといけない。

ボウリング場でできること、ボウリングマシンに必要なことというのを、5年ほど前から自分たちでつくろうとなり、ピンを立てるところはいじらず、それ以外のところで、大学生を中心にこういうのがあったらいいなというものをつくり上げようとしました。それが、ネットワークで結ぶ『ROUND1 LIVE』です。

わかりやすく言えば、例えば東京に行った高校時代の同級生と一緒に、あたかも隣でボウリングしているように、遠く離れた者同士が一緒になってプレーできるようなサービスをつくりあげたのです。

【ナレーター】
過去の経験から、国内展開だけではリスクがあると判断し、海外展開を加速させる中で起こったのが2020年のコロナ・ショックだ。

難しい選択肢が押し寄せる中でも貫いた、杉野の揺るがない信念とは。

【杉野】
アメリカはまだ半数が閉まっている状態です。ロシアも中国も今オープンが遅れています(2020年10月時点)。でもその都度その都度のタイミングで、やはり乗り越えられないことは絶対ないわけです。

その時のジャッジが間違えば当然、従業員もろとも全員が路頭に迷うわけですよね。そのジャッジをとにかく間違えないように、色々な人のアドバイスを聞きながら、ただ決断する時にはやはり決断をする。

それが一時的に非常に辛いことであったとしても、それが必要であればそういうこともしないといけないということでしょうね。

やはり事業自体は継続していくことが非常に重要なことなのですよね。これが一番なのです。

今、決算書の中には当然会計士、いわゆる監査法人の適正意見があり、そこで疑義が付くというのは事業の継続に対しての疑義なわけですよね。

一番重要なところはそこなわけですから、まずは事業継続を前提にした経営の在り方を今は示しているということです。

【ナレーター】
挑戦を結実させるために、ひとつの分野に対して自分が一番だと自負できるまで没頭することが重要だと語る杉野。その真意に迫った。

【杉野】
まず少なくとも言えるのは、どの分野でもどんな形でもいいから、自分が一番だと思えるくらいまでやることです。

レジャーの中でいうと、よりクオリティが高く、同じ遊ぶのでも1000円が無駄遣いにならず、「楽しかったよね」とより言えるようなそういったものを、一人でも多くの人、一人でも多くというのは日本だけでは無理なわけで。

アメリカや中国やもっともっと違う国々の人たちにクオリティの高い身近なレジャーを提供したいという想いをずっと持ち続けてきたわけです。

やはり業界に自分が身を置くならば、自分が世界中で一番良く知って、一番将来のことを考え、それに向けて一番努力をしている、結果もできれば残せたよねというものが理想は理想です。

ただし結果は色々な結果がついてきますし、また時代に応じて結果は変わります。でもやっていくこと自体の意欲だとか、そういったものは世界中でも自分がこの業界で一番なのだと思えるほどのことを、ある時間を定めてやっていくべきだと思います。

【ナレーター】
今後の展望として、5G時代への移行や、世界で注目を集めるe-Sports事業に対し、ラウンドワンならではの強みをさらに生かすことが必要になると杉野は言う。

【杉野】
僕たちの強みは何かといいますと、いわゆるデバイス自体が今中心になっているのはせいぜいキーボードを前提とした今のe-Sportsになっています。僕たちは全部実機ですね。大型の筐体を使って動いたり叩いたり踊ったりということをできるわけです。

それが5Gもしくは6Gの時代になりますと、もうほとんどタイムラグがなくなりますから。アメリカのお客様と日本のお客様が同時に対戦するということも、当然可能になってくるわけですね。

そういったことを自分たちが想定しながら、その分野に対しては自分たちで商品をつくれるような環境はつくりたいと思います。

ゴルフはゴルフ場に行かないとゴルフにならないわけですが、実はゴルフ場に行っている時間よりも、自宅でパターの練習をしたりとか、打ちっぱなしに行ったりとか、いわゆるゴルフ場じゃないところがはるかに多いわけですよね。それが練習としては楽しかったりもするわけです。

それが自宅でできる、でもラウンドワンに行けば大きな筺体で楽しめる。自宅でもデバイスは違うけども楽しめる。10年後にはそういったことを想定して行かないといけないですね。

【ナレーター】
「世界中の全ての人々を笑顔にしつづける」

この経営理念の下、誰もが体験したことのないエンターテインメントを創るべく、ラウンドワンの挑戦は続く。

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経営者プロフィール

氏名 杉野 公彦
役職 代表取締役 社長執行役員
生年月日 1960年9月20日
出身地 大阪府
座右の銘 為せば成る
略歴
桃山学院大学在学中に父親からローラースケート場を引き継ぎ、 現在の経営の元となる複合形態の店舗へ改装し、ラウンドワンとして営業を開始。

1980年12月 杉野興産株式会社を設立。
1984年3月 経済学部 経済学科 卒業。
1993年3月 株式会社ラウンドワンを設立。
1997年8月 大証二部へ上場。
1999年9月 東証一部へ上場。
2010年8月 海外1号店としてアメリカ・ロサンゼルスでも出店。

会社概要

社名 株式会社ラウンドワン
本社所在地 大阪府大阪市中央区難波5丁目1番60号 なんばスカイオ23F
設立 1980
業種分類 サービス業
代表者名 杉野 公彦
従業員数 連結2,062名 単体1,284名(2023年3月31日現在)
WEBサイト https://www.round1.co.jp/
事業概要 ボウリング・アミューズメント・カラオケ・スポッチャ(スポーツを中心とした時間制の施設)等を中心とした、地域密着の屋内型複合レジャー施設の運営
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