【ナレーター】
ゼラチンの国内販売シェアトップを誇る新田ゼラチン株式会社。
ゼラチンやコラーゲン素材を基盤に、食品・健康・美容・再生医療用など、さまざまな事業を展開する他、海外5カ国に拠点を構え、ゼラチンの製造量においても世界トップクラスを誇る。
近年では「バイオメディカル」に注力し、2022年12月にはその研究開発・生産機能を集約した研究棟「みらい館」を竣工させ、医療用ゼラチン・コラーゲンで新たな分野の開拓・実用化に向け、挑戦を続けている。
全ての人が「いつまでも元気で若々しく過ごせる持続可能な社会」の実現に向け、躍動する経営者が思い描く成長ビジョンに迫る。
【ナレーター】
尾形が語る、国内シェアトップを実現できた要素とは。
【尾形】
世界のゼラチンメーカー(製造販売)の上位で、アジアに拠点があるというのは弊社だけです。
日本に拠点があるということは、品質に厳しい日本のお客様に、きちんとした製品を届けなければなりません。お客様ごとの要望を伺い、ニーズにお応えするものを提供するのが、日本のメーカーの特長だと思っているんですね。
ニーズに応え、確実にお客様との信頼関係を築くことで、弊社は日本でのトップシェアを維持していると考えています。
「製品が品切れなので供給できません」とか「昨日と今日では品質が異なる」というようなことを極力なくす。品質を安定させ、供給も安定させるというのが我々の信頼につながっています。
お客様からの信頼を守るというのは、シェアを守っていくうえで一番大事なことです。
【ナレーター】
尾形のファーストキャリアは新卒で入社した大手食品メーカーだった。その理由について、次のように振り返る。
【尾形】
食品を自分でつくってみたいと思ったんです。
食品業界というのは、お客様の反応がすぐ分かるという魅力があると考えました。「まずい」「おいしい」などの感想が、すぐ分かるのが楽しそうだと思い、大学を出たときに食品メーカーを何社か受けました。
そして、研究の仕事ができるということで、大手食品メーカーに入社したのです。
【ナレーター】
入社後は食品の研究・開発に携わりながら、複数のチームのマネジメントを担うなど、順調にキャリアを重ねる。しかし、企業が求めていることと自身のやりたいことにギャップを感じるようになり、苦悩の日々を過ごすことになる。
そんなときに声をかけられたのが新田ゼラチンだった。
【尾形】
キャリアを積むうちにマネジメントの仕事が主になり、自分で手を動かして何かをつくるという機会が減っていきました。
ちょうどその頃、新田ゼラチンから「今までなかったような製品を開発する仕事を手伝ってくれないか」という話があり「これはもう一回、自分の好きなことができるのではないか」と思って転職を決意しました。
【ナレーター】
2005年に約25年勤めた会社から新田ゼラチンへ転職した尾形は、商品開発部長や営業本部長などを歴任し、入社10年目の2015年に代表取締役社長に就任。当時の心境について、こう振り返る。
【尾形】
社長交代は会社にとっては大きな出来事なので、正式に発表するまでは家族にも絶対に打ち明けることができず、その2~3カ月というのはしんどかったですね。
社長になってから、最初は本当に勉強の日々でした。社長業について何をやればいいのか想像もできなかったので、まずは学ぶことからスタートしました。
これまでは、弊社の生え抜き社員が社長に就任するということが多かったのです。50歳前に転職して来て、10年ぐらいのキャリアで社長になるとは、私も思ってもいませんでしたし、周りも想像してなかったのではないでしょうか。