新型コロナウイルスの影響が長期化し、人々のライフスタイルが様変わりした2020年7月、東京都・駒沢大学駅のほど近くに、賃貸マンション『GranDuo(グランデュオ)上馬』が誕生した。
4階までの低層部には街を潤す植栽を設け、内装には土間とフローリングという、モダンとクラシカルが共存する趣ある空間を演出。在宅時間が増え、住環境の向上を考え始めた人たちの心に響く、株式会社フェイスネットワークこだわりの一棟だ。
自社ブランドとして『GranDuo』シリーズを展開する同社は、城南3区と呼ばれる世田谷区・目黒区・渋谷区エリアに特化した不動産事業を展開。土地の仕入れから企画・施工、販売、賃貸管理まで一気通貫で行うほか、不動産投資やシェアリングエコノミー事業など、既存の枠組みを超えた不動産の可能性を追求している。
景気の波に影響を受けやすいとされる不動産業界にあり、人気城南3区エリアにおいて新築一棟RCマンション竣工棟数No.1と圧倒的な強みを持つフェイスネットワークは、コロナ禍の影響をどのように見るのか。
創業者である代表取締役社長の蜂谷二郎氏に、完成したばかりの『グランデュオ上馬』にて今後の展望を伺った。
コロナ禍の需要に応える賃貸マンション『グランデュオ上馬』
ー内外に植えられた多彩なグリーンが印象的なマンションですね。
蜂谷 二郎:
『グランデュオ上馬』は、“自然と都市が調和したあり方“をコンセプトにした弊社と、独創的なデザインが魅力の建築設計事務所「SUPPOSE DESIGN OFFICE(サポーズデザインオフィス)」が初めて共同開発したコラボレーション賃貸物件です。
外観に施された豊かな植栽はこだわりのひとつで、建物の無機質さを中和し、街になじむランドマークとなることを期待しています。
ー新型コロナウイルスによる外出自粛モードが続く中、住環境へのこだわりを強める方が増えてきていると伺いました。
蜂谷 二郎:
こちらのマンションは内装にもこだわり、異なった素材を併用して昔ながらの要素と現代的な要素を溶け込ませました。弊社はコンセプトのある住居の提供に力を入れており、この物件では当初のイメージを具現化するために3年ほどかけています。
新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごす時間が増え、人々の住まいへのこだわりが増してきたタイミングに竣工が重なり、非常に注目されていると感じています。
現在はテレワークを前提とした物件の需要も急増しているため、当社のレジデンスではオフィスワークとリビングをしっかり分けられるような物件の開発を進めていますね。
2019年11月に、“スタイルを仕事に、仕事にスタイルを”をキャッチフレーズにデザイン性の高い建築設計に強みを持つ、ザ・スタイルワークス株式会社を子会社化したことは、今後の大きな強みになりそうです。
エリア特化の強みと課題
ー昨今のコロナショックは、御社の事業にどのような影響を与えましたか?
蜂谷 二郎:
不動産業界も新型コロナウイルスの影響を受けていますが、ホテルやテナント、オフィスなどが打撃を受ける一方、物流や、弊社が得意とするレジデンスの人気は高まっています。
そのため、ありがたいことに弊社には6月以降もオファーが絶えませんが、新型コロナウイルスの影響による障壁としては、開発用地の取得の難しさが挙げられます。
過去の不況時と比べ、企業が借り入れを行いやすい現在では、コロナ禍にあっても不動産価格はそれほど下がっておりません。
弊社の物件に関しては、投資家の方々が最低限の収益性を確保できる物件でなくてはならないため、開発用地の取得にはますます力を入れていく必要があるでしょう。
弊社で力をつけ、独立してくれることが最大の恩返し
ー現在の若手社員の中には、本格的な不況を体験したことのない方も多いかと思いますが、コロナショックによる御社にとっての課題や気づきはありましたか?
蜂谷 二郎:
コロナ以前より働き方改革が声高に叫ばれていましたが、私はその中で、守りすぎることで独り立ちできない社員が育ってしまう風潮が起きかけているような気がしていました。
私は創業した当初から、責任を持ってトップとして立てる人材を育てたいと思っていました。ですので、弊社での仕事を通じて成長し、実力をつけた従業員が独立することは、弊社への最大の恩返しなのです。
そしてそのような人材こそが、一個人として不況を乗り越えられるのではないかと思います。
今後は弊社に在籍しながら、弊社の仕事を外注として受けていくような働き方を増やしていきたいと考えています。さらに自分の力で外部からの仕事を獲得していくことができるなら、互いに良い関係になれるのではないでしょうか。
良い人材を囲い込むのではなく、自分らしさを出せるような社員づくりをしていきたいですね。不況を生き残ることのできる人材を育てたいと、コロナ禍を通じて改めて感じています。
ー今後はコラボレーション事業の強化も検討されているのでしょうか。
蜂谷 二郎:
そうですね。プロジェクト件数の増加とともに、外部の設計事務所との連携も増えてきています。
一方で、実需向けの建築設計に強い、ザ・スタイルワークスを子会社化したことによって、今後は自社の中でもデザイン性をより高め、開発力を強化し、これまで以上にブランド力の向上を図ります。
建築デザイン事業に加え、リノベーション事業やライフスタイル提案型の都市開発事業等も展開していく予定です。
また、弊社ではすでに、新しいスタイルのワークスペースや住居を提供するシェアリング事業『GrandStory(グランドストーリー)』を展開し、あらゆる人の夢の実現をサポートする事業を行っていますが、より広い支援が可能になるプロジェクトが進行中です。
早ければ今年度中にも、不動産の既成概念を打ち破る新しい事業をご覧に入れることができる予定です。乞うご期待ください。
編集後記
コロナショックに打撃を受けた不動産業界において、資産価値の下がりにくい人気エリアに特化することで、より存在感を増しているフェイスネットワーク。
「自分らしさを出せるような社員づくりをしていきたい、不況を生き残ることができる人材を育てたい」という言葉には、一丸となって不況を乗り越えようという蜂谷社長の人材育成への想いの強さを垣間見た。
コロナ禍にあっても変わらず前進を続ける、フェイスネットワークのさらなる成長に期待したい。
蜂谷 二郎(はちや・じろう)/1969年生まれ。1988年に某金融機関に入庫。融資担当として、5,000件を超える案件を取り扱う。2001年に有限会社フェイスネットワークを設立。2006年株式会社フェイスネットワークへ組織変更し、2018年3月に東証マザーズに上場。座右の銘は「根拠なき自信」「成功者は準備無き者を助けない」。