【ナレーター】
2012年に創業し、独自のデータとアルゴリズムを活用して情報キュレーションサービスを始めとするメディア開発運営を行う「株式会社Gunosy」。
「情報を世界中の人に最適に届ける」を標ぼうする同社は、情報キュレーションサービス『グノシー』、KDDI株式会社と共同提供を行う『ニュースパス』『auサービスtoday』など、情報発信に特化したさまざまなサービスを提供しており、累計DL数は6000万以上を誇る。
近年では、同社が強みとするデータ分析とアルゴリズム構築を基盤としたサービス提供のほか、昨今盛り上がりを見せるLLM領域の研究開発にも積極的に取り組み、またお茶のD2Cブランド『YOU IN』の開発・販売も行うなど、さらなる成長を目指し、挑戦を続けている。
創業者が語る、Gunosyの軌跡と描く成長戦略とは。
【ナレーター】
自社の強みとして、木村はテクノロジーとUIのバランスを挙げた。
【木村】
当社の強みは、なにを作ればいいかを理解すると同時に、テクノロジーをいかに融合させていくかを理解していることです。
テクノロジー側の話もでき、シーン向けのプロダクトUIを含めてちゃんとつくれる。両方ができる企業は多くないと思いますので、テクノロジーやUIを総合して、ユーザーに使っていただけるものをつくれる、数少ない企業のひとつだと自負しています。
【ナレーター】
木村の原点は新卒で入社したベンチャー企業にある。スタートアップの支援とコンサルティング業務に従事していた木村は、多くの経営者と接点を持ち、自身も経営者を志すようになったという。
【木村】
ベンチャー企業の支援を行っていたこともあり、自分でやりたくなってしまったんですね。それで、アトランティスという会社を立ち上げました。
【ナレーター】
起業を果たした木村だったが、リーマン・ショックの影響もあり、資金調達が難航。苦境のなかで木村が着目したのがスマートフォンの台頭であり、この出来事が後の『グノシー』誕生にもつながったと振り返る。
【木村】
スマートフォンが登場して、広告のネットワークやフォーマットなど、いろいろなものが変わるチャンスだったので、スマートフォン用の広告のシステムを発表しました。
それによって業績が伸び、2011年にGREE(グリー株式会社)に買収されたのが第1段階です。
ウェブページをブラウザで開いている世界から、スマホでニュースサイトを見るという世界に変わっていく時代だったので、そこのポジションを取りたいなと考えていました。
今でこそインスタグラムなどいろいろなものがありますが、当時は多くの方がそのニュースを見ていました。そこがウェブサイトの「一番地」のようなものだったので。
メディアとしてつくっていきたいという考えもありました。
芸能とかエンタメばかりのニュースサイトが多かったので、そことは違うきっちりニュースを伝えられるニュースサイトをつくりたいと考え、始めたのが当社です。
【ナレーター】
そして2013年、情報キュレーションサービス『グノシー』の提供を開始。瞬く間に利用者数を増やし、約2年後には1000万ダウンロードを突破し、確固たる地位を築いた。
一方、木村は新たな挑戦のためにGunosyを離れるが、2017年に取締役として舞い戻り、2020年に代表取締役会長に就任した。その経緯について、次のように語る。
【木村】
当社がスタートしたとき、日本を代表するメディアを目指せるような仕組みをつくりたいと考えていました。しかしながら、日本ではペイメントのところがうまくいかなかった。
中国にはWeChatなどから大きな市場が生まれますが、インドでもクレジットカードが広がっていくようなタイミングで、それがやれなかった。
それで、日本やインドでできなかったペイメントのところに注力したいと考え、戻ってきました。