【ナレーター】
国内最大級のリユースショップを展開する「株式会社コメ兵」。
2022年3月時点で、国内外で88店舗(もしくは、全国83店舗)を構え、中古品を中心にジュエリーから時計、ブランドバッグ、楽器など幅広い商品を取り扱い、各商品群の専任スタッフが適正価格にて提供。
近年では、モバイルメッセンジャーアプリを活用したオンライン接客や既存ECサイトのリニューアルなど、オンラインとオフラインの融合を指すOMO施策を推進。
買取イベント「KAITORI GO」を全国各地で開催しながら、買取専門店を3年間で100店舗出店する計画も発表しており、需要を捉えた挑戦を続けている。
経営者が語る、挑戦を成長へつなげる秘訣と見据えている未来像とは。
【ナレーター】
2020年4月、コロナ・ショックの影響により、70年以上の歴史の中で初めて、約2ヶ月に渡る全店一斉休業を決断した石原。この苦境をどのように乗り越えたのか。
【石原】
当然、オンラインのショップは稼働していましたし、休業中も社内のイントラを使いながら、プロジェクトを8つぐらい立ち上げました。
コロナの期間が長引いた時にどのようにオンラインで接客していくのか、お店とオンラインショップにどうやって誘導しながら、お客様がより良いサービスになったねと言っていただけるかなど、苦しい中でも各スタッフやリーダーたちがプロジェクトを組んで、「こうやってやった方がより良くなるんじゃないか」というアイデアをたくさん出してくれて。
2020年4月、5月と確かに休みましたけれども、その間に練ったプランがその後、花を開いていくというところに来たので。
過去のリーマン・ショックですとか、チャイナ・ショックですとか、いろいろな苦しかった経験をこのコロナ禍では活かして、みんなが「次はこうやっていきましょう」という社内のアイデアがどんどん出てきて、それが今になってしっかり稼働しているかなと思います。
【ナレーター】
様々な危機を乗り越えてきた石原のキャリアスタートは、大手家電量販店を展開する企業だった。
当時の仕事のやりがいについて、次のように語る。
【石原】
カメラを売っておりまして、当然、お客様は買うだけではなくて、実際に使って「こんな写真が撮れたよ」ということをまたお客様に教えてもらうことがすごくやりがいに感じたといいますか。
「こうやって撮ったらいいと思います」と、カメラの機能を説明して上手に撮れたということを、いわゆるお祖父様、お祖母様が孫と撮った写真を見せてもらう時というのは、説明しておいてよかったなとは思いましたね。
【ナレーター】
その後も順風満帆の日々を過ごしていたが、当時コメ兵の社長だった父親が突然の病により逝去。
自身のキャリアについて改めて考えた石原は、意を決して現職を退職し、1998年にコメ兵に入社した。
入社当時について、こう振り返る。
【石原】
当時亡くなったときは不安でしたし、当然、私以外のたくさんの先輩たちが活躍されていたので、その方たちにいろいろなことを教えてもらいながら、私の父親が考えたことですとか、会社でやろうとしていることというのも、少しずつ理解を深めていって。
当時はまだ一般社員でしたので、たくさんモノを買って売るということをずっとやっていましたけれども、少しずつ会社の文化や社風ややり方になじんでいこうとしていた時期でしたね。
【ナレーター】
愛知県名古屋市に本社を構えているコメ兵だが、関東の旗艦店として2003年に有楽町、2005年には新宿に立ち上げ、東京へ本格的に進出。しかし待っていたのは想定外の苦労だった。
【石原】
有名百貨店さんの前で中古屋としてどんとお店を構えた時に、一歩道を渡っていただくことの大変さを痛感しましたね。牽引力というか、求心力がまだまだ我々にはなくて。
コメ兵という知名度がある名古屋で店舗を構えるということは、ある意味、東京でやるよりも歴史があったので簡単だったかもしれないですけど、同じビジネスモデルで東京に来たのに、こんなにも通用しないんだという苦しさは、すごく体感したというか。
中古品に対する言葉を選ばずに言えば、ネガティブなイメージが今よりもかなり強かったと思うんですね。新品屋さんと中古屋さんみたいな見られ方で、なかなか前向きには入れないようなイメージを持たれている方が名古屋以上に東京は多いなということをとても感じました。
【ナレーター】
苦境を乗り越え、キャリアを重ねた石原は2013年に代表取締役社長に就任。リユースの需要の高まりが追い風となり、さまざまな挑戦を結実させ、成長につなげることに成功。
その秘訣について、次のように語る。
【石原】
サービスを介してお客様に喜んでいただく満足と感動の提供ということを、我々、昔から大事にしてきているんですけれども。
そういった軸をしっかり持って、みんながタテ・ヨコ・ナナメの関係でいろいろ相談をし合って、お客様のことを思って、何をしたら喜んでいただけるかということを考え抜いてくれているのが当社の強みだと思います。
それで、「こういうことを考えたいんだけれども、どうしても自分だけだと資金が足りないのでプロジェクトとして違う部署の人を集めてもいいですか?目的はこれをやりたいから」というようなことを挙げてくれたり、提案したりしてくれるんですね。
会議でその提案を承認しますとなったときには、各上長たちはそういう承認されたプロジェクトだったら参加してこいということで背中を押してくれます。
緊張しながらも、自分の提案を実現するための予算を取って、会社のサービスとして使っていくということを経験してもらうことも大事かなと思っているので。
どんどん提案してくださいというのは、いわゆる当社の教えではあります。
経営者プロフィール
氏名 | 石原 卓児 |
---|---|
役職 | 代表取締役社長 |
生年月日 | 1972年9月21日 |
出身地 | 愛知県 |
座右の銘 | 実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな、「One for all,All for One(一人は皆のために、皆は一人のために)」(をモットーに、「現場第一」「お客様視点」で、挑戦し続ける経営に力を注いでいる) |
愛読書 | 「人を動かす」 デール・カーネギー(D・カーネギー) |
1996年、大手家電量販店ヨドバシカメラにて約2年間従事したのち、1998年コメ兵に入社し、カメラ売場に配属。
その後、時計売場の責任者を経て、有楽町店店長、新宿店店長、営業企画部長、WEB事業室長などを歴任し、店舗開発、販売促進、などマーケティング業務に従事。2011年に常務取締役、2012年に代表取締役副社長、2013年に代表取締役社長(4代目)へ就任。
2020年10月1日から、ホールディングス体制への移行と同時に、コメ兵ホールディングス代表取締役社長を兼任。(2021年4月より、リユース業協会副会長も務める)
会社概要
社名 | 株式会社コメ兵 |
---|---|
本社所在地 | 愛知県名古屋市中区大須3-25-31 |
設立 | 2020 |
業種分類 | 小売業 |
代表者名 |
石原 卓児
|
従業員数 | 連結 1087名(2023年3月) |
WEBサイト | https://www.komehyo.co.jp/ |
事業概要 | 中古品・新品の宝石・貴金属、時計、バッグ、衣料、きもの、カメラ、楽器などの仕入・販売 |