エリアリンク株式会社 保有物件数全国トップ。トランクルーム「ハローストレージ」を展開する上場企業 エリアリンク株式会社 代表取締役社長 鈴木 貴佳　 (2023年8月取材)

【ナレーター】
レンタル収納スペースにおいて、国内トップクラスのシェアを誇る「エリアリンク株式会社」。

ストレージブランド『ハローストレージ』を全国に約10万室展開しており、2003年に東証マザーズ市場へ、2022年4月には東証スタンダード市場へと上場を果たす。

今後、展開するエリアの拡大により、さらなる室数の増加を計画しており、業界のリーディングカンパニーとして、その存在感を際立たせている。

創業者からのバトンを受け継いだ経営者の軌跡と、思い描く未来像とは。

【ナレーター】
自社の強みについて、データ分析にあると鈴木は語る。

【鈴木】
僕らがここまで出店できる要因というのは、データ分析や顧客データの解析をものすごく追及してやっているから。お金も費用もたくさんかけています。データ分析や解析をするとどこにどんな物件を出せばいいのか、わかるようになるんです。

ストレージ業界は不動産から派生しているため、データ分析やDXなどは遅れており、他社で取り組んでいる例もかなり少ないです。

しかし、何のデータもなく出店候補地を決めるわけにはいかない。そこで弊社ではデータ分析を活用し、収益が見込める候補地を厳選。ただやみくもに出店するのではなく、データを活用して稼働率を予想しながらおこなっています。

【ナレーター】
鈴木の転機は学生時代にある。当時はリーマン・ショックの影響により就職に厳しい時期だった。途方に暮れていた鈴木が偶然目にしたのがエリアリンクの採用案内だったという。

その後、2011年に入社し、企画運営に携わるようになり、研鑽を積むために仕事に邁進。結果、入社5年目で執行役員に就任し、同期最速で役員に上り詰めることができた。その原動力に迫った。

【鈴木】
母の祖父が事業で失敗したため、僕の父と母は「真面目が一番」「質素倹約がこの世のベスト」という教えだったんです。しかし、僕は両親にそう教えられて育ったから自分も教えに倣うということはなく、その生活を原動力としてそのような考えから脱却したいと考えていました。

そんな考えを胸に、大学を卒業してエリアリンク株式会社へ入社。3年で部長に昇進するという目標を掲げて、とにかくがむしゃらに働いていました。そんな僕の姿を見て、当時の林社長がとてもかわいがってくださったんです。

今振り返ると、認めてくれる存在ができたのが当時はすごく嬉しかったですね。その後は「林社長に認められたい」という気持ちが自然と仕事に対するモチベーションになっていきました。

【ナレーター】
常務取締役、専務取締役を経て、2023年3月に代表取締役社長に就任。現会長の林尚道氏とのエピソードが、今も印象に残っていると振り返る。

【鈴木】
実は社長に就任する3年前に、当時の林社長から急に「そういえば、いつになったら社長をやるつもりなの？」という話をいただいたんです。

驚きつつも「そもそも任命もされていないので、いつからって答えられないのですが…」と言ったところ、「お前がやる気だったら任せたい」と言われたのでので、「そうおっしゃってくれるのであればやります！」という流れで決定しました。

社長就任が決まり、やはり一番最初は嬉しく思いましたね。上場企業といえども、息子さんに会社を継がせるのは普通の話だと思うので。実際、僕も林社長の息子さんが継ぐと考えていましたし。

その後は執行部内で少しずつ準備していきました。3年間にわたって準備したため、社長就任後にプレッシャーを感じることは全くありませんでした。