【ナレーター】
カレンダーシェアアプリを開発・提供している「株式会社TimeTree」。
「世の中の時間をつなげて、世界中の人々がよりよい明日を選択できるようにする」というミッションを掲げてリリースされたアプリ『TimeTree』は、世界13言語に対応し、4900万人以上(※)のユーザー数を誇る。
※2023年6月時点
近年では、時間との付き合い方を考えるプロジェクト『Time Design Lab』の立ち上げや、アプリの特性を生かし、カレンダー上でプレゼントを贈り合えるサービスを展開するなど、予定管理の新たな在り方を追求し続けている。
「世界中の人々の人生を豊かにするものをつくりたい」という創業者の思いのもと生まれたTimeTree。その裏側に迫る。
【ナレーター】
自社プロダクトの強みについて、「人が人を呼ぶこと」だと答えた深川。その真意とは。
【深川】
日頃からユーザーさんに話を聞いたりとか、X(旧Twitter)で調べたりすると、こんな使い方があるんだということを知って驚かされます。それらを拡散すると、その使い方を真似する人が増えていくのです。
どういう気持ちでこのアプリを起動して、操作しているのか、というようなところをとてもきめ細やかに考えています。
海外でもなるべく、悩まずに使えるようにと、とても細かく考えます。
たとえば、TimeTreeアプリは「共有」が前提なので、日本ではインストールして起動した瞬間、LINEも立ち上がって共有したい人に招待URLを送るだけ、みたいになっているんですよね。
韓国であればカカオトーク、中国であればWeChat、アメリカであればWhatsAppと、国ごとに一番使われているメッセンジャーを調べて、TimeTreeと同時に起動させるメッセンジャーを国によって変えるというような、そういうきめ細かい対応をやってきましたね。
【ナレーター】
深川の原点は、ヤフー株式会社にある。
同社が提供するコミュニケーションサービス、SNSなどを担当後、Yahoo! JAPANと韓国のカカオのジョイントベンチャーでメッセージングアプリなどの企画に携わるが、さまざまな理由によりチームの解散を余儀なくされた。
しかし深川は、このチームでもう一度事業をやりたいと、2014年にTimeTreeを共同創業。メンバーで出し合った事業アイデアの中で深川が着目したのがカレンダーシェアアプリだった。
【深川】
当時感じていたのは、世界中でチャットを使うようになっていたことです。
それによってコミュニケーションのペースがとても速くなって、いろいろな時間軸が高速で進むというか、すごく忙しくなっている。
それなのに、選択肢はどんどんどんどん増えていっていて「時間がいくらあっても足りない」みたいな。
これだけ忙しくて選択肢が増えているにも関わらず「自分の貴重な24時間をどうやって使うか」というところの手段がないなと思って、そこに合う道具が世の中にあった方がいいのではないかと考えました。
その時に、予定って自分ひとりで決められることが少ないなと思ったんです。たとえば妻と相談して、「この日はちょっと僕が出かけるんだけど」だとか、「この日は僕が子どもの面倒をみるよ」といったように。
仕事でもやはり調整が入ることが多いですよね。それらを「一人で決めることないのに」と考えたのです。「共有を前提とした方が世界全体がスムーズに回り、好きなことをもっとできようになるんじゃないか」っていうところからスタートした感じでした。
【ナレーター】
そして2015年3月、カレンダーシェアアプリ『TimeTree』をリリース。アプリの利用者を増やすために深川が取り組んだのは、ユーザーの“声”に耳を傾け、具体的な利用例を拡散することだった。
【深川】
最初は「カレンダーは共有できますよ、便利です」ということや、説明文だけだったんですよね。
そこから家族で「この日は晩ご飯いらない」とか、「この日のお迎えはどっち」などと、「予定をアプリに入れることでケンカがなくなりますよ」といった内容に発展させて。
そうすると、みんなパッとイメージできる。使ってくださっている人のレビューが増えていけば、「これ、便利なんですよ」と言ってくれるようになると思ったんです。
当時はカレンダーをシェアすることに対して家族からは「なんで?」って言われていたんですよね。「なんで、そんなことしなくちゃいけないの?」とか「何の意味があるの、それ」とか。
でもアプリを使った人が「これ、めちゃくちゃ便利」「ケンカがなくなった」とか、いろいろ言ってくださることによって解消されていきました。
アプリを活用している人の声を聞いて、「私もやってみよう」と思えるような形で皆さんに地道に発信し続けたことで、少しずつ体験した人を増やしていったのです。