株式会社山櫻 紙×SDGsで新たな付加価値を。老舗総合メーカーの挑戦 株式会社山櫻 代表取締役社長 市瀬 豊和  (2021年12月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】
名刺や封筒、はがきなどを製造・販売する紙製品の老舗総合メーカー「株式会社山櫻」。

1990年に業界で初めて再生紙を使用した名刺を発売して以来、環境・人・社会に配慮したエシカルな製品の企画販売に注力。

2019年にはスウェーデン語で「豊かな森」を指すエシカルブランド『rik skog(リークスクーグ)』を立ち上げ、2025年までに、供給する規格品の95%をエシカルな素材にすることを目指し、その事業領域を拡大させている。

IT化の加速により斜陽産業化しつつある製紙業で、新たな付加価値創造に挑戦する経営者の軌跡と、その想いに迫る。

【ナレーター】
SDGsの達成支援を表明し、注力している取り組みのひとつがエシカル製品の普及だ。主要ブランド『リークスクーグ』の特徴と、立ち上げの経緯に迫った。

【市瀬】
プラスチックではなく、紙製のハンガーをつくっています。中芯に100%の古紙を使い、表面の両面は「バナナペーパー」といってバナナの茎の繊維からつくった白い紙です。紙製ですが、結構、強度もあります。

「最も環境に配慮した材料を使ったハンガー」という触れ込みで、SDGsに力を入れているアパレル企業のショップなどに購入いただいています。

また、マイクロプラスチック問題を気にされていた知人が、家でプラスチックハンガーを買う代わりにということで、100本ほど購入いただきました。そういった需要が今、増えています。

もともとはペオさんというスウェーデン人がアフリカのザンビアでバナナの茎がたくさん放置されているのを見て、「これはもったいない。紙にできないか」と考えたのがスタートですね。

我々も1990年からずっと古紙を手がけてきました。ですから会社に環境問題に対する素地があったのか、話を聞いたとき「これは一緒に取り組んでいかないといけない」と部長職の者も一瞬でスイッチが入っていましたね。

【ナレーター】
山櫻をけん引する市瀬の原点は学生時代に遡る。

小学校、中学校、高校、大学とラグビーに打ち込み、全日本選抜にも選出されるほどの実力を有していたが、選んだのは就職だった。なぜラグビーの道を選択しなかったのか。

【市瀬】
慶応のラグビー部は非常に厳しいトレーニングをするんですね。大学ラグビーはやり尽くしたという気持ちがあったので、きっぱりと「ラグビーは趣味の世界でいい」と思えました。

スポーツもビジネスも目標が明確でないと頑張れないものです。社会人になったときのラグビーの目標が少しぼんやりしていたので、決断はそれほど大変ではありませんでした。

【ナレーター】
大学卒業後はメガバンクへと入行。銀行を選択した理由について、市瀬は次のように語る。

【市瀬】
経営とは切り離せないお金について勉強したいという思いもありました。また、銀行員の営業職はお金を貸したり預金したりという仕事が主なので、それを通じて企業のトップと会うことができます。

こうしたことはなかなか普通の企業の営業職ではできないことですから、将来、山櫻でビジネスをするときにためになるし価値があると考え、銀行に入りました。

【ナレーター】
そして1991年、29歳で山櫻に入社。知られざる入社までの経緯に迫った。

【市瀬】
ひとつは祖父が銀行の支店に「そろそろ辞めさせる」というようなことを言ったらしいのです。

もうひとつは、ちょうど社会人5年目の時に結婚が決まりまして。実は独身のうちに海外へ行きたかったんです。英語を勉強し、海外の状況とかも肌で知りたかったのですが、結婚が先に来てしまいました。

そのタイミングで銀行を退職し、翌年から貯めたお金で海外に1年間、新婚で住みました。英語には苦労していたのでもっと勉強すれば良かったと思いましたね。

【ナレーター】
入社当時の山櫻の印象と取り組んだ仕事について、市瀬は次のように振り返る。

【市瀬】

「この会社は本当に遅れているな」と感じました。

たとえばコンピューターシステムがほとんど入っておらず、一日に何百枚も納品書や伝票を手書きしていたり、経理処理の帳簿や給与計算も全部手計算でやっていたり。そこが一番驚きましたね。

そこで、最初はかなり苦労しましたが全体の基幹システムを導入しました。創業者の祖父には分からない世界ですから「コンピューター化しないとまずい」と説得するのは結構大変でしたね。

会社全体のお金の流れや事務の流れ、業務の流れを理解するには最もいい機会だったかなと思いますけどね。

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社長プロフィール

氏名 市瀬 豊和
役職 代表取締役社長
生年月日 1962年12月17日
出身地 東京都
座右の銘 継続は力なり
略歴
1985年 慶應義塾大学法学部法律学科 卒業
1985年 第一勧業銀行 入行(現みずほ銀行)
1991年 株式会社 山櫻 入社
2004年 同社代表取締役社長就任
現在に至る
【その他】
株式会社トータル保険サービス 社外取締役、一般社団法人エシカル協会 監事、慶應義塾體育會蹴球部 黒黄会(OB会)理事長、一般社団法人静岡県ラグビーフットボール協会 理事

10歳から社会人まで17年間にわたりラグビーボールを追いかけ、高校日本代表、関東代表、日本選抜にも選出される。 山櫻では『すべての出逢いを未来の豊かさへつなぐため、いまを大切に輝き続ける企業を目指します』という企業理念を掲げ、名刺や封筒などを始めとした製品やサービスを通して、人と人、人と企業、企業と企業の出逢いをつなぐ事業を展開しています。特に、『SDGs=社会の持続可能な繁栄』に少しでも貢献できるよう、ザンビア(アフリカ)のオーガニックバナナの茎から作るバナナペーパーなどのエシカル製品を普及させることに力を注ぎ、地球・社会・経済・人の豊かさの創出へ向けてチャレンジしています。

会社概要

社名 株式会社山櫻
本社所在地 東京都中央区新富二丁目4番7号
設立年月日 1948
業種分類 パルプ・紙
代表者名 市瀬 豊和
従業員数 533名(2021年2月現在)
WEBサイト https://www.yamazakura.co.jp/
事業概要 紙製品の製造・販売と付帯する事業、Webサービス事業、名刺・はがき作成システムおよびプリンター等の開発と販売、オリジナル文具の製造・販売と付帯する事業、フルフィルメント事業
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