
インタビュー内容
【ナレーター】
創業190年を超え、百貨店業を中心に、商業開発業、金融業、建装業など、お客様満足を追求した独自の次世代商業施設づくりに取り組む「株式会社髙島屋」。
日本橋、横浜、大阪など主要都市を中心に国内百貨店13店舗、海外百貨店4店舗を含む、22のグループ商業施設を展開している。
2024年4月には、創業以来培ってきた「おもてなしの心」や「文化の発信」などの「変えてはならないもの」と、時代やお客様のニーズの変化などの「新しくするべきもの」を明確化したグランドデザインを策定。さらなる成長を目指して歩みを進めている。
髙島屋ブランドを世界へ。躍動する経営者の軌跡と、思い描く成長戦略に迫る。
【ナレーター】
自社の強みについて、村田は3つの要素を挙げる。
【村田】
我々は国内に13店舗、海外に4店舗を展開している百貨店グループで、約30社のグループ会社があります。日本の東西にバランスよく大型店を配置する他、シンガポールをはじめとする海外にも大型店舗を展開しています。国内外でバランスのいい配置をしているのが、1つ目の我々の特徴です。
2つ目の特徴は、店舗でお買い上げいただくお客様の顧客層が、富裕層だけでなく中間層まであらゆる世帯の皆様に支持をいただいている分、厚い顧客基盤があることです。
3つ目の特徴は、グループ会社の多さです。二子玉川店は今年で55年、シンガポール店は31年と、長い時間軸の中で街づくりをしてきました(2024年12月時点)。その牽引役となったのは、東神開発という我々の関連会社です。
それ以外にも、髙島屋ファイナンシャル・パートナーズなど、数多くの優良な子会社を保持しています。こうした多くのグループ会社を保有していることは、アドバンテージになる要素だと思っています。
【ナレーター】
村田の原点は、髙島屋に入社した後の経験にある。キャリアを積む一方で、労働組合の委員長としても多くの経験を重ねた村田は、会社員として会社に貢献するか、組合で進んでいくのかを決断する際に、大きな葛藤があったという。
【村田】
複数年度にわたって労働組合の専従職員を務めた経験があり、これは私の職歴の半分にあたります。会社にそのまま残るのか、組合に移るのかを選択することは、自分の人生の中で大きな節目になりました。会社を通じて社会に貢献していくことを選んだのは、一つの大きな転機です。
企業に就職したからには経営を勉強したいと考えていたので、組合の委員長を務めていたときには会社法の学び直しをしたこともあります。そういった経験から、「もう一度、経営を通じて何らかの社会貢献をしていきたい」という思いが、より強くなっていきました。
組合の専従職員の経験が長いと営業のキャリアが減ってしまいますが、そういった中で柏髙島屋の店長を初めて拝命したので、これも非常に大きな転換期となりました。柏店長になったのは、ちょうど震災が起きた2011年から2012年までの2年間です。
関東が非常に疲弊していた時期に一つの店舗を任されて、そこでみんなと一緒にものをつくり上げる経験ができたのは、自分のキャリアの中でも非常に大きな転機になったと思います。
【ナレーター】
その後、執行役員、常務取締役を経て、2019年3月に代表取締役社長へ就任。当時の心境をこう振り返る。
【村田】
髙島屋グループの社会に対する影響の大きさを、社長になって改めて感じるようになりました。お客様との関係はもちろん、大型の1店舗だけで5000社の取引先があります。その取引先から、さまざまな場面で髙島屋がどれだけ期待をされている会社なのかを感じました。
また、商品だけでなく、文化的な取り組みの面からも気付きを得ました。たとえば、髙島屋は、絵画やお茶の展示会などをしたご縁もあり、非常に幅広い世界の皆様にお世話になり、支えられています。社長としてあらゆる方向の仕事を経験をしたことで、そのことをさらに実感しました。

経営者プロフィール

氏名 | 村田 善郎 |
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役職 | 代表取締役社長 |
生年月日 | 1961年10月26日 |
出身地 | 東京都 |
座右の銘 | 人には親切に、勇気を持って。 |
1985年 3月 慶應義塾大学法学部卒業
2012年 3月 一橋大学大学院 国際 企業 戦略研究科 経営法務 修士課程 修了
職歴)
1985年4月 株式会社髙島屋 入社
2011年5月 同社 営業本部 柏店長
2013年2月 同社 執行役員総務本部副本部長、 総務 部長 、 賃料管理室長
2014年2月 同社執行役員総務本部副本部長、総務部長、賃料管理室長、企画本部開発グループ長、アジア開発室長、日本橋再開発 計画室副室長
2015年5月 同社常務取締役企画本部副本部長、経営戦略部長、IT推進室担当
2017年8月 同社常務取締役(代表取締役)総務本部長、企画本部副本部長、経営戦略部長、秘書室、IT推進室担当
2018年3月 同社常務取締役(代表取締役)企画本部長、IT推進室担当
2019年3月 同社取締役社長(代表取締役)CSR推進室、業務監査室担当
2020年3月 同社取締役社長(代表取締役)業務監査室担当
2021年11月 同社取締役社長(代表取締役)営業本部担当、業務監査室担当
2024年5月 同社取締役社長(代表取締役)業務監査室担当
現在に至る
会社概要
社名 | 株式会社髙島屋 |
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本社所在地 | 大阪府大阪市中央区難波5丁目1番5号 |
設立 | 1919 |
業種分類 | 小売業 |
代表者名 |
村田 善郎
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従業員数 | 6845 名 ※単体 2024年2月時点 |
WEBサイト | https://www.takashimaya.co.jp/index.html |
事業概要 | 百貨店業・法人事業・通信販売事業・グループ事業 |