【ナレーター】
USEN&U-NEXT GROUPの事業会社のひとつである株式会社USENは、店舗BGMの音楽配信サービスにおいて、国内トップシェアを誇っている。
80万店舗以上にサービスを提供する同社は、音楽配信のみならず、店舗の開業支援やコンサルティングのほか、POSレジやモバイルオーダーを扱い、キャッシュレス決済や配膳ロボットによるDX推進も手掛けている。
2023年11月には、音と映像が一体化した来店者参加型のサービス「USEN MUSIC Entertainment」を開始し、店舗が持つべき付加価値の創出に向け、積極的に挑戦を続けている。
「お店の未来を創造する®」というグループのミッションを掲げながら活躍する、貴舩靖彦の、新社長就任までの軌跡と思いに迫る。
【ナレーター】
自社の強みについて、貴舩は次の4点をあげた。
【貴舩】
1点目はサービスの豊富なラインナップをそろえているということです。
弊社のコンセプトとして、 開業支援から開店前の準備、運営サポート、集客、そして退店に付随することまで、店舗の一生涯に関わるサービスを提供できる点が大きな強みになっていると思います。
たとえば、弊社が行っている開業支援では、開業をお考えのお客様向けに、無料のセミナーを年間170回以上、実施しています。
2点目は、全国に配置している約1000名の営業マンが、お客様のもとを直接訪問して、課題解決に向けたコンサルティングができるということです。
そして、弊社ではいろいろなサービスを提供しているため、修理、メンテナンス・サポートが非常に重要です。そこで全国約130カ所の拠点におよそ1000名弱のエンジニアの部隊を配し、各地域から直接お客様のところに伺ってメンテナンス・サポートができる体制を整えていることが、3点目の強みです。
最後に、今、社会はスピーディーに次々と変化しており、お客様の課題も急速に増えてきています。それらの課題に合わせて新しいサービスやプロダクトを開発できることも、4点目の強みとして挙げたいと思います。
【ナレーター】
貴舩の原点は支店長時代に遡る。1995年に、USENの前身である株式会社大阪有線放送社に入社し、約3年で支店長に就任。
順調にキャリアを重ねるが、「ある社員からの言葉をきっかけに、組織づくりにおいて何が重要かを気づかされた」と振り返る。
【貴舩】
支店の社員は全て目上の方々でしたが、私は若かったこともあり、勢いでマネジメントをしてしまった面がありました。そんな状況もあって、一時期、社員から「ついていけない」といわれたことがあったんです。
その時、組織とは“人”が非常に重要なものだと思いましたし、マネジメントによって組織が変わっていくことを実感しました。
その後は、マネジメントやリーダーシップについて書かれた書籍を読み、その内容を咀嚼しながら実行へと移してきました。その結果、今のよう(な思考)に変わってきたのだと思います。
そして、あの時のあの言葉があったからこそ、今、代表取締役として着任できているのだろうとも考えています。
【ナレーター】
研鑽を重ね、西関東や南関東の支社長、営業企画部長を経て、2012年に海外進出の立ち上げを任され、上海へ渡る。貴舩は、その際の経験が今に生きているという。
【貴舩】
中国のベンチャー企業にジョインしてのスタートで、私はCOOを担当させていただきました。
もともと日本でも一部門の責任者ではありましたが、中国・上海では、小さいながらも一つの会社を全体的に運営する、最高執行責任者という立場で仕事をしました。その結果、経営のすべてについて勉強できたことが、非常に大きな経験になったと思っています。
当時は、日系企業が海外に進出する際に、BGMの手配をご依頼いただくケースがありました。ところが、それまで我々は海外への事業展開を積極的に行っていなかったため、十分なサポートができていない面があったのです。
この中国での拠点立ち上げによって、海外に進出する日系企業の手厚い支援ができるようになっていくだろうと考えました。
また、国内と比べて海外には格段に大きなマーケットがあるので、そこに向けてチャレンジできるということは非常に面白いことだと感じました。