【ナレーター】
創業時にネットリサーチ事業からスタートし、現在までにマーケティングリサーチサービスを総合的に提供しており、年間で約1万件以上のリサーチを手掛けるとともに、顧客企業のデジタルマーケティング支援までを行っている「株式会社クロス・マーケティンググループ」。
約800万人以上の国内有数のプロモーションネットワークと、世界11カ国に拠点を有し、国内だけでなく海外の大手法人などの支援も実施。
2021年には「デジタルマーケティング」「データマーケティング」「インサイト」の3事業を主とする事業体制に変更。顧客のビジネスの成功を導いていく「マーケティングDXパートナー」を目指し、挑戦を続けている。
総合マーケティング企業をけん引する創業者が見据える次のステージとは。
【ナレーター】
世界的に推進されているデジタルトランスフォーメーション。この大きな変化は、自社にとっても飛躍の転機になりつつあると五十嵐は言う。
【五十嵐】
本質はプロセスの話になってきますので、デジタルを使ってどんなビジネスをするかということですよね。だからそういう面では、従来になかった領域の拡充ということもありますし、今までの仕事のやり方を変える。
モノの売り方自体がよりデジタルを使ってという形になってきていますので、そういう意味ではDXという言葉の中にビジネスチャンスが広がったという見方が良いのではないかと思います。
僕らはマーケティング支援会社として、何か時代が動くことで大きなビジネスチャンスになってきますので、皆さんが新しいことを始めようということは、常に僕らにとっても可能性が広がってくるということになりますね。
【ナレーター】
経営者であった両親の背中を見て、自身も同じ道を志していた五十嵐は、慶應義塾大学経済学部を経て、1996年にベンチャーキャピタルに入社。数多くの経営者の成功と挫折を見てきた中で得た学びについて次のように語る。
【五十嵐】
僕の場合、独立したいという方針はありました。でもできるのかなって、常に不安がよぎるわけですね。
これは運がすごい大事で、いわゆる周りの起業家の人たちから「独立するタイミングだよね」と背中を押してくれたり、経営者の知り合いが多いということもあって、「最後は骨を拾うからやってみたら」と言ってくれたり。
そういう意味では、若い人たちってキャリア志向とかスキル志向が強すぎるので、独立を考える時は、自分に何かあった時に助けてくれる人が何人いるかということが最も大事な要素だと思うんですよね。
【ナレーター】
その後、ITベンチャーの起ち上げに役員として参画。インターネットメディア事業を運営するも、当時は収益化が難しく資金繰りに難航。そこで浮かんだのが独立という選択肢だった。
【五十嵐】
年齢的なタイミングもありますし、前職の時に比較的にもう資金が尽きてきたというのもありますね。
あと、自分が立ち上げた事業のコンディションの影響もありました。ある面、今(当時)の現状の会社では追加資金が出てこない状況になってきまして。
自分自身が事業責任者として、さらにこの事業を大きくしていくためにやっていた時に、お金が出てこないといった場合にじゃあどうするのかということになってきて、もういい機会なので独立してやろうと。
それで前職を辞めて始めたのが、クロス・マーケティングという会社ですね。
【ナレーター】
そして2003年、株式会社クロス・マーケティングを設立。着実に成長を重ね、2008年に東証マザーズへ上場し、2018年には東証一部へと市場変更を果たした。五十嵐が語る、成長を続けるために考えるべきこととは。
【五十嵐】
会社を伸ばすということが大前提ですね。ベンチャー企業にとって、成長していれば、いろいろな経営課題はほぼ消えていきます。
それはどういうことかというと、いわゆるベンチャー型人材はゼロからイチを生み出すという思考で仕事をしますので、これがルーチンワークになった瞬間に、仕事がもうつまらないと思ってしまう。
ということは、新しい領域をちゃんとつくって引き渡せるか、あとは組織型人材の場合だと、ちゃんとした業務運営をしたいという方が多いので、ちゃんとした仕組みを求めてきますし。そういう形で、フィールドを広げていくというのはすごく大事だと思います。
実は若い人の方が事例主義で、要するに先輩がやっていたら自分もやれそうな気がすると思う方が多いんです。今の当社は先行事例をつくりながら、どう促していくのかということが求められている段階ですね。
【ナレーター】
継続した成長には挑戦を習慣化し、経営陣を中心にその環境をつくることが大事だと五十嵐は言う。
【五十嵐】
基本的には、失敗が前提で動いています。
10やって、3つうまくいけばいいわけじゃないですか。7つ失敗することを前提で動くということと、やはり挑戦した人が馬鹿をみないということがすごく大事だと思っていて。
実は組織の敵は組織じゃないですか。挑戦が失敗すると「あいつ失敗したじゃん」って言われてしまうんですね。そういうのをどう言わせないかということや、上の立場の人が失敗しておくことが大事です。
ちなみに当社の執行役員クラスには、新しいことをやりなさいという指示がよく飛んでいますね。