株式会社ダスキン ~卓球部コーチから社長に登り詰めた男が描く「ダスキン」変革絵図~

Vol.1 心に響いたお客様の言葉

株式会社ダスキン 代表取締役社長 山村 輝治 (2016年11月取材)

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―心に響いたお客様の言葉―

【山村】

遊びでやっていた卓球を始めたのが実は中学校で、中学校で卓球を始めてのめりこんで、卓球の強い高校に行きたいということで、高校3年間は年間364日の練習ですね。ほとんど休みがなくて、その結果、自分が3年生の時にはチームが全国のインター杯でベスト8になりました。そういういわば中学校・高校とどちらかというと卓球漬けの時代だったというふうに感じます。

結果的に全国大会の優勝はできませんでしたが、高校生活が終わると考えた時に、今度は自分がチームを率いて全国大会に優勝できるチームをつくろうと思いました。その時に、指導するためには教員の教職課程を取らなければいけないということでしたので、そのために教職課程を取得できる大学に進学しようと、大阪の体育大学に進学をしました。もちろんそこでも卓球は続けていたんですが、卓球をしながらある程度学費も自分で稼がなければならないということで、『ミスタードーナツ』に、当時24時間営業だったので、夜の11時から朝の8時まで2日に1回ほど入店して、大学の入学から卒業式まで『ミスタードーナツ』でずっとお世話になりました。

ただその時、『ミスタードーナツ』をダスキンが経営しているというのは知らなくて、ダスキンにお世話になってから、『ミスタードーナツ』はダスキンがやっているんだということを知るくらいでした。ですから、「『ミスタードーナツ』でアルバイトをしていたからダスキンに入ったんですか?」と聞かれるのですが、全然関係なく、どちらかというと学費を稼ぐためでした。昼間は授業があって、夕方からは大学でクラブがあるので、その夕方の時間にアルバイトがあるために夜中にバイトをしていました。そこでもいろいろと学びました。

『ミスタードーナツ』に、少し強面のお客さんが毎週土曜日のだいたい3時くらいに来られるんです。私も毎週土曜日に入っていたので、その方と毎週お会いするんですが、毎回オールドファッションとコーヒーを注文されて、全く無言で30分くらい在席されて帰られます。半年くらいたったころ、ぼそっと口をきかれて、私にドーナツの値段とコーヒーの値段を聞くわけです。毎回同じ商品を頼んで毎回同じお金払ってるので知らないわけがないのに、それを聞いてくるから、「いくらですよ」と答えました。すると、『ミスタードーナツ』ですから、椅子や砂糖が置いてあるんですが、「これはいくらだ?」とか、「照明いくらだ?」とか、それから最後には「お兄ちゃんはいくらだ?」と私に向かって聞くわけです。

意味が全くわからなくて、「僕は値段ついてないですよ」と言ったら、その方が、「いいや、世の中は商品、もしくはサービスしか値段がつかないのは知ってるだろう。商品は代表して値段を言っているだけで、ここに含まれているものは、周りの雰囲気や兄ちゃんの接客、店の汚れ、全部含めて商品が代表しているんだ。だから接客悪かったり汚れてる店だったりしたら、商品が泣いてるんだぞ。世の中、これから兄ちゃんが大学卒業して、公務員にならない限り、どこかで就職すれば何等かで価格をつけられるから。ホテルなら宿泊料、商品だったら商品の値段、サービスならサービス値段。それには色々なものが含まれているから、その商品の値段は最大でも価値は半分くらいしかないと思っておきな。その半分以上をその商品が安く感じるか、高く感じるかというのは、実はそれ以外の要素がたくさんあるんだ」と言われて、それ以来その方は来られなくなりました。

それからずっと何も考えずいたのですが、ダスキンに入ってあることがあって、そのことがふっと思い出されました。1件のお客さんが契約になった時に、別の会社の商品を使っておられたのですが、「別の会社もダスキンの商品も、我々からするとそれほど変わらない」と。「でも、山村さんが一生懸命来てくれて、山村さんを信用したから商品をチェンジするわ」と。「商品の価値なんてそれほど変わらない。対応する人によって良いか悪いかと感じるものだ」と言われたときに、瞬間的にさっきの話をばっと思い出して「そうなんだ」と。

そこからはそういう気持ちをできるだけ持ち続けてやっていこうとしていますので、今も自分自身もいろんな商品を買ったり、サービスを受けたり、レストランを使ったりする時には値段表の半分しか見ていなくて、あとの半分はお店の雰囲気や接客のマナーとか笑顔とか、そういうことですごい良かったなとか、もうひとつだったなとか、こう思うように習慣づくようになりました。

社長プロフィール

President's profile
氏名 山村 輝治
役職 代表取締役社長

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