―創業当時の秘話などございましたら、お話しいただけますでしょうか。
澤田会長:
20代の頃に仲間と初めて起業し、建機リース・不動産業の会社を営んでいました。
資材置き場を確保するために土地を借りたことがきっかけで、不動産でビジネスチャンスを掴めないかと思うようになり、不動産業に興味を持ち始めたのです。
しかし、創業当初は苦労しました。
約半年間ゼネコンから売上が入ってこず、資金繰りに苦しんでいた時期がありました。
その時に、銀行窓口で「どうにか繋ぎの資金を融資してもらえないか」と相談したのですが、当時ゼネコンから振り出されていた手形を見せると「できるわけない!」と。
その場で融資担当の方に手形を投げ捨てられたことがありました。あの出来事は衝撃すぎて、今でも覚えています。
その一件から約20年後に、偶々当時同じ銀行の窓口に勤めていた方と会ったのですが、私の顔を見て「あの時は本当にすみませんでした」と謝ってくれたのです。
投げ捨てた本人ではないのに私のことを覚えてくれていたこと、頭を下げて謝ってくれたことに、思わず目頭が熱くなってしまいました。
その後、利回りの良い物件を得ることができ、その物件を担保に事業を拡大し、不動産業の魅力にどんどん魅了されていきました。収益不動産にはかなりこだわりがあり、利回り10%以上を目指す中で、金融機関からの信頼も得られるようになりました。
企業経営に関わるようになったのは、リーマンショック後です。SPC(特別目的会社)を設立し、金融機関から調達した資金で会社ごと不動産を買う投資プロジェクトを始めた結果、役員に就任しました。
20年以上も企業経営に関わる中で、物件情報はお金のあるところに集まることがわかり、金融の力の偉大さをひしひしと感じましたね。
そこで、複数の会社も展開しつつ金融業に転身し、金融力を身に付けていきました。
その経験を経てDSG1を創業し、今は企業経営の経験や金融力を活かして、ベンチャー企業や不動産、その他関連事業を手掛ける企業に向けて、投資やM&Aに注力しています。
―貴社の商品・サービスの中でも特に強いこだわりがあるという点があれば、お教えいただけますか。
澤田会長:
DSG1は名古屋地域をメインに、不動産投資や事業を興したい方々向けに事業を営んできました。その基盤を活かして、M&Aやデザイン業も展開し、より多角的にお客様の課題解決を図っていけることが他の同業他社と大きく異なる点だと思います。
フューチャーベンチャーキャピタルに関しては、事業規模も業種も問わず、幅広く対応することが可能ですが、地方の企業とアーリーステージのベンチャー企業を中心に、ベンチャーファンドを浸透させることを最大の使命だと考えています。
なぜベンチャー企業と地方にこだわるのかというと、日本が今後経済的に活性化していくには、起業する人間が増えることと、地方の活性化が必須になってくるからです。
しかし、今の日本の地方は過疎化や事業の廃業など、解決しなければならない問題が沢山あります。また、海外に比べても夢を追って起業する若者が少ないのが現状です。その問題に対し、ベンチャーファンドを用いて解決を図っていこうと考えています。
弊社独自の3つの事業モデルを用いれば、ベンチャーファンドが浸透しづらい地方でも、夢を追う若者たちの背中を押すような、新たな課題解決手法の一つとして認識していただけるのではないでしょうか。
その他に近年多いのは、事業承継の問題です。中小企業の場合は後継者がいないケースが多く、よく相談をいただきます。今後も投資やM&Aを通じて、事業承継問題の解消に努めていくつもりです。
―貴社が成功した秘訣を教えていただけますか。
澤田会長:
不動産業を主軸にしているDSG1においては、私自身も今まで不動産業を営んできた経験値を上手く活用できたことと、さらに先述した通り、多角的に企業様の課題解決に貢献できる体制を構築できたことが要因だと考えています。
フューチャーベンチャーキャピタルに関しては、やはり、20年以上ひた向きに「地域活性に資すること」を目的としていたことでしょうか。
地域金融機関と信頼関係を築いた上で、ファンドを運営してきた積み重ねがあってこそだと思います。
また、アーリーステージのベンチャー企業へ積極的に投資をしてきたことも大きな要因ですね。
通常、アーリーステージの企業に対して銀行はなかなか融資をしてくれないですし、資金調達が困難になることが多いのです。
我々はそんなベンチャー企業の中にも、大きな可能性を秘めた企業があると考え、積極的に投資していく。そのスタンスは、他の投資会社にはない強みだと自負しています。
ブルーオーシャンといえる地域金融機関と、アーリーステージのベンチャー企業への投資活動を前向きに行ってきたことが、世の中から支持をいただけた理由ではないでしょうか。
私は収益物件の運用をきっかけに、不動産業の知識や経営の基本を身に付け、金融機関との信頼関係も築けるようになりました。
そして、不動産投資プロジェクトを通じて、商業施設やサービス付き高齢者住宅などの様々な企業と関わり、経営に協力してきました。不動産投資を始めなければ、ここまで広い知識や経験は得られなかったでしょう。
20年以上の経験の中で培ってきたもの、そして多くの人とつながれたことで、様々なベンチャー企業に対して金融や経営面での支援を実現できていると自負しています。
―視点を変えて、採用に関する質問です。貴社が求める人物像や会長の右腕として活躍するために必要な『素質』をご教示ください。
澤田会長:
自ら主体的に考えて行動できる人物は、ぜひ弊社に来ていただきたいですね。
私自身もそうやって仕事をしてきたということもあり、何事も前向きに、ピンチもチャンスだと捉えることができるポジティブ思考の方は大いに歓迎します。
人とコミュニケーションを取ることが好きで、率直な意見を言える方も重宝します。
金融業という立場である以上、色々な業種の方々と関わることになるので、コミュニケーション能力が高い方にも積極的に入社いただきたいです。
弊社で活躍している社員には、私にも遠慮せずに提案や意見をどんどん発言できるようなガッツ溢れる人材が多いので、臆せず意見を言えることも重要です。
そして、私たちが手掛ける事業は、クライアントとなる経営者様と従業員の方々の人生を左右するものです。情熱を持って一つひとつの案件に挑むことが求められます。
投資やM&Aの専門知識を身に付けたり、向上させたりする努力が必要です。お客様のことを常に最優先で考えながら、自己研鑽できる方も求めています。
弊社の事業はお客様からの信頼が特に重要となるため、礼儀や人としての誠実さも、採用において重視しているところです。
―最後になりますが、貴社の今後のビジョンをお伺いできますでしょうか。
澤田会長:
フューチャーベンチャーキャピタルに関しては会社の株価を10倍にし、地方創生ファンドを全国に浸透させ、全国に支店を立ち上げて、夢を追う起業家たちを引き続き応援していきたいですね。
今は昔よりも起業をすることへのハードルが下がっていて、どんどん若いうちから会社を興す人も増えていますが、日本は海外と比べるとまだベンチャー企業が少なく、経済成長も鈍化しています。
だからこそ、チャレンジ精神と活力のある企業の誕生が求められます。
しかし、将来性があっても成功するとは限らず、やむを得ず撤退することになったアーリーステージのベンチャー企業は少なくありません。
事業成長につながるサポートが整っていれば、撤退するベンチャー企業も減るはずです。
私自身も金融の力で何度も助けられてきた経験がありますし、今後もベンチャー企業のサポートに尽力していきたいと考えています。
加えて、DSG1もしっかりフューチャーベンチャーキャピタルをサポートする形で貢献していこうと考えています。
また、個人的には子供たちへの金融教育もどんどん進めていくつもりです。
日本では金融教育が他の先進国に比べて遅れています。昨年から高等学校の金融教育が始まりましたが、もっと早く、中学校の頃から金融の知識を身に付けていくべきです。
現在は、全国の学校で金融の授業を積極的に行っています。今後は、さらに活動の幅を広げていきたいですね。
ベンチャー企業への投資、子供達への金融教育は日本を豊かにすると私は信じています。
希望ある未来づくりの一端を担えるよう、DSG1は失敗を恐れず、これからも日本経済に貢献するサービスを展開し続けてまいります。