本記事では、アクアードコンサルティングの創業背景から事業へのこだわり、採用、そして今後のビジョンまで、代表の住吉社長へのインタビューを通じて深掘りしていきます。

「助かった」のひとことが、全ての始まり

-創業当時の秘話などがございましたら、ご教示いただけますでしょうか。

住吉社長:
東芝やリコーでの勤務時代、組織の課題や業務改善に関心を持つようになり、次第にコンサルティングの世界に惹かれていきました。その後、実際にコンサルティングファームに転身し、プロジェクト単位で動く働き方を経験しました。

仕事が一区切りつくたびに「どのようなキャリアステップを人生の中で作り上げていくか」と自問自答しながら、キャリアの選択肢を探っていたんです。大手コンサルティングファーム、大手事業会社への転職か、それとも思い切って独立か。常に、自分の進むべき道を模索していました。

そんな中で芽生えたのが、「自分の力が、どこまで通用するのか試してみたい」という思いです。社会人になる前の就職氷河期における就職活動(2000年)の頃から、自分の実力で生きていきたいという気持ちはずっとありました。それを、まずは突き進んでみようという感覚でしたね。

正直に言うと、創業時の思いとしては「会社を大きくしたい」とか「経営者になりたい」といった明確なビジョンがあったわけではありません。むしろ、コンサルティング業界に対して少し苦手意識すらあったんです。

でも、だからこそ一度、自分でやってみようと思ったのかもしれません。

現場で課題に向き合い、期待を超える成果を出すにはどうすればいいかを考えながら全力で取り組んでいたある日、お客様からこう言われたんです。

「本当に助かったよ。ありがとう。」

そのひと言が、ものすごく心に残っていて。今でも忘れられません。起業して最初の頃は、本当に大変なことばかりでした。特に立ち上げの時期なんて、感覚的には9割以上が苦労だったと思います。

それでも、あの「助かったよ」の一言のように、誰かの役に立てたと感じられる瞬間が、何よりも嬉しくて、支えになったんです。その喜びが、私にとってずっと原動力になってきました。

少しずつ、仲間も増えていきました。気づけば20人ほどのチームになり、以前のように私自身が常に現場に立つのではなく、任せる場面も増えてきました。

ある時、現場で頑張ってくれたメンバーに対して、お客様から「〇〇さん、すごく良かったよ」と直接お褒めの言葉をいただいたことがあって。

それを聞いた瞬間、自分が褒められるよりも何倍も嬉しくて、思わず泣きそうになりました。

その時、強く思ったんです。
「もっと、こういう“ありがとう”を増やしていきたい」と。

自分が直接関わっていなくても、会社として誰かの力になれていることが、こんなにも嬉しいんだと実感しました。

だったら、もっと多くの企業にとって頼れる存在になりたい。

「アクアードコンサルティングにお願いして良かった」と思ってもらえる場面を増やしていきたい。それは、お客様にとっても、私たちにとっても幸せなことだからです。

最終的には、「アクアードコンサルティングって、一生懸命やってくれる会社だよね」「本当に頼りになるね」と、日本全国の企業に思っていただけるようになりたいと考えています。

これからも、そんな嬉しい言葉をたくさんいただけるように、目の前の仕事に一つひとつ、丁寧に、まっすぐに向き合っていきたいと思います。

仕組みだけでは動かない現場に向き合う

-貴社の商品・サービスの中でも特に強いこだわりがあるという点がございましたら、伺いたいです。

住吉社長:
私たちが一番大切にしているのは、「机上の理論で終わらせない」という姿勢です。
アクアードコンサルティングは、プロジェクトマネジメントやPMO支援を中心としたサービスを提供していますが、一般的な手法やフレームワークをそのまま当てはめるだけでは、現場は動きません。それらはあくまで“スタートライン”であって、本当に大事なのは、それを現場にどう浸透させるかだと考えています。

私がIT業界に進んだのも、「知識が積み上がる環境」であり、「構造的に考える力が鍛えられる分野」だと感じたからです。PM(プロジェクトマネジメント)の領域でも、形式的な知識を学ぶ機会は数多くあります。

しかし実際の現場では、それだけでは通用しません。そこには「人の要素」や「組織の背景」といった、理屈では動かないものが深く関わってきます。

たとえば、どんなにルールやツールが整っていても、現場が納得して動かなければ、機能しないんですよね。

だからこそ私たちは、単にタスクを管理するのではなく、「その企業ならではのやり方」や「現場が受け入れられるスピード感」に合わせた実行支援を大事にしています。

プロジェクトの背景には、その企業がこれまでに培ってきた文化や価値観が必ずあります。
ベテラン社員が大切にしてきたやり方、組織に根付いた良さ。そうしたものをすべて変えてしまうのではなく、活かしながら新しいやり方を根づかせる。そこに私たちの役割があると考えています。

多くの現場では、ベテランの知見が若手にうまく引き継がれていなかったり、世代間でギャップが生まれていたりします。その壁を超えるには、制度やフレームワークだけでは不十分で、「人を動かす言葉」や「現場の空気感」を理解しなければなりません。

私たちはそうした現場の温度感に踏み込んで、組織の中に“本当に入り込む”支援をしています。机上の知識だけでなく、リアルな課題と向き合うからこそ、プロジェクトには圧倒的な成長の機会があると思っています。

スキルや知識は後から身につきます。でも、「素直さ」「誠実さ」「人と向き合う姿勢」こそが、この仕事では最も大切です。そうした価値観を持った人材を育てていきたいという思いから、未経験者の採用にも力を入れています。

また、企業の規模に関係なく、大手企業の部長が中小企業の経営者並みの裁量を持っているケースもあれば、少人数の組織でも高度なマネジメントが求められることもあります。
私たちは、そうした多様な現場と向き合いながら、正解のないプロジェクトを共に進めていく“伴走者”でありたいと考えています。

育てる組織であり続ける理由

-貴社を成功へ導いた「成長の原動力」をご教示くださいませ。

住吉社長:
私たちがこれまで着実に成長してきた背景には、未経験者の採用と育成に力を注いできたことがあると考えています。

多くの企業では、採用時にスキルや実績を重視する傾向があります。もちろん、それらがあるに越したことはありませんが、私たちは「今できること」よりも、「これからどこまで成長できるか」を重視しています。

中でも特に大切にしているのが、素直さと誠実さです。

自分の考えに固執するのではなく、周囲の声に耳を傾け、謙虚に学び続けられるかどうか。それが、未経験からでも飛躍的に成長するための鍵だと捉えています。

そのため、私たちは学歴やスキル以上に、人間性を重視した採用を行っています。どんな想いで仕事に向き合っているのか。周囲と信頼関係を築ける誠実な姿勢があるかどうか。

自分をよく見せようとする人よりも、等身大で真摯に努力できる方と一緒に働きたいと考えています。

「この人と一緒に働きたいと思えるかどうか」それを、採用における最大の判断基準としています。

実際に、過去には引越し会社から未経験で入社した社員がいます。ITの知識がゼロの状態からのスタートでしたが、今では大手企業の基幹システム刷新プロジェクトで、中心的な役割を担うまでに成長しています。

このような事例を見るたびに、人は環境次第で大きく変わる。誰でも成長できるということを、改めて実感します。

私たちはこれからも、スキルや肩書きにとらわれず、素直に努力できる人と共に成長していける組織でありたいと考えています。

人を育てるには時間も労力もかかりますが、だからこそ生まれる深い信頼関係と強固な組織の土台こそが、アクアードコンサルティングの成長を支える原動力です。

自分と向き合える誠実さ

-視点を変えて、採用に関する質問です。貴社が求める人材像や社員をけん引する人物として活躍するために必要な『素質』をご教示くださいませ。

住吉社長:
面接の場では、実は初対面の数分で「この方と一緒に働けるかどうか」を感じ取ることが多いです。決して決めつけではなく、言葉の端々や表情から、その人のありのままが滲み出てくる瞬間があります。

私たちが大切にしているのは、「どれだけ自分自身と誠実に向き合っているか」です。
スキルや経験はもちろん重要ですが、それ以上に、その人が自身の強みや弱みを正しく理解し、受け入れているかどうかに注目しています。

どんなに経歴が素晴らしくても、自分を過大評価したり、逆に目を背けていたりすると、組織の中でつまずいてしまうことがあるからです。

だからこそ、面接では「これまでの人生で経験した失敗」や「乗り越えてきた困難」など、あえて仕事以外の話を伺うこともあります。

その答えからは、その人の価値観や、困難に向き合った際の姿勢が見えてきます。完璧な答えを求めているわけではなく、そうした問いにどう向き合うかに、その人の誠実さが表れると感じています。

また、私が特に信頼を寄せられる人、いわば“右腕”と呼べるような存在には、3つの誠実さを求めています。

まず1つ目は、周囲に対する誠実さ。
共に働く仲間の立場に立ち、思いやりを持って関わることができる人かどうか。

2つ目は、組織や社会に対する誠実さ。
自分の利益だけでなく、会社や社会全体にとって何が良いかを考え、行動に移せるかどうか。

そして3つ目は、自分に対する誠実さ。
自分の弱さや課題に正直に向き合い、成長し続けようとする姿勢があるかどうか。

こうした誠実さを持つ方となら、困難な局面でも信頼し合いながら前に進めると確信しています。
私はいつも、肩書きや表面的な実績だけで人を見ることはしません。どんな道を歩んできたか、何を感じ、どう乗り越えてきたのかという経験にこそ、その人らしさと未来の可能性が宿っていると思っています。

だからこそ、職種や経歴に関係なく、自分と向き合うことを恐れない人と一緒に仕事ができたら嬉しいですね。

泥臭く、誠実に成長を描くアクアードコンサルティング

-最後に、貴社の今後のビジョンをお伺いできますでしょうか。

住吉社長:
私たちが目指しているのは、「一生懸命に向き合えるコンサルタント」をもっと世の中に増やしていくことです。

コンサルティング業界というと、スマートで洗練されたイメージを持たれることも多いですが、私たちは現場に深く入り込み、お客様のために本気で汗をかく、そんな泥臭くも誠実なスタイルを大切にしています。

プロジェクトの中で、本当の信頼を勝ち取るのは、知識やスキルをひけらかす人ではなく、愚直にやり抜く人です。

現場のリアルな課題に真摯に向き合い、「助かった」「ありがとう」という言葉をいただける存在こそ、私たちが育てたいコンサルタント像です。

現在、アクアードコンサルティングは組織として大きな転換期にあります。まずは100名体制への拡大を目標に掲げ、営業力・コンサルティング力の強化、採用や教育体制の再構築など、全社的に基盤の整備を進めている最中です。

いま在籍している70名のメンバーに加え、これから迎える30名が生み出す粗利のインパクトは非常に大きく、そこが着実に積み重なっていけば、100名体制となった先の成長は、一気に加速していけると確信しています。

販路の拡大や新規顧客との接点も増えており、この30名の規模拡大こそが、今後の事業成長の“中核”を担うエンジンだと捉えています。そして今こそが、組織として「波に乗るかどうか」の大きな分岐点。まさに勝負のタイミングを迎えていると実感しています。

さらに、幹部層の存在も非常に重要です。現場に深く関わる彼らが、次世代のメンバーを導き、育て、会社の軸となってくれていることは、大きな強みです。現場感覚とマネジメントの両輪を持つ幹部がいるからこそ、安心して次のステージに進むことができると感じています。

これからも私たちは、どれだけ組織が大きくなっても、「誠実に、一生懸命に」お客様に向き合う姿勢を決して変えません。
組織の拡大と質の向上、その両立を本気で目指す企業であり続けたいと思っています。

編集後記

インタビューを通して印象的だったのは、住吉社長の落ち着いた話し方と、その中にある真っ直ぐな考え方でした。「一生懸命やってくれる人と働きたい」「誠実さを大事にしたい」といった言葉には、これまで現場で積み重ねてきた経験や人との関わりを大切にしてきた姿勢が表れていたように思います。

少数精鋭から100名規模の組織を目指して動き出しているアクアードコンサルティング。これからどのような組織へと進化していくのか期待が高まります。