※本ページ内の情報は2025年4月時点のものです。

ColorSing株式会社は、同名の歌特化型ライブ配信アプリを提供する新進気鋭の企業である。社長の今井拓自氏が目指すのは、個人の力で歌を仕事にできる世界を構築することだ。ゆくゆくは歌い手やアーティスト含む、さまざまなクリエイター同士が直接つながり創作活動が行える仕組みを築きたいと話す。

今井社長が目指す「人々が歌をもっと身近に、自由に楽しめる世界」とは何か、話をうかがった。

DeNA時代を経て、新たな価値の提供に挑む

ーー前職の株式会社ディー・エヌ・エー(以下:DeNA)への入社のきっかけを教えてください。

今井拓自:
就職先を決める上で、自分が成長できる環境に身を置きたいと考えていました。学生時代にDeNAのインターンに参加し、優秀な社員の方々と関わる中で、こういった方々と一緒に働けたら自分自身が大きく成長できると感じたのが、入社を決めたきっかけです。

入社後はマーケティング部門で、CMの分析やコンセプトテストを実施したり、実際にTVCM等の大規模プロモーションの推進をする業務に携わっていました。その後はいくつかの部署を経て、戦略投資部門でM&Aの検討や推進、オープンイノベーション推進室でスタートアップへの投資や、VCへのLP出資を見るポジションを経験しました。投資の難しさに四苦八苦しながらも、非常に有意義な経験ができたと思っています。

ーープライベートでライブ配信アプリで活動も行っていたとお聞きしました。

今井拓自:
DeNA在籍時代から「ColorSing」につながる構想を温めていました。自分が事務所に所属し配信を経験してみないと、ユーザーとなる配信者や事務所の気持ちを理解できませんし、良いサービスがつくれないと思ったんです。運営サイドから見えるものと、ユーザーの視点は違いますから。

配信を通し、サービスをローンチする前に、配信者の気持ちを理解できた点は大きな収穫だったと思います。ユーザー目線のサービスを考える際にある程度の勘所をつかめていたのは、運営する際に大きな助けになりました。

ーー貴社設立まで、どのような経緯があったのでしょうか。

今井拓自:
DeNAに在籍していた当時から、ライブ配信サービスが持つマネタイズ力と、配信者のパフォーマンスが正当に評価され対価が支払われる仕組みに興味を抱いていました。海外でジャンル特化型のライブ配信サービスが成功する事例を見て、日本でも同様の仕組みを構築すれば、新しい価値を提供できる可能性があると考えました。

そこから、DeNAでの同期で「ColorSing」に直結する歌特化ライブ配信を作り始めた柴田(共同経営者/代表取締役会長)に声をかけ、お互いのアイデアが交わって現在のColorSingの方向性が固まっていきました。また、JOYSOUNDを提供している株式会社エクシングさんとご縁をいただいたことも大きな転機となりました。もともとColorSingの構想がある程度あった中で、実現を後押しする偶然が重なり、2022年に弊社を立ち上げました。

「歌で生きていく」が実現するアプリ

ーー事業内容とサービスの特徴を教えてください。

今井拓自:
弊社は、歌に特化したライブ配信サービス「ColorSing」を提供しています。ColorSingの特徴は大きく分けて3つあります。

1つ目は、歌好きの配信者とリスナーのみが集まっているプラットフォームであるということです。2つ目は、歌に特化した機能が充実していること。特にJOYSOUND音源が10万曲以上使用できる点は、大きな差別化ポイントになっていると思います。3つ目は、配信者にしっかりとファンがつき、収益を得られる仕組みになっている点です。

共同創業/経営者の柴田はDeNA時代に、ライブ配信サービスのデファクトスタンダードを築いてきました。たとえば、配信者にファンがつきやすくなる仕組みや、配信者の努力が正当に報われる報酬制度です。ColorSingはさらに、これまでのライブ配信で起きていた問題の解決と歌特化のライブ配信の特性を考慮し、アップデートして設計しており、その点がユーザーさんにも好評を得ています。他のサービスと比較しても、サステナブルなモデルかつ報酬バランスも高水準な点は、ColorSingの大きな特徴ですね。

現在(2025年2月時点)は1ヶ月で約4万強のリスナーの方々と、3,000弱の配信者の方々が利用されています。

人々が歌をもっと自由に楽しめる世界を目指して

ーー今後の展望についてお聞かせください。

今井拓自:
これまで歌の領域は一部の限られた人たちだけが活躍できる場所でした。そこを刷新し、より多くの歌い手や作詞作曲家、映像制作者が適切に収益を得られるエコシステムを構築したいと考えています。

その上で、クリエイター同士のネットワークをつくることが大切だと考えています。

ColorSingではオリジナルポイントを使ってさまざまなプライズを得られます。プライズは楽曲提供や、MV制作など多岐にわたり、プライズの活用がアーティストとクリエイターをつなげるきっかけになります。

現在は一部のアーティストや作詞作曲家のみ利用可能ですが、今後は誰もがプライズを活用できる仕組みづくりを行っていきます。

「組織」から「個人」の時代へ、アーティストや歌い手が自分の力で夢を実現できる世界を築いていきたいと考えています。

ーー読者へメッセージをお願いします。

今井拓自:
ColorSingはいろいろな方にサポートしていただき、成長しているサービスです。皆さまの信頼に感謝し、これからもユーザーさんや事務所の方々に対し、自分たちの掲げるビジョンを実現できるよう頑張っていきたいと思います。

編集後記

今井社長の話を聞き、歌を仕事にすることが狭き門だった時代が終わるかもしれないという、変革の兆しを感じた。ColorSingは、多くの人の夢を叶える舞台になるだろう。同社の今後の活躍に期待したい。

今井拓自/1986年大阪府生まれ。新卒で株式会社ディー・エヌ・エーに入社。マーケティング、スタートアップへの投資やLP出資などを行う。2022年にColorSing株式会社を設立。2023年7月歌特化ライブ配信サービス「ColorSing」をローンチ。