広告業界では急速にデジタル化が進む中、顧客との信頼関係の構築が依然として重要な課題となっている。特に、オンラインとオフラインの双方を巧みに活用し、効果的にコミュニケーションを図る企業が求められる現在、株式会社キャナルは着実に成長を遂げている。今回は、キャリアと子育てを両立させながら、リーダーシップを発揮する同社の代表取締役社長である吉岡智子氏に、事業や強み、そして今後の展望についてうかがった。
社内サポートにより「キャリアと子育て」の両立を実現
ーー社長に就任した経緯と、就任当初の課題についてお聞かせください。
吉岡智子:
インフォコム株式会社でキャリアをスタートし、さまざまな役割を通じて多くの経験を積みました。しかし、上場企業におけるキャリアに限界を感じ、さらなる自己成長を求めて広告代理店への転職を決意したのです。キャナルと出会い、ここなら自分の能力を試せると感じて、入社を決めました。
入社当時は、全てが自分の裁量に任される環境でした。少人数ならではのスピード感と、フィードバックの迅速さが自分に合っていたのだと思います。経験を重ね、マネージャー職や取締役を経て、2016年に社長に就任しました。
経営は未経験でしたが、周囲の方々から助言をいただいたり、セミナーで知識を得たりして乗り切り、今に至ります。また、子育てとキャリアの両立は常に大きな課題でしたが、社内の理解とサポートに助けられて、続けることができました。
ーーどのように子育てとキャリアを両立されたのですか。
吉岡智子:
娘が幼い頃からキャリアを諦めることなく挑戦を続けてきました。特に弊社の少人数制と柔軟な働き方が大きな支えでした。弊社では、たとえば、子どもの急病時には同僚が代わりにサポートしてくれるなど、助け合いの文化が根付いています。この温かい環境があったからこそ、私はキャリアと家庭の両立を実現できたのです。今後も、同じように子育てと仕事の両立を望む社員を積極的に支援していくつもりです。
対面コミュニケーションが支える信頼と成長
ーー貴社の事業内容について教えてください。
吉岡智子:
弊社は創業以来、広告代理業をメインに展開していますが、現在は多角的に事業を広げています。広告代理業のほか、システム開発・制作事業、株式塾の運営などの投資関連事業、俳優やスポーツ選手を支援する芸能事務所の運営など、さまざまな分野にわたります。
広告代理店事業で培った人脈を通じてお声がけいただき、事業を拡大してきました。弊社は少人数ゆえにすべてを自社で行うことは難しいため、各方面のスペシャリストと提携しています。
ーー貴社の強みはどのような点にありますか。
吉岡智子:
弊社の強みは、少人数だからこそのスピードと効率の良さにあります。オンラインとオフライン、双方のコミュニケーションを通じて、クライアントと密接な信頼関係を築いてきました。特に、コロナ禍以降、オンラインが主流となる中、弊社はあえて対面でのコミュニケーションを重視しています。
弊社がこの規模で生き残ることができたのは、人とのつながりを大切にする営業力と豊富な人脈のおかげだと考えています。大手企業との取引が増える中でも、クライアントとの信頼関係を最優先し、多角的な事業展開を通じて企業としての柔軟性と成長力を維持していることが、弊社の大きな強みです。
少数精鋭と柔軟な働き方による成長戦略
ーー今後の展望についてお聞かせください。
吉岡智子:
既存取引先との関係をさらに強化するために、深耕営業に力を入れていきたいと考えています。現在は人数が少ないため、仕事の増加に伴い、お客様との関係が広く浅くなる傾向にあります。そのために営業部門の強化と人材の確保に注力していく予定です。規模を大きくすることよりも、会社の経営が安定する規模で、20代の世代を中心に誰もが活躍できる魅力的な会社を目指しています。
ーー貴社に適するのはどのような人だとお考えですか。
吉岡智子:
私たちの会社では、一人ひとりのライフスタイルに合わせた柔軟な働き方と、少人数制の強みを活かして個々に大きな裁量を持って働ける環境を整えています。前向きで、自主的に行動できる方は大いに活躍できると考えています。ぜひ、多様な働き方を尊重するこの環境で、新しい挑戦をしていただきたいと思います。
編集後記
インタビューを通じて、吉岡智子社長のしなやかなリーダーシップと、人を大切にする姿勢が強く感じられた。「少人数制だからこそ、全員が助け合い、早期に活躍できる」という吉岡社長の言葉に、株式会社キャナルの強い結束力が表れている。
また、子育てとキャリアの両立を可能にする柔軟な働き方が、社員のモチベーションを一層高めていることも非常に印象的だ。今後、同社がどのように発展し、さらなる成長を見せるのか、大いに期待される。
吉岡智子/1981年、東京都生まれ。2004年、インフォコム株式会社入社。2009年に株式会社キャナルへ入社し、ASP事業を担当。2016年に代表取締役社長に就任。現在、広告代理事業を中心にメディア事業を展開中。