【ナレーター】
『東京スカイツリー®』『あべのハルカス』など超高層ビルの鉄骨階段のシェアにおいて国内トップを誇る「株式会社横森製作所」。
非常階段から装飾用階段まで豊富なラインナップの鉄骨階段や手すりを開発・施工し、「階段屋」という独自のビジネスモデルを構築。
都市部の超高層ビルなどの階段をコースとする競技「ステアクライミング」の協賛など、新たな取り組みにも注力している。
次代に向けた事業・組織づくりに邁進する、若き経営者が描く成長ビジョンとは。
【ナレーター】
都市圏超高層ビルに設けられている階段において、シェアで国内トップを誇る横森製作所。その理由について、有明は次のように語る
【有明】
当社が産業をつくってしまったということです。
建築というパッケージの中から鉄骨階段のみを取り出し、それだけで事業展開した企業が今までなかったため、国内トップになれたと考えています。
また、全国で毎月約3000本の階段を現場に納入できる能力を持ち、それらを一律管理し品質の担保ができる会社は他にはないでしょう。
さらに当社では、お客様の要求にお応えできるよう開発への投資を続けています。業界の中で一番早く、時代の流れに合わせた事業展開を継続して行えるのが当社の強みでもあります。
【ナレーター】
2015年、他社で経験を積んだのち、横森製作所へ入社した有明。営業職、施工管理職などを経験するが、会社の転換期に伴い、想定外の人事を受けることとなる。
【有明】
当社は、2016年にアメリカ合衆国ケンタッキー州にある会社を買収しました。その際、ケンタッキー州への異動を打診され「もちろん行きたいです」とアメリカへ渡りました。
アメリカでのメインミッションは、 階段専門の工場を建てることでした。現地では、CADを使った図面作成や打ち合わせ内容の橋渡しにはじまり、営業もやりながら約4年間を過ごしました。
【ナレーター】
アメリカでキャリアを積み上げた有明だったが、2021年7月、父である前社長が急逝。その翌月に、33歳という若さで社長に就任した。当時の心境について、こう振り返る。
【有明】
経営者としてトップに就任するには若すぎるのではないかという葛藤は当然ありました。しかし、外部の意見が入ることで従業員が混乱してしまうのではないかという思いもあり、「この会社は自分がやるべきではないか」と、一種の使命感が芽生えました。
もちろん、不安でした。なぜなら、私自身もセルフコントロールがうまい方ではなく、浮き沈みがあるからです。
ですから、やはり周りに支えられているなと感じます。本当に彼らのおかげで、会社が成り立っているという気持ちです。
社長に就任した年齢が若いこともあり、今までは言い訳が通用する世界でした。しかし今後2年目、3年目と年を重ねていくごとに、容認されなくなってきます。ですから、何かを残せるように、相手に信頼していただけるよう日々過ごしています。
【ナレーター】
社長就任から約1年半が経過した現在、有明は多くの気づきと学びを得たという。
【有明】
1つ目は、会社の大きさを更に実感しました。時代の要求に応え続けてきたからこそ、会社としてさまざまな機能や社員を持っており、非常に堅実な会社だという気づきを日々得ています。
2つ目は、積み上げてきた事業の根幹をベースに、将来に向けた新しい挑戦をしていくことが、自身の一番の仕事だと感じました。
3つ目は、物事を多面的に見ることの重要性です。私の父が亡くなったことは非常に悲しい出来事でありますが、それを1つの側面だけでなく裏側から見てみると、別の捉え方も可能なのだと気づきました。
同じ死でも15年後ではなく今、突然のタイミングだったことは何か理由があったのではないかと、良い捉え方も可能なのではないかと思っています。物事すべてに白黒を付けなくてもいいんだなと思って過ごした1年でした。
【ナレーター】
2021年に創業70周年を迎えた横森製作所。近年では、超高層ビルなどの階段を駆け上がる競技「ステアクライミング」の協賛など、新たな取り組みにも積極的だ。この取り組みの真意について、有明は次のように語る。
【有明】
今までは、お客様が不満、不足していると感じている部分を解消していくという事業スタイルでした。今後は階段の提供を通じ、付加価値提案ができるような事業がしたいと思っています。
そういう意味でスポーツと階段をミックスした競技大会を開催するというのは、階段の価値の再定義につながると考えています。
また「ステアクライミング」の大会は非常に盛り上がり、選手同士の深い絆も感じられ奥が深く、これからも多くの方に挑戦していただける競技だと思っています。
逃げるための非常用通路ではなく、別の使い方をしていただけることにとても意味があると思います。当社の事業の新しい切り口につながっていってほしいです。
経営者プロフィール
氏名 | 有明 威 |
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役職 | 代表取締役社長 |
生年月日 | 1987年8月28日 |
出身地 | 東京都 |
座右の銘 | 経営に正解はない |
2010年4月 阪和興業株式会社入社
2015年4月 阪和興業株式会社退社後、株式会社横森製作所入社
東京支店、米国子会社YOKOMORI USA HOLDINGS CORPORATIONのDirectorを経て
2021年6月1日 専務取締役に就任
2021年8月20日 代表取締役社長に就任
会社概要
社名 | 株式会社横森製作所 |
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本社所在地 | 東京都渋谷区笹塚1-47-1 メルクマール京王笹塚 |
設立 | 1961 |
業種分類 | 金属・非鉄金属製造業 |
代表者名 |
有明 威
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従業員数 | 523名 |
WEBサイト | https://www.yokomori.co.jp |
事業概要 | 鉄骨階段の設計・製造・施工 |