市場の縮小が進むジュエリー業界にあっても躍進を続ける同社の新商品が、独自の研究開発で実現したオリジナルカット“Wish upon a star”だ。ダイヤモンドの中に浮かび上がる大小2つの星に意味を持たせることで、“夢を叶えるダイヤモンド“として多くの女性の心を掴む。そんなジュエリーの魅力を現場で伝えるスタッフたちをまとめているのが、現在西日本を担当する営業副部長、綾部貴子氏だ。新卒で入社し、結婚、出産を経てもなお仕事への情熱は増すばかりという生え抜きの綾部氏に、同社の魅力と女性が活躍するための秘訣を伺った。

貞松の熱意に触れて入社を決意

-サダマツが宝飾品事業に参入した頃から在籍されていると伺いました。ご入社のきっかけはどのようなものでしたか?

綾部貴子:
当初は看護師になるために進学を考えていましたが、家庭の事情で卒業後はすぐに就職せざるを得ませんでした。

宝飾品店を選んだのは、親戚が宝石を商っていて、幼い時からジュエリーを身近に感じていたからです。会社を訪問すると、今と変わらずに情熱的に語る、当時専務だった貞松(現社長)がいました。フェスタリアホールディングスは沖縄に長崎県外初出店を果たしたばかりでしたが、熱意ある貞松の人柄や社風に魅力を感じて1994年に入社しました。

人生を変えた先輩女性社員との出会い

-23歳で主任、その後25歳で店長に就任と、順調にキャリアアップされていますが、ご自身の中で変わったことなどはございますか?

綾部貴子:
その時期に2人の女性と出会ったことで、仕事への向き合い方が大きく変わりました。

1人は化粧品会社から転職された方で、社会人経験も未熟だった私に仕事のやり方を教えてくださいました。シングルマザーだった彼女は、「1人であっても生きていく生き方を学びなさい」とも教えてくれました。私は自分の子どもには私のように家庭の事情で進路を変えさせたくはなかったので、何があっても支えられるよう、自分自身のキャリアを積もうと考えるようになりました。

もう1人は大手宝飾店の勤務経験がある方で、私の働きぶりを見て「才能はあると思うが、仕事の仕方が緩い」とご指摘を受けました。私は、自分には闘志があるほうだと自負していたのですが、父に「女性は笑っていなさい」と言われて育てられた影響もあり基本は笑顔。それが外から見て真剣な印象を与えていなかったのかもしれないと、初めて気付かされました。

お二人ともすぐに店長になるほど優秀な方々でした。主任の役職をいただいた頃に率直な意見を言ってくださる方々に出会えたのは本当に大きな出来事でした。

“支え合う運営”で全ての従業員が成長を感じられるように

-現在は西日本エリアの店舗管理を主に任されているとのことですが、複数の店舗スタッフをマネージメントするための秘訣はございますか?

綾部貴子:
4名のマネージャーとともに広島・岡山から九州・沖縄までの30店舗・172名(2018年7月時点)の運営管理をしています。100名を超える人数を1人でまとめるのは決して容易なことではありません。そのため、私は皆に助けてもらい、力を集結して運営しようとしています。

一歩下がって店舗運営は4人のマネージャーに任せ、私は話しやすく、風通しのよい環境を作り、ひたすら彼女らとのコミュニケーションに努めます。聞く姿勢を忘れず、皆の力を借り、反対に困っているならばすぐに力を貸す。支え合いながら連携する運営で、人材も育ってきていると感じています。


-マネージメントをする中で、他者に一任する難しさを感じる場面もあったかと思います。どのように克服されたのでしょうか?

綾部貴子:
今の役職に就いて4年目ですが、実は1年目は自分で全て抱え込んでいました。しかし、それでは規模が大きすぎてどこかが欠けてしまい、うまくいかなかったのです。2年目からはやり方を変えてマネージャーたちに担当を任せ、自分は話を聞く役に徹しました。いつも皆の声に耳を傾け、そして私に力を貸してくださいとお願いするような気持ちで接していると、スタッフ皆が自主的に動くようになり、売上げ目標を達成することができました。マネージャーたちに成長が感じられたことも、とてもうれしかったですね。

私は貞松から、一つの会社を任せられていると思っています。人を育てられなかったら、グループの成長もありません。私が視点を変えて接したことで、皆が成果を上げられるようになり、成長が感じられるようになりました。なによりこの会社が好きなスタッフがどんどん増えていくことに喜びを感じています。

宝石としての価値だけでなく“意味”を持たせる

-なぜ、御社の取り扱うジュエリーには、想いや物語が込められているのでしょうか?

綾部貴子:
弊社は”モノ”でははく、人の想いや愛という”コト”を届ける会社です。需要がある場所でただ宝石を売るだけなら、商品知識を学べば誰でもできます。しかし弊社は、ショッピングセンターなどで足を止めてくださった通行客の方に、今日出会えたことを感謝し、石に込められた願いや想いを丁寧にお伝えする形で商品をお届けしてきました。

モノを売るだけなら値段だけ、品質だけで競うことになりますが、私たちはジュエリーに宝石としての価値だけでなく意味を持たせ、お客様とのやり取りも含めてストーリーをお届けすることを大切にしているのです。それは弊社が今、他社と差別化できている一つの理由だとも思っています。

何歳になっても“かわいい女性”でいたい

-綾部様は20代で結婚・出産をご経験されています。女性は家庭を持つことで仕事量をセーブせざるを得ない場合もありますが、育児と仕事の両立について、当時どのようにお考えだったのでしょうか?

綾部貴子:
私のまわりには育休経験のある先輩が多かったので働き続けることに不安はありませんでしたが、幸せの在り方は人それぞれですし、どれが正しいということはないでしょう。

ただ、私は「いくつになってもかわいい女性でいたいよね」と周囲に話をしています。私の場合は育休中の半年間、お化粧もせず、家に居る生活をしていて世間から取り残されてしまうような感覚になりました。幸せに生きるためには、パートナーからいつまでもかわいいと言われたいし、自分も人を愛せる人でありたいですよね。それなのに私は相手に愛してもらえるような自分になれていないと感じたのです。自分が理想とする姿でいるためには、仕事をして収入を得ていることが、私には必要だったんですね。どのような選択をするにせよ、人に愛される自分でいたいというのは女性に共通する思いですし、生き生きとして幸せになれる秘訣なのではないでしょうか。


-家事や育児をしながら働く中で、活用された社内制度や役立ったことなどはございましたか?

綾部貴子:
復職当初は弊社のオリジナル制度である、正社員としてのキャリアを保存したままパート社員に雇用形態を切り替えることが出来る「カムバック制度」を利用して、パートで店長をしていました。長い期間ではありませんし、業績が上げられれば問題ないので、こういった制度は女性の活躍が叫ばれる今後の社会でも増えていくとよいですね。

子育てに役立っているのは、人と向き合うことの重要性を貞松から教えていただいたことです。規模が大きくなった今は難しくなりましたが、貞松は社員が辞めようとしたり悩んでいたりするときには、直ぐに飛んできて話を聞く人なのです。その姿を見ていたから対話することの大切さがわかりましたし、子どもにも頭ごなしに怒るようなことはありません。

同性ならではの価値観で女性の活躍を推進する

-綾部様の今後の展望をお聞かせください。

綾部貴子:
当社初の女性役員は、目指していきたいポジションです。そして圧倒的に女性の多い職場で、お客様にも女性が多いからこそ、女性が活躍できる環境づくりに力を入れていきたいですね。まだ個人的な考えではありますが、女性ならではの価値観で、女性の活躍する社会の在り方や生き方を発信していける部署を創設できればと思っています。その素晴らしさや喜びを本当に伝えられるのは、やはり同じ女性なのではないでしょうか。

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編集後記

柔らかな物腰の中にも、ところどころに芯の強さを垣間見せる綾部氏。「せっかくなら愛される女性でいたいよね」との言葉は、あらゆる女性の心にスッと伝わる指針にもなるのではないだろうか。女性の社会進出が進むこれから、綾部氏には男性の真似ではない、女性だからこその更なるリーダーシップを期待したい。

綾部 貴子(あやべ・たかこ)/1975年生まれ。長崎の高校を卒業後、新卒で株式会社サダマツ(現フェスタリアホールディングス株式会社)に入社し、接客・販売スタッフとして店舗でキャリアをスタートする。25歳で店長、31歳で営業マネージャー、37歳で営業グループ長、40歳で女性初の営業副部長に就任。プライベートでは14歳の息子を育てている。愛読書は ケント・M・キース著「それでもなお、人を愛しなさい―人生の意味を見つけるための逆説の10カ条(早川書房)」。趣味はヨガと小旅行。

※本ページ内の情報は2018年7月時点のものです。