昨今不動産金融業界は目まぐるしく変化しています。

そもそも不動産金融業界とは何か、一言で説明できることは難しく、なかなか説明できる人間は少ないと思います。

今回はPAG Japan Limitedの河合昭典氏(以下:PAG 河合氏)から、現在の不動産金融業界を取り巻く環境についてお伺いしてみました。

PAGインベストメント•マネジメント株式会社とは?

まず河合氏が所属するPAGについて簡単に説明したいと思います。

PAG は正式社名『PAGインベストメント•マネジメント株式会社』、本社を東京都港区に置き、「プライベート・エクイティ」「不動産」「アブソリュート・リターン」の3つの主要分野において投資活動を行う企業です。

虎ノ門タワーズオフィス20階がPAGのオフィスであり、金融庁の傍に位置しています。

PAGは、香港、上海、北京、深圳、東京、シンガポール、シドニー、ソウルの8拠点に350人を超えるスタッフメンバーを擁しています。

日本での知名度はまだ低いかもしれませんが、PAGは運用資産残高が200億米ドルを超えるアジア最大級の独立系オルタナティブ投資・運用グループの一つです。

ローカルマーケットついての深い専門知識を持った、経験豊富なスタッフが在籍していることがPAGの強みです。
幅広い投資領域と柔軟な資金調達ソリューションの提供を通じて、投資家および投資先企業と永続的な関係を築いています。

めまぐるしい早さで変化する経済状況をいち早くキャッチし、さまざまな経済サイクルの中でも優れた実績を残しています。

また資産運用を行うすべての市場において、ローカルマーケットに対する知見にグローバルスタンダードへのコミットメントを結合させることで、経験豊富で優れた能力をもつ最高の人材を引き付ける環境を持ち合わせています。

そのPAGに河合昭典氏はパートナー及びマネージングディレクターとして所属しています。

PAG河合昭典氏の経歴

ここでPAG 河合氏の経歴を紹介いたします。

PAG 河合氏は國學院大学法学部卒業後、1991 年大和證券株式会社に入社しました。

1991年といえばバブル崩壊期間が始まったばかり。景気が後退するなかでの證券業務は、河合氏の仕事の根底を創ることとなりました。

9年新卒で入社した会社を勤め、その経験を活かして2000 年ING リースジャパンB.V. に移籍し、ストラクチャードファイナンス業務に従事しています。

当時は飛行機や船舶の証券化を担当していたそうです。その功績が評価され2002年には株式会社ジョイント・アセットマネジメントに移籍、アセットマネジメント部長、取締役を経て、代表取締役(現 PAG Partner & Managing Director)という大役を務めることになりました。

独自の考えと経験から高度な感覚を用いることができることから、ファンも多いと言われています。
2009年からPAGの日本拠点にて企業や不動産、債権など幅広い投資活動に携わっています。

過去に「不動産金融塾」というファンドセミナーにて対談形式のセミナーを行い、当時モルガン・スタンレー証券株式会社 証券化商品部 エグゼクティブディレクターの篠田勲と不動産価格やサブプライムローン、金融商品取引法についてなどを語っています。

様々な分野での幅広い経験が河合氏の強みとなっており、業界でも高度なバランス感覚の持ち主と評判を集めています。

昨今の日本の不動産金融業界

PAG 河合氏に昨今の不動産金融業界についてお伺いしてみました。

筆者にとってはかなりの難解で複雑な業界でしたが、まず日本での不動産金融業界を説明するには、始めにJ-REITを理解しておいた方よいというのがPAG 河合氏からの助言でした。

J-REITとは、多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品です。

現物の不動産に投資するよりも格段に小額な投資で、複数物件への投資が可能です。

勘のいい人であれば、これがサブプライムローン問題と関係があるのではないか、という思考になるでしょう。

まさにJ-REITは元々REITというアメリカで生まれた仕組みです。

「Real Estate Investment Trust」の略でREITと呼ばれています。

日本では頭に「J」をつけて「J-REIT」と呼ばれています。

不動産投資会社と同様にJ-REIT運営会社は日本でも多数存在しています。

十分な資金がないけれど不動産投資をしてみたいという人は、まずこのJ-REITを運営している企業に相談することがよいとPAG 河合氏はいいます。

いま、不動産投資を始めるなら知っておくべき注意点

投資のために購入した物件は、必ず老朽化し、資産価値が下がっていきます。

株式や投資信託であれば、時間の経過が直接的に価値の下落に繋がりませんが、不動産は基本的に、築年数が古くなるほど資産価値がどうしても下がってしまうのです。

そのため、買い手が見つからない、安い価格でしか売れない等、損失を出す可能性は否めません。

しかし不動産投資はサラリーマンの副業や老後の年金代わりとして長期的に安定収入が期待できるほか、生命保険の代わりや節税対策になることがメリットとして挙げられます。

空室を抱えてしまうリスクや災害に合うリスク、毎月安定した賃貸収入が得られるメリット、どちらも把握した上で自分にとって無理な借金を抱えないようバランスをみながら慎重に行う必要があります。

また、不動産投資の手法には、選択肢が幾つもあります。資金力や運営に費やせる労力によって投資手法は異なるので、それぞれのメリット・デメリットについて正しい情報を集めることが必要です。

ネットには不動産会社や個人のブログなど、様々な情報が溢れています。市況動向の予測をしたり、投資手法に関するコラムなどを読んだりできるので、参考にはなりますが、一つの情報だけにとらわれると判断を誤る可能性があるので注意することが必要です。
複数の情報源から具体的で詳細な情報を収集し、正しい判断をすることが重要になります。

また、いきなり大きな利益が出ることを求めすぎず、焦ることなく、じっくりと検討することも必要でしょう。
短期間で大きな利益を得ようとすると、大きな損失を出す可能性があります。
投資は「リスク」と「リターン」が深く相関しており、高いリターンを得るには高いリスクを冒す必要があることを覚えておきましょう。

河合昭典氏が語る「不動投資の基本理念」

PAG 河合氏に今後不動投資をするために心掛けなければいけないことを伺ったところ「過去から学び、未来を考え、自ら一歩を踏み出す」ことが大事といいます。

過去河合氏が講演を行った不動産金融塾の基本理念ですが、これが投資では重要とのこと。

過去だけ振り返っても、現在だけ考えても、未来だけ見据えても駄目で、全ての時系列を考察した上で投資することが大事だと今回河合氏に話を聞いて感じました。

複雑化する不動産金融業界ですが、今後投資に悩んだ方はこの言葉を思い出して、明るい未来に繋げて欲しいと思います。