Q1.創業当時の秘話などございましたら、ご教示いただけますでしょうか。

東京にある東証上場企業のIT会社で、引越をもっと便利でスマートにしよう、引越だけでなく新しい物運びの会社を創ろうという目的で立ち上がったプロジェクトの名称が【引越革命プロジェクト】でした。

しかし、陸運局の許認可事業である一般貨物事業を新規で立ち上げることは困難を極めました。そこで、そのIT会社は既存の引越事業者でITリテラシーが高く、東・名・阪に拠点がある会社に焦点を当て、資本業務提携または企業買収を検討することにしました。

そして交渉を重ねた結果、IT企業は2014年9月に中堅引越会社を買収しました。買収した引越会社は当時創業14年でした。その後、引越会社の創業家一族が全員退任し、引越の「ひ」の字も知らない私が就任して立ち上がったのがこの引越革命株式会社なんです。


Q2.貴社のサービスの中でも特に強いこだわりがあるという点がございましたら、ご教示いただけますでしょうか。

引越事業者としてのあるべき姿ではなく、引越するユーザーにとっての「新しいあるべき姿」を追求するという点。また、できるだけシンプルで、そしてスマートなサービスにするという点にこだわっていきたいと考えております。勿論、まだまだ完成していませんが・・・笑。

引越業界にはTVCMなどでお馴染みの巨人が何社かあります。残念ながら規模も、ユーザが求める豊富なサービスの提供においても、正面から競争したところで勝てません。だからこそ、あれも欲しい、これも欲しいと過剰なサービスを追求するのではなく、「これでいいんじゃない、十分でしょ」という、ある意味長年かかってコテコテになったサービス観から断捨離した、ITを駆使した新しい選択肢をサービス化するという点にはこだわっています。


Q3.貴社がヒットしたその秘訣をご教示いただけますでしょうか。

秘訣なので、秘訣のままにしておきたいのですが、少しだけお話ししますと、しっかりマーケティングしているというか、世の中で言われている理論に基づいたサービス提供、事業運営を行っているという点です。

全員が満足するサービスを提供することは本当に難しいですし、「お客様は神様だ」と言って、従業員をこき使い、顧客が喜ぶ姿を見て満足する経営では、スタッフが疲弊するだけです。対価以上の過剰なサービスは結果的に経営を悪化させ、関わる皆を不幸にします。

その一方で、格安航空会社、カプセルホテル、立ち食い蕎麦は、「誰に」「どんなサービスを」「いくらで」「どのように」提供するか明確で無駄がありません。それによって一部の人達には大ヒットするのです。これが秘訣です。


Q4.視点を変えて、採用に関する質問です。貴社が求める人材像や社長の右腕として活躍するために必要な『素質』をご教示いただけますでしょうか。

弊社が求める人物象は、以下のような方です。
1才能:努力ができるという才能を持っている。
2感性:申し訳ないことをしたときに申し訳ございませんと言える感性をもっている。
※ありがたい時も同じです。
3行動力:はい!と元気な声で返事をする、挨拶をする、そうしようと努める行動力がある。
4知性:分からない事を分かるまで調べる、質問する、理解しようと努める、知性を高めようと頑張る。
5理性:人に迷惑をかけない、約束や責任を果たそうと努める理性を持っている。

この5つは私が今でも失くさないようにと心掛けていることです。素質も結局は日々の発言や行動や努力で培えるものと考えています。努力ができれば新しい才能も生まれます。


Q5.最後になりますが、貴社の今後のビジョンをご教示いただけますでしょうか。

引越というサービスは、日本で生まれ四半世紀にわたって磨かれた素晴らしい伝統技術だと私は考えております。

実は、引越サービスを受ける側から引越サービスを提供する側になって、初めて分かったことが沢山あります。その中で私が特に感動したことは『引越とは、ただ物を運ぶことではなく、生活を運ぶことだ』ということなんです。何か新しい生活を始めるには、引越がつきものです。すべての荷物が段ボールに入っているわけではなく、形の無い荷物(照明、デスク、チェアなど)を運んで設置までする技術に私は感服しました。

様々な場面で、形や角度を変えれば、もっと身近に使える新しいサービスが生まれるはずです。引越を革命するのではなく、引越は皆にワクワクする革命を起こせると考えています。