-まずは、貴社の成り立ちについて教えてください。

田中社長:
弊社のルーツは、京浜急行電鉄内に置いていた事業部にさかのぼります。戦後間もない1952年に設置され、住宅難に悩む人たちに良質の住宅を提供するため、積極的に土地を確保しました。

1954年には横浜市内に2つの分譲地を造成し、販売を開始しました。2つの分譲地の総面積は2万1608平方メートル(約6540坪)、75区画に過ぎなかったものの、すでに横浜市内3地区で土地の確保、宅地造成工事が進行中でした。以後、不動産事業は鉄道、自動車などの交通事業に次ぐ大きな柱となっていきます。

1958年には、京急沿線の不動産事業と観光開発を推進するため事業部が独立し、弊社の前身である京急興業が設立されました。その後も土地取得と分譲地造成が続き、現社名の「京急不動産」に商号変更した1988年以降は、それまで以上に不動産事業に邁進することとなりました。

-貴社の不動産事業の特色をお聞かせください。

田中社長:
弊社は京急沿線を中心とした地域密着の総合不動産会社として、多岐に渡る事業を展開しているのが特徴です。戸建てやマンションの販売、賃貸事業および賃貸マンション販売、仲介(売買・賃貸)などの柱に加え、最近は築古マンションの建替・販売など、より難易度の高い事業にも積極的に取り組んでいます。

これまでに2万6000戸以上の住まいを供給し、1000万平方メートルという広大なニュータウン開発なども手掛けてきました。社員からは「販売・仲介だけではない総合不動産会社としてのメリットをさらに活かしたい」「京急沿線を中心としたエリアに特化した展開をした方が良い」という前向きな声が上がっています。

-貴社は、どのような営業スタイルで売上を伸ばしているのでしょうか。営業面やエリア面の特徴を教えてください。

田中社長:
やはり、京急電鉄のブランドは大きいものがあります。鉄道会社の中でも京急は人気があるといわれますが、京急沿線においては京急ファンの方、京急に信頼感を抱いていただいている方が多く、住まい探しやご自宅の売却などの際は「京急不動産で」とおっしゃっていただくことも多くございます。

弊社にとって「京急」というブランドは大きなメリットであり財産でもあります。だからこそ、その信頼を絶対に裏切ってはなりません。「京急」の看板を全社員が背負っているという緊張感を持ち、日々の営業活動に臨むことを徹底しています。

また、戸建て分譲地や大規模マンションなどの開発・販売において、お客様にご購入いただくのは「土地・建物」だけではありません。「街並み」や近隣住民の皆様との「コミュニティ」、エリア全体の「安全性」などを含めた付加価値を提供していくことを常に考え、さまざまな企画に反映させています。

その他にも、風光明媚な三浦半島ならではの「海眺望」「心地よい海風」「自然豊かな緑」なども京急沿線の財産だと認識しています。家族で楽しめる沿線レジャーのご提案や、弊社の物件をご購入いただいたお客様への各種割引・優待なども行い、「人生を豊かにする住まい」の提供に力を入れています。

-今一番PRしたい商品やサービスはありますか。それはどのような方々にニーズがありますか。

田中社長:
どの事業も大事な柱ですが、最近注力しているという視点でPRしたいのは、老朽化した共同住宅の「建替え事業」や、相続対策などを中心とした「資産組み換えコンサルティング」です。

建替え事業については、現在お住まいの方が複数いて、それぞれの利害が異なる場合も、将来的には皆様にメリットが出るよう調整・説得しながら、結果として弊社にもメリットが出るようにしています。各種調整は専門的知識だけでなく個別事情などへの配慮も必要なため、時間も要する難しい事業ですが、入居者の方々が弊社に抱く信頼感や安心感は大きな武器になると思っています。万が一、会社が途中で投げ出したり倒産したりすれば、信頼いただいている方々に多大な迷惑をかけることになってしまいます。その点、弊社であれば安心してお任せいただけると考えています。

また、資産組み換えコンサルティングは、相続対策に悩むお客様の大切なご家族(被相続人)が、財産を争ってもめることで“相続”が“争族”になってしまわないよう、生前から資産の組み換え(売却、分割など)をご提案するものです。

これらの事業はどちらも、弊社に対して感じていただいている安心感を活かせます。しかし、それだけに緊張感を持って取り組む必要があると感じています。

-視点を変えて、採用に関する質問です。貴社が求める人材像や、活躍できる「素質」とは何でしょうか。

田中社長:
10年前に比べると、社員に求める要素は少し変わってきています。激動の時代である現在は、古き良き部分は評価しつつも、「根底から変革・改革していこう(変えてやろう!)」というチャレンジ精神を持つことが重要だと感じています。

欲を言えば、不動産知識はもちろん、社内外に広く人脈を構築できる「人徳」や「可愛がられる要素」を備えている人財、あるいは自身に不足している部分があることを自覚し学び続けられる人財であれば、ぜひお会いしたいと思っています。

-最後に、今後のビジョンをお伺いできますか。

田中社長:
これまでの京急グループは、鉄道を中心とする交通事業に頼った事業構造でした。しかし近年は、徐々に不動産事業が拡大しています。グループビジョンとしても、交通事業に並ぶほどの柱として不動産事業を育てていく方針であり、京急不動産も重要な位置にいます。

そのような中、弊社としては人生を豊かにする住まいの提供・人生を豊かにする街づくりを、京急線沿線(東京・神奈川)を中心に今後も拡大していき、沿線活性化、沿線価値向上に貢献していきたいと考えています。