リノベる株式会社 ~テクノロジー×リノベーションで創業者が描く中古住宅業界変革絵図~

リノベる株式会社  代表取締役 山下 智弘  (2020年12月取材)

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【ナレーター】
新築信仰が根強い日本の住宅事情。しかし、近年では中古住宅の購入、リフォームへの補助金制度の充実や、テレワークの普及により首都圏郊外の物件にも注目が集まっており、中古住宅市場の活性化への期待が高まってきている。

そんな中、テクノロジーを活用した中古住宅流通とリノベーションのプラットフォームを 展開し、請負型リノベーションにおいて国内トップの施工実績を誇る企業がある。リノベる株式会社だ。

「日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に。」をミッションに掲げ、中古住宅購入とリノベーションの個人向けワンストップサービス『リノベる。』を中心に、法人向けにビル一棟のリノベーションやコンバージョンの提案実施、ARなどテクノロジーを活用したリノベーション事業者向けサービスや、施工現場で複数の工程を遂行する「多能工」の育成など、リノベーションに関する様々な事業を展開。

近年では、IoT・スマートホームといったキーワードで表現される「リビングテック」領域の推進も行っており、良いものを継続して使い続けるという日本古来の文化を住まいへ回帰させるべく、その事業領域を拡大させている。

業界にイノベーションを起こすべく立ち上がった創業者の波乱万丈の軌跡に迫る。

【ナレーター】
中学校からラグビーに熱中し、将来プロとして実業団の選手になることを目指していた山下。大学を卒業後、見事リコージャパンの実業団に入るが、早々に挫折を味わうこととなる。

【山下】
入ってからまったくレベルの違いに愕然としました。それまでは体は小さいなりにできていたという自負があったんです。外国人選手がいるのですが、そもそも食べているものが違うので体つきから全然違うんですよね。ですので、努力しても到達できるレベルじゃないということに実業団に入って3カ月もしないうちに気づきました。

本当にもう目の前が真っ暗になった感じです。当時はラグビーでプロになるためだけに生きていたぐらいで、これどうするんだろうと思って。シャッターが下りて真っ暗になった状態が、まさに僕の中で1個大きかったことですね。

【ナレーター】
その後、実業団を退団するとともに会社を退職し、学生時代の先輩に声をかけられゼネコンへと転職。スクラップアンドビルドでキレイな新しい建物をつくる 仕事の面白さを知り、ゼネコンの世界へのめり込んでいく。しかし、ある出来事が山下の運命を大きく変えることとなる。

【山下】
3年くらいのスパンの仕事なのですが、始めに「立ち退き」と言われる、もともと住まれている方に別の場所へ移っていただく、その交渉みたいなものがあるんです。

大変な仕事ですが、当時割と条件が良かったので順調に進み、ただ1つの部屋だけ、老婦人の方が住んでいらっしゃったんですけど。その方だけが全く僕の顔も見てくれないし、インターホンを押しても出てくれないんですよ。

ですので、まずは仲良くなろうと思い、毎日家に通って、その方は足が悪かったので接骨院に通っているんですけど、そこに行くために乳母車を一緒に押してというのを毎日ずっとやっていたんですよね。

しばらくすると心を開いてくれて、「お茶でも飲んでいき」と家に上がらせていただくようになって。そこで初めて人となりを知ることになるんですが、孫がいらっしゃって。孫がいつかはここに帰ってくると思っているから移りたくないということに気づいたんです。

そうであればと「おばあちゃん、この古い団地だったら孫も帰ってきにくいだろうから、新しいマンションにしてそこのお部屋を孫にプレゼントするようなこととかを考えてみたらどうですか」というと「そんなことできるんだ」とパッと顔が変わって。

そして3年後にマンションができ上がって、老婦人に久しぶりに会ったわけですよね。

マンションの中に入ったら、その老婦人が泣きながら「あんたに騙された。こんなの家じゃない。」と僕の胸ぐらを掴んできたんです。

「私のおじいちゃんとの思い出はどこにやったんだ。私の人生を返せ」というようなことを言われて呆然と立ち尽くす、みたいなことが事件としてあって。その後どうやって家に帰ったかはあまり覚えていないです。

いい仕事をしているという感覚はあったんですよ。「よっしゃ」と思って。「じゃあ次のプロジェクトへいこう」と、そんなタイミングだったので。

「あれ?これってもしかして人の幸せを奪っているのかな」と一瞬頭をよぎるわけですよね。そんな事件があったこと何か迷いが生じ始めました。

【ナレーター】
この事件を機に自分の人生について考え直した山下は、長期休暇を取得して海外に住むラグビーの先輩や仲間の家を訪ねる旅に出る。その中で、リノベるの事業着想のきっかけとなったあるエピソードとは。

【山下】
先輩方みんな家自慢をするんですよ。「この壁ちょっとこの前塗装してみたんだけどどう?」とか。「テーブルの脚を切ってみて高さを変えてみたんだけど」とか。

「あれ?先輩そんなんでしたっけ?」みたいなことが行く国行く国で思って、先輩が少しずつ家のことにこだわりを持っているんですね。

なんでだろうと思って日本に帰ってきて、同じように先輩の家とかに行くと家の話は全くゼロで、みんな同じような家なんですよ。

その差って何だろうなとたまたま考えた時に、新築と中古の差だったんですよね。欧州もアメリカも流通している住宅の8割ぐらいが中古なんです。一方、日本は8割が新築なんです。

それだけ日本は結構変わった国で、この大きな違いがそうだということに気づいて。じゃあ中古をもう少し有効利用しながら、でも設備などを新しくしていく方法ってないのかなというところに行き着き、それがリノベーションという言葉としてあって。それだなというようなことに気づいていったと。

【ナレーター】
リノベーションに商機を見出した山下はゼネコンを退職し、家具づくりや大工、不動産などリノベーションに関わるあらゆる仕事を経験した後、28歳で独立。今でも印象に残っているという初仕事のエピソードに迫った。

【山下】
和菓子屋さんを経営している先輩が大阪にいたんですが、「ショッピングセンターの中に和菓子屋をつくるのやってみるか」と言われて。「やります」と言って、お菓子売り場ぐらいの小さなスペースだったんですけど、和菓子屋にしました。

什器と言われる。置くものから内装まで全部ひとりでつくりました。請求書を書いて送られてきたのを見て「やった」と思いましたね。

ただ当時は僕、バカだったんで、入金されたもので職人さんたちにお金を払って、残った全額で時計を買いに行っちゃったんですよね(笑)。資金繰りとか何も考えてなくて(笑)。

でも今まで買えなかったような時計が手に入って、その時計は今でもしています。

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社長プロフィール

President's profile
氏名 山下 智弘
役職 代表取締役
略歴 近畿大学卒業後、社会人ラグビーを経て、ゼネコンに入社、建築の面白さを知る。

建築・建設業に携わる中で、建てては壊す「スクラップ&ビルド」を繰り返す日本の現状を目の当たりにし「自由な空間をもっと手に入れられるような世の中をつくろう」と独立を決意。

2010年、拠点を東京に移し、リノベる株式会社設立、代表取締役就任。

2020年4月、LIVING TECH協会 代表理事に就任。
出身地 奈良県
座右の銘 「明るいバカ」「課題を価値に。」
愛読書 『ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則』(日経BP)
尊敬する人物 影響を受ける人は本当に沢山いますが、 生意気を言うようですが、尊敬する人物はあえてつくらないようにしています。 自分が人生の主役であると考えるからです。
著書 『「明るいバカ」が最高のチームを創る―本気で語り続けて実践した全員前進経営』(日経BP) 『リノベーションのススメ』(住宅新報社)

会社概要

社名 リノベる株式会社
本社所在地 東京都港区南青山5丁目4‐35 たつむら青山ビル
設立年月日 2010
業種分類 建設業
代表者名 山下 智弘
従業員数 250 人
WEBサイト https://renoveru.co.jp/
事業概要 マンション・戸建てのリノベーション、一棟リノベーション・店舗・オフィス・商業施設の設計施工及びコンサルティング

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