※本ページ内の情報は2024年1月時点のものです。

日本国内ではコンサルティング業界の人手不足が問題視されている。新型コロナウイルスの影響でリモートワークが広がり、DXの需要が一気に加速したものの、デジタル分野のノウハウがなく対応に困っている企業は多い。

そこでそれぞれの企業が持つ課題に合わせ、解決策を提案するコンサルティング人材が取り合いになる状況が続いている。そんな中、DXとコンサルの分野で、ハイエンド人材の紹介とスキルシェアの両軸で事業を運営しているのが、アクシスコンサルティング株式会社だ。

人材を「人的資本」と捉え、企業が抱える課題の発見から解決、内製化、体制化の支援まで一貫して行い、アフターフォローにも力を入れる山尾社長の思いを聞いた。

高度で専門的なスキルを持った人材紹介✕スキルシェア

ーー他社にはない、貴社の強みについてお聞かせください。

山尾幸弘:
弊社は、高度で専門的な価値を提供する人材の紹介と、専門人材のスキルを部分的に活用できるスキルシェアという2つの事業を行っていることが特徴です。

人材紹介事業の1つ目は、コンサルティングファーム向けの「アクシスコンサルティング」で、特にマネージャー以上の採用や転職支援を行っています。

2つ目は、「ケンブリッジ・リサーチ研究所」です。こちらは事業会社向けの人材紹介事業で、CxOや経営層、デジタルやDX領域などのポジションへハイエンド人材やコンサルティングファーム出身者を紹介できることが強みです。

スキルシェア事業は、フリーランスや副業のコンサルタントによる経営課題の解決支援サービスのことです。スキルシェア事業の1つ目は、フリーランスを目指す方や兼業を始めたい方を支援し、人材を探している企業とつなげる「フリーコンサルBiz」。

2つ目は、現役コンサルタントの経験や知見をスポット的に提供して事業会社を支援する「コンパスシェア」です。


ーー貴社では採用希望者や企業との関係の“リカーリング”(継続)も重視されていらっしゃいますね。

山尾幸弘:
以前勤めていた食品メーカーでは、アフターフォローを重視していました。ところが、人材紹介業界では、求人を出した企業と求職者がマッチングしたらそこで関係が終了します。常々その点には疑問を持っていました。

また、企業からも求職者からも「なぜ職場に定着できるまで伴走してくれないんだ」という声を聞くことが多かったので、継続的に企業や人材の要望に応えていくサービスを提供しようと思いつき、アクシスコンサルティングを起業することにしたのです。

弊社では人材を資源(ヒューマンリソース)ではなく、資本(ヒューマンキャピタル)と捉えています。

終身雇用が崩壊し、大転職時代となった今、副業をする方や起業、独立する方など、働き方は多様化してきています。業務のインソース(内製化)とアウトソース(外注)を支援し、人材を求めている企業と、働き手のマッチングを行っていきたいと思っています。

アクシスコンサルティングが求める人物像について

ーー貴社が求める人物像についてお聞かせいただけますか。

山尾幸弘:
年齢や役職に関わらず当事者意識を持ち、会社をリードしてくれる人を求めています。なぜなら、そういう意識を持った集団でなければ、市場や価値観の変化に対応しつつ、お客様と伴走することなどできないと思っているからです。

一定の配慮は必要ですが「個人的な見解です」と前置きをしたうえで、自分の意見を積極的に発言してもらいたいですね。

採用時には能力以上に仕事の適性についてチェックしています。スキルは後からいくらでも習得できますが、工夫と改善をして自分を高めようとするスタンスやモチベーションは教えられるものではありません。

新入社員には伸びしろしか期待していないので、結果がすぐに出なくても構いません。とにかく自発的に動いてもらいたいと思っています。

ーー貴社で活躍できるのはどのような方でしょうか。

山尾幸弘:
やはり高い成長意欲や向上心、ベンチャースピリットを持っている方ですね。明確なキャリアビジョンはないとしても、自分の核となる意志があって、ステップバイステップで成長したいという方に来てもらいたいと思います。

また、状況が変化してから対応するというよりも、自ら変化をリードする推進力もあるといいですね。指示されたことをやるのではなくて、自らが変化をつくっていけるような気概のある方を求めています。

ーーベンチャースピリットを育てる方法があればお教えいただけますか。

山尾幸弘:
自分自身の成長や進化に貪欲であってほしいと思います。自分を高める努力を継続していれば、新しい道を切り拓いていくマインドが育つでしょう。

ベンチャースピリットを持つ人材を集めたいという方に伝えたいのが、必ずしも人材の構成比の上位にパフォーマンス能力が高い人がいるわけではないということです。

「どのような組織や集団も、人材の構成比率は優秀な働きを見せる人が2割、普通の働きをする人が6割、貢献度の低い人が2割となる」という理論を唱える「262の法則」がありますよね。

しかし、私は優秀な人よりも、普通の働きをする人のうちの上位2割の方が、より能力を発揮していると感じています。つまりビジネスマンとして優秀かどうかよりも、愚直に課題を突破する人の方が会社への貢献度が高いと思っているのです。

採用選考で重視するポイントや社内教育について

ーー貴社が求める人材を集めるために、どのような工夫をされていらっしゃるのですか。

山尾幸弘:
面接では弊社に入社して何を自己実現したいのか、どのように自己成長したいのかを重点的にうかがいます。ここでミスマッチが起きてしまうと、お互いWin-Winの関係にはなりませんからね。

そのため、たとえ能力が高かったとしても、ご本人が伸ばしていきたい領域と弊社のパーパスに大きな開きがある場合はお断りするケースもあります。

ーー貴社ではハイエンド人材のキャリア支援を行っていらっしゃいますが、優秀な人材を集めるためにどのような社内教育をされているのでしょうか。

山尾幸弘:
優秀な求職者のパートナーとなるためには関係性の構築が不可欠なのですが、これには心の知能指数といわれるEQが重要だと考えています。

そのため、採用時には自分が持っているスキルをきちんと発揮できるかどうか、相手から信頼を得るための思考や行動パターンである「行動特性」などもチェックしています。

また、入社後はお互いを切磋琢磨するためチームビルディングを行ったり、コミュニケーションスキルを高めるためのプログラムを受けてもらったりして、スキルアップできる環境を整えています。

社会人1年目の心得・読者の方へのメッセージ

ーー山尾社長が社会人1年目のときは、どのようなことを意識されていましたか。

山尾幸弘:
何も成し遂げていないうちは、自分が何者か、将来どうなりたいかイメージできませんし、自分の思い通りになんて進まないと思います。

そのため、時代が変化しても適応できる自分になるために、言われたことは何でもやってきました。仕事の質や効率なんてわからなかったので、とにかく量をこなしました。

社会人1年目の方々は、遠くの目標を見すぎて、自分の能力の低さに落ち込んでしまうこともあると思います。まずは目の前にある仕事を確実にやり遂げることだけを考えてください。努力を積み重ねた先に、自分が目指したいものが見えてくると思いますよ。

ーー最後に読者の方にメッセージをお願いします。

山尾幸弘:
大転職時代を迎え、フリーランスや副業人材の増加など、人材ビジネスは今大きな変革期を迎えています。弊社では、自ら時代をつくり、変革をリードしていくことに強い関心や興味がある方、自分を成長させていきたいという方にぜひ応募していただきたいと思っています。

弊社のビジョンや企業戦略に共感いただける方には、私たちもみなさんが成長できるよう真摯に向き合います。お互いに成長していきながら、新しい時代や価値を創造していきましょう。

編集後記

「何も成し遂げていないうちは、自分が何者かなんてわからない。時代が変化しても適応できる自分になるため、目の前にある仕事をするのが重要だ」と語る山尾社長。これはまさに自分の理想の姿を目指すあまり、現実とのギャップに苦しむ新社会人に、参考にしてもらいたい考え方である。

業務のインソースとアウトソースを提供し、求人企業と求職者のマッチングを支援するアクシスコンサルティング株式会社は、人材不足が深刻な課題となっている日本にとって必要不可欠な存在になることだろう。

山尾幸弘(やまお・ゆきひろ)/味の素ゼネラルフーヅ株式会社(現:味の素AGF株式会社)にて営業・マーケティング業務を担当。1992年国内系エグゼクティブサーチ会社に入社。IT、製造、通信、サービスなどさまざまな業界、大手からスタートアップベンチャーまで、幅広い企業ステージのエグゼクティブサーチを手がける。同社取締役を経て、2002年アクシスコンサルティング株式会社を設立、代表取締役社長就任。