※本ページ内の情報は2024年4月時点のものです。

株式会社セイファートは、美容業界で30年以上の実績がある美容師応援カンパニーだ。

広告求人サービス・紹介・派遣サービス・教育(その他)サービスという3つの柱を持ち、美容師や美容室経営企業の支援を行っている。

今回は代表取締役社長の長谷川高志氏から、起業までの経緯や今日に至るまでの苦労、企業の強み、今後の展望などについて話をうかがった。

美容業界に魅力を感じ、若くして起業に至る

ーー貴社を起業するまでの経緯を教えてください。

長谷川高志:
明治学院大学法学部を卒業後に美容室に化粧品を卸す販売代理店へ入社し、営業として働きました。

そこで4年間働く中で、多くの美容室のオーナーと関わり、美容業界が好きになりました。

これがきっかけで、「美容室のオーナーを支援する会社をつくりたい」と思うようになり、30歳のときに弊社を設立しました。

当時は美容業界のマーケットが大幅に伸びていた時期でしたが、全国の美容学校は定員割れを起こしており、美容師免許取得者が少なく、どこの美容室も採用に苦戦していました。

この問題を解決するためには「読者全員が美容師免許を持っている、美容業界専門の就職情報誌が必要だ」と思い、「re-quest/QJ」を創刊しました。軌道に乗せるまで苦労しましたが、7年目頃から少しずつ軌道に乗り始め、今日に至っております。

資金の工面に悩まされた7年間

ーー起業時に苦労したエピソードがあれば教えてください。

長谷川高志:
資金の工面にとても苦労しました。起業する際は貯蓄していた自己資金を当てましたが、それだけでは間に合わず、家族や親戚、友人にまで借りて資金を集めました。消費者金融からの借り入れが増え、借金が膨大にふくらみ、当時働いていた私を含めた7名の社員の給与を十分に支払うことができないといった厳しい状況も経験しました。

それでも「美容業界専門の就職情報誌が絶対に必要だ」「自分たちが諦めてしまったら、美容業界専門の就職情報誌は二度と生まれない」という気持ちを全員が持って、結果が出るまで取り組んでくれました。

今の弊社があるのは、当時、厳しい中でも辞めずに続けてくれた創業メンバーのおかげなので、彼らにはとても感謝しています。

美容師という職業の社会的地位の向上を目指したい

ーー仕事をする上で大切にされていることは何ですか?

長谷川高志:
私は「事業は世の中を良くするためにある」と思っており、弊社の事業は美容業界を通して世の中に新しい価値をつくることだと考えています。

美容師というのは、お客様の人生を変えられるほどのパワーを持つ素晴らしい職業です。

しかし「美容師は給与が低い」「拘束時間が長い」などネガティブな印象を持たれやすく、目指す方が少ないといった状況が続いています。

美容師という職業の素晴らしさを広めて社会的地位を向上させることが、弊社の原点であり、これからも力を入れていかなければならないと思っています。

30年以上の美容業界の実績を活かし新たな価値を生み出す

ーー貴社の強みを教えてください。

長谷川高志:
弊社の強みは、美容業界で30年以上の実績を積んできたことです。全国の美容専門学校275校のうち約95%の学校に対し、履歴書の書き方講座や模擬面接といった就職指導を行うなどの関係性を構築しております。

そこで美容学校や美容学生と信頼関係をつくり、弊社が開催する美容学生向け合同会社説明会「re-quest/QJ 就職フェア」に来ていただくこともあります。去年1年間だけでも、弊社の就職フェアには1万人以上美容学生が来場しました。

このように、美容業界の新卒採用市場において、弊社は圧倒的なシェアを持っています。

ーーこれからの展望を教えてください。

長谷川高志:
大きく2つあります。

1つ目は、美容室メディアサービスである「beauqet(ビューケット)」と、「タブレット・レンタル」そして「EC」のクロスセルでの成長です。「beauqet」は、美容室を通してお客様にさまざまな商品のプロモーションを行うサービスです。私は、美容師は、新聞・テレビ・雑誌・ラジオ・インターネットといったメディアに次ぐ第6のメディアだと考えています。

自分が信頼する美容師が勧める商品であれば、お客様は安心して買うことができます。このような美容室ならではのリアルコミュニケーションによる強みを活かし、そこに「EC」を交えて発展させることで、経済的な価値を生み出せる仕組みをつくっていきたいと思っています。

2つ目は、日本がアジアの美容業界の発展に貢献することです。日本には現在約25万軒の美容室があり、約50万人の美容師が働き、1年間で1兆5千億円程の売上をつくっています。

そして、黒髪を美しくカットしてカラーリングをする美容技術は日本が世界トップクラスだと感じているので、「同じアジアの国で美容師を目指す方々が日本に来て学び、この素晴らしい技術を自分の国で活かすサイクルをつくりたい」と思っています。

現在、「City&Guilds(シティアンドギルズ)」という英国最大級の職業能力評価機関から認められた、国際美容技能認証という教育プログラムを日本に普及させる活動にも取り組んでいます。これをアジア全体に対しても発信していくことができれば、「日本で美容を学びたい」と思う方が増えると考えています。

向上心と素直さを持つ方と一緒に働きたい

ーー社内の雰囲気を教えてください。

長谷川高志:
賑やかで活気のある雰囲気で、社員全員が前向きに業務に取り組んでいます。社員の半分は女性が占めており、産休・育休制度、時短制度も充実しています。

その制度を利用することを後ろめたく感じてしまうような雰囲気は全くないので、働きやすい環境が整っていると思います。

ーー貴社の採用基準を教えてください。

長谷川高志:
「向上心があるかどうか」「素直な方かどうか」という点を重視しています。出身校や偏差値などは一切気にしていません。

面接では「その方にどのような魅力があるのか」「今までどのように生きてきたのか」「課題を乗り越えてきた経験」などを深堀りして話をうかがうようにしています。

候補者の方には本音で話してほしいので、緊張させないように笑いを交えながら進め、普段通りに話していただくようお伝えしています。

チャンスを見つけ、手に入れるために挑戦し続けてほしい

ーー最後に、読者である学生や若い方へメッセージをお願いいたします。

長谷川高志:
今後、世の中はさらに変化するスピードが早くなっていきます。変化する際には必ずチャンスがあり、そのチャンスをつかむためにいろいろなことに挑戦してほしいと思います。そしてその結果が「人としての成長にもつながる」と信じています。

編集後記

日本の美容業界発展のために、創業時から諦めずに努力を続けてきた長谷川社長。今後は日本だけでなく、アジアの美容業界の発展も目標にして、サービスの強化にも積極的に取り組んでいくという。

一社だけの業績ではなく、世の中全体への貢献を常に考え、さらなる挑戦を続ける株式会社セイファートに注目だ。

長谷川高志(はせがわ・たかし)/1961年神奈川県生まれ。1987年に明治学院大学法学部を卒業後、美容室に化粧品を卸す販売代理店に4年勤務。1991年に美容業界専門の就職情報誌「re-quest/QJ(リクエストQJ)」を創刊し、株式会社セイファートを設立。以来、代表取締役社長を務める。2022年2月、JASDAQ(スタンダード)市場に新規上場を果たす。