※本ページ内の情報は2024年4月時点のものです。

株式会社タケックスラボは、竹の研究を通して抗菌・除菌から食の安心・安全・健康を追求するフードテックベンチャーだ。

30年以上にわたるエタノール衛生剤や食品添加物のノウハウを武器に、竹を原料とした抗菌剤・消臭剤・建築資材など、多くの商品を販売してきた。

今回は代表取締役の岡田久幸氏に、事業内容や事業を始めたきっかけ、苦労についてのエピソード、海外展開、今後の展望などについて話をうかがった。

竹の機能特性や有効成分を活かす研究開発と事業を展開

ーーまず、貴社がどういった事業を展開されているかをお聞かせいただけますか。

岡田久幸:
弊社は竹にフォーカスした研究開発と事業展開をしている会社です。事業は2つあり、竹を原料とした抗菌剤や日持向上剤などの開発・販売を行うライフサイエンス事業と、竹素材そのものを工業化・産業化に向けて開発していくバイオテック事業です。

竹はとても特殊な機能特性や有効成分を持っているので、それを活かしていくための事業を展開しています。

物心がついた頃から竹が身近にあった幼少期

ーーどのようなきっかけで「竹」の研究を始めたのでしょうか。

岡田久幸:
父が竹細工の仕事をしており、竹の研究をしている姿を幼少期から見てきたので、気が付けば「竹」は身近な存在でした。

高校時代には大病を患って食の安全性に気付かされました。また荒廃竹林や竹公害といった環境問題への社会の意識も高まったことをきっかけに、竹がじゃまものとして扱われることに対して違和感を持ち、「自然に優しい形で竹をもっと有効活用して社会貢献をしたい」と思うようになり、弊社を立ち上げて事業をスタートしました。

結果の有無にムラがある竹の成長性の研究に苦戦

ーー今までの苦労についてのエピソードがあれば教えてください。

岡田久幸:
竹の機能特性を研究することが難しく、苦労しました。抗菌剤・食品添加物用途としては、竹の成分構成は月単位で変わるので有効成分の含有量幅が大きく、研究する際に結果が出るときと出ないときの差が激しく成分の変動を月単位で整理して、竹の品質安定性を確認し、商品として安心して販売できるようになるまで長い期間がかかりました。

一方で、竹素材としての産業・工業用途として考えた時に、竹に多く含まれる栄養成分が虫の食害の原因になるなど品質に影響する為、その点にも配慮し生物劣化を起こさないように品質の安定性を図るためのノウハウを確立することができました。

世界で一番厳しいハラルの認証機関から認証を受け、ハラルマーケットにも進出

ーー海外展開に取り組む予定はありますか?

岡田久幸:
現在、東南アジアのイスラム市場であるハラルマーケットへの進出を行っています。

菌が増殖しやすい東南アジアの温暖地域では、コールドチェーンも万全ではなく食品が傷みやすいため、「弊社の抗菌剤や日持向上剤を使って衛生面や食品の廃棄ロスを改善していくのに適したマーケットである」と思ったからです。

しかし、その地域ではアルコールが禁忌とされているため、アルコールを使った製品が存在していません。

弊社の製品はアルコール含有量が高いため、世界のハラルの認証機関として一番厳しいとされているマレーシアのハラール認証「JAKIM(ジャキム)」から許可をとることにしました。これはイスラム諸国で通用する認証です。

無事に認証を受けることができた後にコロナ禍となり、海外に行けず苦労しましたが、2023年から再び海外展開に向けて動けるようになりました。

商品を広めるためには営業体制の強化が必須

ーー今後の展望について教えてください。

岡田久幸:
仕入れの基盤を整え、研究もある程度進んできたので、これらを売上につなげていくためにも、今後は営業部門の体制強化に力を入れていきたいと思っています。

今までは開発をしながら販売も行う技術営業系の人が多かったのですが、商品を広げていくためには技術よりも販売に力を入れていく必要があります。

国内だけでなく海外でも需要をつくり出すことは弊社の大きなミッションだと思っているので、そのために必要な採用活動やマニュアルづくりなどを積極的に進めていきたいですね。

「夢と挑戦」というキーワードに少しでも反応する方は是非弊社へ

ーー最後に読者である学生や若手人材に向けて、メッセージをお願いいたします。

岡田久幸:
夢を持ち、挑戦することを大切にしてほしいと思います。

弊社は「⽵の研究を通して地球環境や世界の⼈々の健康に貢献したい」という夢を持ち、それを成功させるためにこれまで走ってきました。その過程で苦労することも多く、大変でしたが、今振り返ってみると「やりきって良かった」と実感しています。

いくつかのメディアを見ると、このように「夢を持って挑戦し、最後までやりきる」という思考で動く若手の方は減ってきているようです。安定思考ももちろん大事ですが、「夢と挑戦」という点もキャリアや生き方の軸として重要だと思っています。

そして、このようなキーワードに共感できる方を弊社は歓迎します。

編集後記

幼少期から竹を身近に感じる環境で育ち、大病を患った経験、荒廃竹林や竹公害といった環境問題をきっかけに、今の事業をスタートさせた岡田代表。

「⽵の研究を通して、地球環境保全と世界の⼈々の健康に貢献する価値創造企業を⽬指す」という企業使命のもと、国内だけでなく海外にも進出し、商品を提供している。

今後は営業の体制強化にも力を入れ、販売促進や事業展開など、さらなる成長と拡大に向けて挑戦しつづける株式会社タケックスラボ。その活躍に期待が高まる。

岡田久幸/1981年、高松第一高等学校を中途退学。同年、家業の創作竹工芸品を製造販売する蜂の巣巧房に入社。竹の総合利用を目的とした研究に従事。1995年、株式会社バンブーテクニカルを設立し、取締役に就任。2002年、株式会社フードテックス(現:株式会社タケックスラボ)を設立し、代表取締役に就任。2017年、タケックス株式会社を設立、代表取締役に就任、同社の現地法人としてTAKEXCOMALAYSIA Sdn. Bhd.を設立し、取締役に就任。