※本ページ内の情報は2024年5月時点のものです。

消費者だけでなく企業間の膨大な物流を支えるのはテクノロジーの時代。株式会社ダイアログは「物流DX」の第一線で活躍する企業だ。同社代表取締役CEOの方志嘉孝が未来の物流にかける思いを語った。

直近1年の著しい成長から見えるニーズ

ーーどのような事業を展開されていますか。

方志嘉孝:
さまざまな事業を行っていますが、中心となる事業は「物流DX」です。WMS(ウェアハウスマネジメントシステム)という、倉庫や物流拠点、工場などの商品在庫やその出入りを一元管理する情報システムを提供しています。現在は約500社に導入しています。

また、常に新しいサービスの立ち上げを行っていて、シェアリングエコノミー(複数の人が同じ車や物流手段を共有して荷物を届ける仕組みのこと)などのシステム開発にも力をいれています。

ーーこの1年で貴社のDX事業が成長を遂げた要因は何だと思いますか?

方志嘉孝:
WMSを多くのエンタープライズ(大企業)に導入していることです。膨大なWMSのデータを活用して、新しい挑戦を続けられることが私たちの強みです。リソースの提供や自動発注など、無駄なく安く提供できるシステムを作っていきたいですね。

ーーWMSの具体的な特徴を教えてください

方志嘉孝:
WMSは業界によって業務内容が大きく異なります。「物流」と一口に言っても、アパレルと食品、さらには食品の中でも冷凍と冷蔵では、輸送の流れや重要視する点が全く異なります。特に医療業界の場合、特別な許可が必要で、製品の扱いに関しては細心の注意を払う必要があります。

全ての業界に共通するSaaS(サース:ソフトウェアをインターネット経由で提供するサービス)を作成することは、非常に困難です。そのため、各業界や物流DXの知見をメンバーがしっかり持って提案していける環境を弊社では整えています。

企業ごとにカスタマイズしつつも汎用性の高いシステムを構築

ーー物流業界の現在の課題は何ですか。また、それに対してどのように対処していますか。

方志嘉孝:
バブルが崩壊したとき、世の中の物流子会社が親会社グループのビジネスに依存しないように、グループ会社以外のところから仕事を取ってくる必要がありました。

その結果、付加価値として「どれだけお客様の業務にシステムを合わせられるか」という点が重要視されたので、大量のカスタマイズがシステムに施されており、保守メンテナンスに非常に手間がかかります。現在のエンジニアが、その古いシステムを管理するには必要以上の労力がかかってしまうのです。

その課題を解決するのが弊社のクラウドネイティブ(クラウド上でのアプリやソフトウェア開発を前提とする考え方)のサービスなのです。弊社は「開発の民主化」をコンセプトに、ある程度の設定をすれば業務内容によってシステムを変えられるようにしています。ノーコードでスピーディーに開発ができたり、ロボットと簡単に連携ができたりと、この汎用性の高さと使い勝手の良さが、古いシステムと格段に違うところですね。

業界をリードしたい!「売上100億円」の目標と業界全体の課題解決

ーー今後、どのようなことに力を入れていきたいですか?

方志嘉孝:
1つ目は、WMSの業務拡大です。現在の業務は在庫管理がメインですが、物流センター長は、シフト管理や資材調達、現場の監視などの他にも多くの仕事を担当しています。そのため、弊社のサービスをセンター長の業務全般に適したものに拡充する必要があります。現在、弊社はコンテンツを徐々に増やしているので、ゆくゆくはそれを物流ポータルサイトのような形に進化させたいですね。

2つ目は、新規開拓です。製造業を中心にまだ接点のない企業に積極的にコンタクトを取っていきたいと考えています。製造業の会社は西日本に拠点が多いので、そういったところを支援していきたいですね。

3つ目は、既存顧客のサポート強化です。既存顧客の中には、1度サービスを導入すると安定稼働して、その後の問い合わせがほとんどないお客様がいらっしゃいます。ですが、コスト削減や物流の減少など、お客様が抱える悩みや課題を解消していきたいという思いが私にはあって、定期的にヒアリングを行いたいと考えています。

そこで、弊社はCX(カスタマーエクスペリエンス)部門をつくりました。お客様へのヒアリング、サポートはもちろんのことですが、新規案件の創出にもつなげていきたいですね。

ーー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

方志嘉孝:
弊社は物流業界を、もっと人が働きたいと思える業界に変えたいと思っています。土木や物流はブルーワーカーとしてのイメージがどうしても強いのですが、実際はロボットの活用が進み、肉体労働が少なくなってきています。将来的に労働業務はロボットが中心になり、フルオートメーション化され、人が管理業務を行えるようになったらいいですね。

このように、業界全体の課題解決にもチャレンジできる弊社に少しでも魅力を感じてくれる人がいたら、ぜひ応募してほしいと思います。売上100億円を目指しているので、皆さんの新しいアイデアや力を貸してください!

編集後記

業界の常識にとらわれず、常に生産性の向上や効率化・社会への影響を考え模索し続ける方志社長。次々と打ち出す業務効率化のためのアクションは、「常に課題を見出し、積極的に問題解決に臨む」姿勢に支えられていることを強く感じた。業界のさらなる発展と、より便利な社会を目指す同社の貢献に期待が高まる。

方志嘉孝/1981年、広島県出身。2005年早稲田大学大学院修了後、IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社に入社。2008年に日本アイ・ビー・エム株式会社に入社し、ITコンサルタントとして製造業、商社、官公庁などで、PMとして活躍。2013年に、株式会社ダイアログを創業し代表取締役社長に就任。