「CMC」という単語を知っているだろうか? CMCとはChemistry, Manufacturing and Controlの略で、医薬品を製品化する前の原薬研究・製剤研究・品質管理などを受け持つプロセスを指す。
スペラファーマ株式会社は、そんなCMCを専門にするハイレベルな研究者集団だ。一日でも早く新薬を届けるために日々数多くの研究に取り組んでいる。
世界トップレベルの医薬品開発技術を持つため事業や社員のレベルも高く、代表取締役社長の岩城慶太郎氏は「どこよりも研究者として成長できる環境がある」と語る。そこで、スペラファーマの具体的な事業内容や業界における強みなどについて岩城社長にうかがった。
CMC事業で医薬品バリューチェーンの川上領域を担当
ーー貴社の事業内容を教えてください。
岩城慶太郎:
弊社の主な事業は、医薬品のCMCとCDMO(製造受託)事業です。
スペラファーマは1914年から続くアステナホールディングス株式会社(旧イワキ株式会社)のグループ企業で、医薬品原料の製造販売を担当するスペラネクサス株式会社、医薬品・化粧品などに用いられるペプチド(※1)の研究開発受託を担当するJITSUBO株式会社、CMO(※2)を担当する岩城製薬佐倉工場株式会社という3つのグループ企業と協力して事業を進めています。
CMCやCDMOは、、品質が何より大切ですし、幅広い対応力も求められます。弊社はその両方を兼ね備えた企業です。技術の研鑽に日々取り組みながら、医薬品業界になくてはならないプラットフォームになることを目指しています。
※1 複数のアミノ酸が結合した化合物。ペプチドを主体とした医薬品をペプチド医薬品と呼び、天然型アミノ酸で構成される「従来型ペプチド医薬品」と非天然型アミノ酸を含む「次世代型ペプチド医薬品」がある
※2 Contract Manufacturing Organization(医薬品製造受託機関)の略称
代々続く家業を継いで医薬品の世界へ
ーー社長の経歴をお聞かせください。
岩城慶太郎:
大学を卒業した後は、コンサルティング会社のアクセンチュア株式会社に就職し、3年間勤務しました。2005年にアクセンチュアを退社し、アステナホールディングスの前身であるイワキ株式会社に入社。2007年に取締役医薬品部長に就任しました。
その後、イワキ株式会社にてスペラファーマを始めとした会社の買収を行い、持株会社として2021年6月にアステナホールディングスへと商号変更を行いました。私は事業に注力するためにスペラファーマの社長へと立場を変え、今に至ります。
幅広い対応力と高い技術力でワンストップサービスを実現
ーー貴社の強みは何でしょうか?
岩城慶太郎:
ワンストップでCMC開発の幅広い領域に対応できることです。弊社に蓄積された高い技術力をベースに、スペラネクサスとJITSUBO、岩城製薬佐倉工場との協力体制により、バリューチェーンの川上から川下までを一貫して受託できます。
また、技術者のレベルの高さも強みです。弊社は売上収益国内トップの武田薬品工業株式会社(武田薬品)からスピンオフした企業なので、武田製薬で磨き上げられた技術者たちが多く在籍しています。
さらに研究の題材が常に潤沢にあるので、技術者が日々研鑽するフィールドも整っています。CMCの案件が常にある環境はこの業界でも珍しく、次から次へと新たな研究と向き合える成長機会が多い会社だといえるでしょう。
医薬品業界のトップランナーをサポートし続ける存在であるために
ーー今後の注力テーマを教えてください。
岩城慶太郎:
既存顧客に対する取引深耕や新規顧客獲得のための営業強化に取り組んでいきたいと考えています。
弊社はかつて売上の100%が武田製薬によるものでした。しかし、最近は他社による割合の方が多くなっており、顧客との関係を広く・深くするフェーズへと移っています。弊社には優秀な技術者が多くいますし、クオリティの高いサービスも提供できます。弊社のサービスに触れるキッカケさえ作れれば、多くの顧客とつながれる可能性は高いでしょう。
また、グループ企業の横断的な知識を持った幹部育成を強化していく予定です。弊社はグループ企業同士が協力して事業を進めているので、業務効率化を推進するには広い視野を持った幹部の役割が重要です。
医薬品という生活の基盤を支えるジャンルにいるからこそ、弊社は常に研鑽を積まねばなりません。5年後、10年後も医薬品業界のトップランナーに対して業務を提供し続ける企業でなくてはならないのです。
技術者として大きく成長できる環境がここにある
ーー貴社の社風や人材に求める素養を教えてください。
岩城慶太郎:
弊社は社員の大半が技術者という、技術が中心にある組織です。技術者たちは基本的にレベルが高く研究意欲も高い方がそろっています。
また、弊社には四六時中研究と向き合える環境が整っているので、日々の研究や社員同士のコミュニケーションを通じて、技術者として大きく成長できる可能性にあふれています。
人材のレベルは、業務に高い技術力や多くの知識が必要になるので必然的に高くなります。それだけに採用区分は中途採用がほとんどですが、新卒も採用していないわけではありません。採用割合は中途採用の10分の1程度ですが、研究者として成長したい方はチャレンジしていただきたいと思います。
中途・新卒どちらでも、研究意欲が高く、技術者として成長意欲が高い方とご一緒したいですね。
編集後記
私たちの健やかな生活は、多くの優秀な技術者たちによって支えられている。スペラファーマは、まさにその中枢を担う会社だと感じた。バリューチェーンの川上に位置するからこそ、その影響力は大きい。岩城社長の指揮のもと、技術者たちはさらなる高みを目指し続けていく。
岩城慶太郎/1977年生まれ。慶応義塾大学総合政策学部を卒業後、2002年にアクセンチュア株式会社に入社。2005年にアステナホールディングス株式会社(旧イワキ株式会社)に入社し、2007年に取締役医薬品部長に就任。2017年には代表取締役社長に就任する。2022年、スペラファーマ株式会社代表取締役社長に就任。2024年、アステナホールディングス社長を退いて取締役となり、スペラファーマ株式会社の事業に注力している。