※本ページ内の情報は2024年12月時点のものです。

女性向けライフスタイルブランド「Sea Room lynn(シールームリン)」は、2024年にハワイにも店舗をオープンするなど、今勢いに乗っているブランドの1つだ。

同ブランドを手がけているのは、株式会社LEMONADE。2015年に設立されたばかりの会社だが、鎌倉で一棟貸別荘の運営も手がけるなど、事業を急速に拡大している。

今回、専業主婦から同社を立ち上げ、わずか10年で年商20億円を達成した代表の大和梓氏を取材。同社の創業ストーリーと魅力に迫った。

真冬の韓国で夜中まで買い付け。「求められている実感」があったから続けられた

――創業の経緯を聞かせてください。

大和梓:
私は23歳で出産したのですが、当時は働きたくても子どもがいるという理由で、仕事探しに苦戦しました。どうしたら良いのか分からず、ネイルスクールに通うなどいろいろと模索する中で、「家でできる仕事をしたい」と思ったのがきっかけです。

そこで辿り着いたのが、洋服を自分で買い付けて販売する仕事です。もともと洋服が好きだったので、韓国まで足を運び、洋服を買い付けるところから始めました。

手荷物カートを押しながら真冬の夜中まで買い付けし、家では家族に手伝ってもらいながら配送作業。体力的に辛かった一方、楽しくて仕方なかったことを今でも覚えています。

それから徐々に洋服が売れるようになり、2015年に株式会社LEMONADEを設立しました。知識がなかったので、どの商品がいくらで売れそうかを直感で判断して買い付けていましたが、今となってはそれが逆に良かったのかもしれませんね。

――洋服をオリジナルに変えたのはいつ頃ですか。

大和梓:
2015年から徐々にオリジナルを増やし、今ではほぼオリジナル製品です。買い付け品には不良品や規格外品が多く、商品を交換するために韓国へ戻る手間が発生していたので。お客様の要望にしっかり応えたいという思いから、オリジナル製品へ切り替えました。

――体力的にも精神的にも大変だったと思いますが、それでも事業を続けられたモチベーションは何だったのでしょうか。

大和梓:
私は結婚・出産前は美容部員をしていたのですが、専業主婦になって以前のようなキラキラした世界から離れ、閉ざされた世界に取り残されているように感じていました。

そのような状態から自分で事業を始めたことで、お客様から求められているような実感を得られて、とても嬉しかったのです。

当時はDMやInstagramのコメント欄で私がお客様とやりとりをしていたので、直接お客様の声を聞くことができましたし、お客様からの声がモチベーションになりましたね。

ウェルネスを体験できる一棟貸別荘「LULLA」の運営をスタート

――事業内容について教えてください。

大和梓:
1つは、D to Cの女性向けライフスタイルブランド「Sea Room lynn」の運営です。同ブランドは、創業当初から「明日着たいものを今日売る」をコンセプトに掲げています。

たとえば多くのアパレルショップでは、冬物のコートを秋頃など早めに販売していますが、実際のところ着たい服はその時々によって変わりますよね。「女心は秋の空」とも言いますが、「Sea Room lynn」では明日着たいものを新作ですぐに買えるように心がけています。

また、鎌倉で一棟貸別荘「LULLA(ルラ)」の運営も、今年から始めました。私は海が好きで、いつかは海が見える物件がほしいと思っていました。そんなときに、知人からこの鎌倉の物件を紹介され、ご縁だと思い購入を決めました。

以前はビーチクラブの運営なども行っていましたが、コロナ禍の影響でそれは一時的にストップし、今は鎌倉の「LULLA」に集中しています。

――「LULLA」のコンセプトや特徴についても聞かせてください。

大和梓:
「LULLA」のコンセプトはアートとウェルネスで、ロサンゼルスにある「Galerie Lulla」は、アーツディストリクトに位置するギャラリーで、東洋と西洋の美学を融合させた独自の空間を提供しています。多様なアーティストの作品、特別な家具、希少な書籍などを展示し、訪れる人々に新しいギャラリー体験を提案しています。

一方で鎌倉の施設はウェルネスをテーマにしており、SUP(スタンドアップパドルボード)などのマリンスポーツも楽しめるのが特徴です。今後も鎌倉の方は、ウェルネスも体験できる施設として力を入れていきたいと考えています。

先のことは考えすぎず、時代を予測しながら一歩ずつ進んでいきたい

――今後の注力テーマや展望についてお願いします。

大和梓:
注力テーマとしては、若手の男性社員をさらに採用したいと考えています。現在は女性従業員が9割を占めており、積極的に行動する男性が増えると社内の雰囲気が変わるのではないかと思います。弊社は、フレンドリーかつ社内一丸となって挑戦できる会社です。そういった点に面白さを感じてもらえる方と、一緒に新しいことにチャレンジしたいですね。

また、現在はハワイとロサンゼルスに店舗がありますが、さらなる海外展開を目指すことで会社がさらに盛り上がると思っています。海外展開にも積極的にチャレンジしていきたいです。

展望に関しては、2年後に売上30億円を目指しています。30億円という数値を達成することで見える景色が変わると思いますし、今はこの数値を達成するためにどうすべきかを日々考えているところです。

自分らしさや自分の得意なところを活かしながら、1年後、2年後に向かって着実に進んで、時代の流れを予測しながら方向性を決めていきたいと思っています。

編集後記

SNSを通してお客様のリアルタイムの反応を集め、それを商品開発に活かすことで成功した株式会社LEMONADE。2015年に設立されたばかりの会社だが、驚くべき急成長を遂げている。

専業主婦からわずか数年で人気アパレルブランドの経営者になった大和代表の姿は、これからも多くの女性を勇気づけるに違いない。

大和梓/1985年東京都生まれ。美容専門学校卒業後、美容部員として1年半程働く。専業主婦を経てアパレル未経験で2015年株式会社LEMONADEを立ち上げる。