※本ページ内の情報は2025年5月時点のものです。

特殊な物流から食品販売、不動産、観光事業まで、地域に必要とされる事業を次々と展開する白石自動車株式会社。同社は高圧ガスや危険物、毒劇物など他社が避けがちな物流にも挑戦し、オンリーワンの地位を確立してきた。大牟田市を拠点に、「地域と共に発展する」という思いを貫く代表取締役の白石政嗣氏に話を聞いた。

地域の発展に貢献し、日本を元気にしたい

ーー社長のこれまでの経歴をお聞かせください。

白石政嗣:
私は高校まで長崎県で過ごしたのち、東京の国士舘大学へ進学しました。大学の寮生活では国旗掲揚係を2年間担当し、毎朝4時半起きでしたので強い精神力と持続力が養われましたね。1976年に弊社へ入社したあとは、青年会議所の活動を通じて地域発展に尽力し、大牟田市の理事長から九州地区会長まで務めました。その活動を通じて多くの方々に支えていただいたので、代表取締役社長へ就任した際に、その恩返しとして大牟田の地で会社を成長させていこうと決意したのです。

ーー貴社の事業内容を教えてください。

白石政嗣:
弊社は、高圧ガスや危険物、毒劇物などの特殊運搬や倉庫事業といった物流に関する事業を展開しています。グループ会社や関連会社では、食品販売、ギフト販売、不動産賃貸など、非常に幅広い事業を手がけています。

弊社はご相談いただいた仕事を、基本的に断りません。他社がやらないような仕事も積極的に引き受けることで、オンリーワンの事業を展開する企業を目指しています。

ーーなぜ幅広い事業を手がけているのですか?

白石政嗣:
何よりも地元である大牟田市への貢献を重視しているからです。弊社は「地域貢献企業」であることを掲げています。企業が地域に根ざし貢献することが、町の活性化につながり、ひいては日本全体の発展にもつながると思うのです。これは弊社だけでなく、全国の企業にも必要な姿勢だと考えており、今後もそのような考えを広めていきたいと思っています。

大牟田らしさを活かした観光業を展開

ーー現在注力されていることをお聞かせください。

白石政嗣:
現在、特に力を入れているのは観光事業です。大牟田市ではホテルが不足しているため、新たな宿泊施設を建設しています。その足掛かりとなる第一歩として、昨年12月には、湯布院で一棟貸しの宿泊施設「MONOMINA Vacation Villa」をオープンしました。現在は、海外観光客を中心に、多くのお客様から予約をいただいています。そして、大牟田市内には満を持して2025年7月に「MONOMINA HOTEL Stn.1」を開業予定です。今後も大牟田市を中心に、継続的にホテルを展開していきます。

ーーどのような特徴を持ったホテルなのですか?

白石政嗣:
湯布院の「MONOMINA Vacation Villa」は、温泉かけ流しがあり、3LDKで最大10名まで泊まれる、一棟貸しのホテルです。今後は大牟田にもホテルを開業する予定ですが、一流ホテルのような大きな施設はつくりません。鉄筋コンクリートの建物は管理が大変ですし、何より大牟田らしくないと思うのです。そのため、リノベーションも可能な1〜2階建ての小規模なホテルを中心につくっていく予定です。

ーー大牟田市の観光をさらに活性化するためにどのような施策を考えていますか?

白石政嗣:
地域の飲食店や文化体験と連携した施策を進めており、たとえば、私たちのホテルではあえて素泊まりのプランのみを提供しています。これは、宿泊者が地元の飲食店で食事を楽しめるようにすることで、地域経済の活性化をはかる取り組みです。

また、大牟田の料亭とタイアップし、日本料理を体験できる機会を提供するほか、刀剣の町としての魅力を活かし、試し斬りなどの体験型観光も計画しています。こうした数々の取り組みを通じて、大牟田の魅力を国内外に発信していきたいですね。

しかしながら、1つの町では限界があります。県境を越えた連携が必要不可欠ですし、環有明海沿岸地域の皆様とお互いに助け合い、発展浮揚することで大牟田も良くなると考えています。

ともに地域貢献できる人材を求め、採用を強化

ーー今後採用を強化したいのはどのような人材でしょうか?

白石政嗣:
今後は「仕事の取り合い」ではなく「人材の取り合い」の時代になると考えています。弊社ではそれに備え、2年ほど前からホームページをリニューアルしたり広告宣伝に力を入れたりして採用を強化しています。新しく始めた観光事業については、特に採用を強化していきたいですね。ホテル業界の経験がある方や、外国語が堪能な方に来ていただけるとありがたいです。また、弊社は事務所が多いので、将来的に管理職になってくださる人材も積極的に採用しています。

ーー今後の展望を教えてください。

白石政嗣:
今後も「地域貢献」を軸に、さまざまな事業に挑戦していきたいと考えています。近年、若い方々は「地域への貢献」を重視して企業を選ぶ傾向があると感じており、実際に弊社の多様な職種や事業内容に魅力を感じて、面接に来てくださる方が増えています。そうした、地域への思いが強い方々とともに、大牟田の発展に向けて取り組んでいきたいですね。これまで支えてくださった社員や関係者の皆様への感謝を忘れず、今後も地域に貢献できる企業を目指してまいります。

編集後記

取材中、白石社長は「会社を大きくしようと思ったことは一度もない」と語った。その代わりに追求してきたのは、地域に必要とされる「オンリーワン」の価値だ。規模の拡大ではなく、独自性と地域貢献にこだわり続ける経営者の確かな信念に触れることができた。

白石政嗣/1953年、長崎県南島原市生まれ。国士舘大学卒業。1976年白石自動車株式会社に入社。1999年、代表取締役社長に就任。白石ホールディングス株式会社を始めとした、グループ会社7社の代表取締役も務める。現在は、大牟田観光協会、環有明海観光連合の会長も務め、市内・環有明海の観光事業の促進や大牟田市体育協会会長、大牟田武道会会長など体育振興や市民の健康づくり、また、茶道裏千家淡交会大牟田支部支部長として地域に根付いた茶道文化の発展など地域貢献企業としての活動にも注力している。