※本ページ内の情報は2025年7月時点のものです。

2023年に設立された株式会社Algomaticは、AI技術を活用したプロダクトの開発・提供を行う企業だ。同社は「AI革命で人々を幸せにする」というミッションのもと、採用AIエージェント「リクルタAI」や営業AIエージェント「アポドリ」をはじめとする生成AIネイティブな複数プロダクトの同時展開で注目を集める存在となっている。代表取締役CEOである大野峻典氏に、会社設立の経緯や事業戦略、今後の展望などについて話をうかがった。

機械学習に触れ、AIの可能性にいち早く気づき起業

ーー株式会社Algomaticを設立した経緯を教えてください。

大野峻典:
私は大学在学中から、深層学習を用いた研究プロジェクトに従事しており、その傍らスタートアップにおいてWebアプリ開発に携わるなど、ITエンジニアとしても活動していました。その頃に機械学習に関する企業を経営する起業家と話す機会などを通して、「この技術は今後さらに伸びていく」と直感的に感じたこともあり、テクノロジー領域での起業を志すようになりました。

ITの勉強を続ける中で、世の中ではAIによる画像認識技術がますます発展し、私もAIの領域に足を踏み入れました。その後、機械学習・深層学習の研究開発を受託するAlgoageを創業しました。

ーー株式会社AlgoageはDMMグループの一員になっていますが、どのような経緯でしょうか。

大野峻典:
機械学習・深層学習に関するソリューション開発を手がける中で、DMMグループと出会いました。当初はサービスの提供を通じた取り組みを見据えていましたが、DMMグループの役員と対話を重ねるうちに、自社が保有する膨大なデータの活用を望むDMMグループと、事業の非連続的な成長可能性を探求するAlgoage双方のニーズが合致し、グループの一員となった経緯があります。

ーーその後、貴社を設立されたのはどういった理由があるのでしょうか。

大野峻典:
Algoageとして順調に成長を続けてきましたが、2022年のChatGPTの登場をきっかけに、これからの時代は「全く新しい事業」が生まれてくると感じ、悩んだ末にAlgoageの経営を自分以外の経営陣に託し、新たにAlgomaticを設立しました。生成AIに特化したこれまでにないプロダクトを連続的に生み出すことを目的に、“スタートアップスタジオ”のような存在として立ち上げたのがAlgomaticです。

「スピード感」を意識した事業戦略

ーー事業内容について教えてください。

大野峻典:
弊社はAIを活用した複数のプロダクトを提供しており、なかでも2024年11月にリリースした採用特化AIエージェント「リクルタAI」と、2025年1月にリリースした営業AIエージェント「アポドリ」を知っていただいていることが多いです。

リクルタAI」は、採用業務のサポートに特化した採用AIエージェントです。AIエージェントとは、人間の代わりにタスクを実行してくれるAIベースのソフトウェアを指し、複数のツールやアプリケーションを自律的に使いこなしながら人間と協働し、安定的に成果を提供します。「リクルタAI」では、求人募集から面接サポートまで、採用に関わるプロセスをAIエージェントが支援することで、候補者体験の向上と採用担当者の生産性向上を実現し、企業の人事部門をAIエージェントと採用担当者が協働する“ネオ人事部”へとアップデートすることを後押ししています。

アポドリ」は、営業パーソンがアポイント獲得にまつわる活動に取り組む代わりに、営業AIエージェントが各企業専属のインサイドセールス担当として、リスト作成・アプローチ実行・活動管理・活動分析を遂行し、顧客企業のキーパーソンとの商談を獲得・提供するサービスです。企業が売上を拡大するには、これまで営業パーソンの人数を増やすしか方法がなかったのに対し、「アポドリ」を導入することで、営業パーソンの採用数や頑張りに依存せず、売上拡大に取り組むことが可能となっています。

これらのほか、独自の翻訳AIを活用したゲーム特化翻訳サービス「DMM GAME翻訳」や、音声会話型のおしゃべりAIプラットフォーム「にじチャット」なども好評です。これまで人が時間をかけて行っていたタスクを代行できるなど「人間がやりたいけれど、何らかの理由で実現が難しかったもの」をAI技術を用いて解決しています。他にも、企業のニーズに応じてAIを活用したソリューションを提供するサービスも手がけています。

ーー貴社の強みはどんなところでしょうか。

大野峻典:
スピード感です。一般的な企業では、何かを始める際には計画を立てて、予算を決めて、承認を取ってという流れがあり、どうしても実際の開発を始めるまでのフェーズで時間が必要です。一方弊社では、カンパニー制のもとメンバーひとり一人に大きな裁量が与えられているため、お客様のニーズを把握してから早ければ1週間、遅くても1ヶ月ほどで新規プロダクトの提供が可能になることが多いです。

特にAIの領域では「世の中にまだないものを生み出した」という点が優位性のひとつになります。そのため日進月歩のAI技術を活用している弊社は、こうしたスピード感を日頃から重要視しています。メンバーにとっても、1年に何回もチャレンジできる機会があるという点はやりがいと成長につながるものです。加えて、これまでの各種プロダクト開発で蓄積してきた知見がありますので、基本的な設計の考え方などは全社で共有し、新たな領域や業務においても効率よく取り組める環境も整えています。

可能性が広がり続ける領域で目指す未来

ーー今後の事業展開についてお聞かせください。

大野峻典:
Algomaticでは、引き続き「AIエージェント」をキーワードに、新規事業を含む複数プロダクトの開発に取り組んでいきます。創業当初から営業領域や人事領域のAIエージェント開発に注力してきましたが、今後はその職能や対応できる範囲をさらに広げることで、より多くのニーズに応えられるプロダクトを開発・提供し、世の中に新たな価値を届けていきたいと考えています。そして、人と人が協働するように「AIが人のとなりで自然と働いている」世界観の実現を目指し、日々スピード感を持ってともに挑戦を続けられる仲間を求めています。

特にゼロイチのフェーズが好きで、まだ誰も見たことがない生成AIネイティブなプロダクトを生み出していきたいという方にとって、Algomaticはとても面白い環境だと思います。このタイミングで仲間になってくださる方は、近い将来Algomaticが1,000億円企業、1兆円企業へと成長した際のコアメンバーとなる存在でもあります。

「AI革命で人々を幸せにする」というミッションに共感するメンバーで新たなプロダクトをつくり、未知の領域で共に挑戦を続けていきたいと思っています。

編集後記

近年注目されているAI技術。文字・画像・音声など対応できる領域・生成できるサービスの幅は年々広がっている。大野社長の積極的に新規プロジェクトに取り組み続ける姿勢は、AI技術の特性ともマッチしており今後さらに拡大していく将来性を感じられた。AI技術が発展し、クライアントニーズも多様化する今、同社の存在感はこれからますます大きくなっていくことだろう。

大野峻典/1993年生まれ。東京大学工学部卒。在学時より深層学習を用いた研究プロジェクトに従事。Indeedにて新規事業のソフトウェア開発・プロダクトマネジメント、機械学習基盤の開発を行う。2018年、機械学習・深層学習を用いたソリューション開発を行う株式会社Algoageを創業。2020年、DMMグループへM&Aによりジョイン。2023年、Algoageの代表取締役を退任。大規模言語モデルなど生成AI技術を活用した、複数プロダクトの開発・提供を行う株式会社Algomaticを新たに創業し、現在に至る。