
働き方の多様化が進み、フリーランスという選択肢も広がっている現代。大手コンサルティングファームでの経験を経て「すべての人に自由な働き方を提供したい」という思いから株式会社WorkXを設立し、ハイクラスフリーランスと企業のマッチングプラットフォームを運営している、代表取締役の東野智晴氏。同社は、プロフェッショナル人材に新たな働き方を提案する事業を展開し、急成長を遂げている。今回は、事業を通じて目指す「働くを変える」という壮大なビジョン、そして人材育成に対する考えについて話をうかがった。
大手企業からのニーズが増え、急成長を遂げた理由
ーー貴社の事業内容と特徴について教えてください。
東野智晴:
弊社では、高いスキルを持つフリーランスのコンサルタントやIT人材と企業をマッチングさせるプラットフォーム「ProConnect(プロコネクト)」と、社員であるコンサルタントがチームでクライアントの課題解決に伴走する「AI/DXコンサルティング」の2つの事業を軸にしています。
特徴として、他社と比べ、コスト面では大きな差がない一方、案件に対応するフリーランスの方のアウトプットが優れていることが挙げられます。また、優秀な方が多く登録されているため、リソース不足の際に運営会社のメンバーで補うということがありません。常に経験豊富な方を配置できている点も、選ばれる理由だと感じています。
ーー優秀なプロフェッショナル人材はどのようにして集めているのですか。
東野智晴:
フリーランスの方の登録については、主にデジタルマーケティングを通じて募っています。最近ではサービスの認知度も高まり、私の知人が弊社運営のサービスだと知らずに登録するといったケースも出てきています。また、既に登録している方からの紹介なども増えており、満足度は8〜9割という高い水準で推移しています。

ーー社内教育や人材育成について、どのようなことを重視していますか。
東野智晴:
社内教育は、職場内で実践的な業務を通じて知識やスキルを習得するOJTが中心です。ビジネスも仕事もスポーツと一緒で、結局は練習した量が結果につながると考えています。
ですので、基礎的なアプローチを学んだ後は、ひたすら反復練習に入ります。ここは量をこなさないと上達しません。加えて、自分だけでは気づきにくい部分は、上司がフィードバックして軌道修正することも重要です。そのためにマネージャー比率をかなり高くしています。
また、単なるローテーションではなく、抜擢人事も行っています。評価するのは個人の適性や成績といった結果だけではなく、そこに至るプロセスも重要な判断基準です。より大きな役割を任せることで活躍するだろうと判断したら、積極的に新しいポジションにチャレンジしてもらっています。たとえ失敗しても、またチャレンジすれば良いと考えています。
仕事で最も大切にする「結果」へのこだわり
ーー仕事を進める上で最も大切にされていることは何ですか。
東野智晴:
仕事において重要なのは結果です。どんな仕事でも、「任された以上はきっちりと期待値以上の結果を出す」ということを意識しています。「結果は出ていないが、過程が大事だ」と言うのは、甘えに過ぎません。結果が出ていて、そのためにどのような過程を踏んだかが重要だと考えています。
社員の成果を見る際は、やるべきことを着実に実行し、それが適切なKPIに繋がっているかどうかを見ています。しかし、自分たちではどうにもできない出来事が起こり、結果を出すことができなかったという場合もあると思います。そういった場合も正しく判断できるようにするために、結果だけではなく、過程も見るように心掛けています。
「高い視座」と「素直さ」が圧倒的な成長を可能にする

ーービジネスパーソンが成長するために必要な考え方や行動は何だとお考えですか。
東野智晴:
視座を高く持つことが大切だと考えています。個人の視点だけではなく、チーム、お客様といった多角的な視座を持つほど、自分の行動を客観的に見られるようになります。それが成長に繋がり、ひいては組織としてより良い判断が可能になるのです。
しかし、見たことのない景色を思い浮かべることは難しいので、まずは経験を積むこと。また、フィードバックを素直に受け入れることも重要です。フィードバックというのは、本質的なものは耳が痛いものばかりですが「良薬は口に苦し」というように、厳しい指摘の数が成長につながると思っています。
目指すは「働くを変える」人材輩出企業
ーー5年後、10年後にどのような会社になっていたいか、今後の展望を教えてください。
東野智晴:
弊社は、社会変革のムーブメントを起こし、「働くを変える」会社になりたいと考えています。「WorkXがあることで、社会の生産性向上に貢献できた」と言われるようになりたいです。
そして、経営人材を輩出する企業になりたいとも考えています。0から1の新しいものを生み出す人たちや、1から10、100と大きく伸ばせるような人材、どちらも弊社から輩出していきたいです。いずれ「WorkX出身なんだ」と言ったら「あのWorkX出身なんだ」と言われるような会社になることを目指しています。
編集後記
東野社長の言葉からは、穏やかながらも目標達成への強い意志と、社会を変革しようとする情熱がひしひしと伝わってきた。特に「結果がすべて」という厳しさの中にも、社員の成長を信じ「経営人材を輩出したい」と語る姿は印象的である。大手コンサルティングファームという安定した肩書きを手放し、ゼロから事業を立ち上げた経験に裏打ちされた言葉には、並々ならぬ覚悟と本気が感じられた。同社が掲げる「働くを変える」という壮大なビジョン、そしてそれを実現するための熱狂的な取り組みに、今後も注目していきたい。

東野智晴/1984年静岡県生まれ。慶應義塾大学大学院卒業後、2009年東京海上日動に入社。ベイカレント・コンサルティングを経て、働き方への課題感から2018年に株式会社WorkXを設立。