※本ページ内の情報は2026年4月時点のものです。

1997年の設立以来、イギリスの代表的な家電ブランド「Russell Hobbs(ラッセルホブス)」の日本総販売代理店として、また自社ブランド「Cores(コレス)」の展開を通じて、豊かな暮らしを提案してきた株式会社大石アンドアソシエイツ。代表取締役の大石洋介氏は、異業種から家業に飛び込み、周囲の支えを受けながら現場で経験を積み重ねてきた。徹底した顧客視点とアップデートの早さを武器に市場を開拓し続ける同社。現在、大石氏が注力しているのは、社員の魅力を最大限に引き出す組織づくりだ。AI時代における人とのつながりや、これからの展望について、その熱い思いをうかがった。

右も左も分からない中でのスタート 支えてくれたのは「人との縁」

ーーまずは、貴社に入社された経緯を教えてください。

大石洋介:
もともと私は、携帯電話のアンテナを設置する会社への就職が決まっていました。そんな折、父と共に事業を立ち上げた私の中学校の先輩から、「ものを売る人間がいなくて困っている。少しでいいから手伝ってくれ」と頼まれたのが、すべての始まりです。当初は半年程度で辞めるつもりだったのですが、気づけばそのまま本格的に入社し、現在に至ります。

ーー入社当時はどのような状況だったのでしょうか。

大石洋介:
本当に右も左も分からない手探りの状態でした。電気ケトルを店舗に持ち込んで一週間飛び込み営業を続けても、一個も買ってもらえないような厳しい日々が続いたのです。そんな時に私を助けてくださったのが、他社のメーカーの方々でした。規模の小さい私たちに対し、本来であれば他言しないような有益な情報を共有してくださったり、さまざまな相談に乗ってくださったりしたのです。当時手を差し伸べてくださった方々には今でも足を向けて寝られません。このときの原体験があるからこそ、私は人とのご縁や出会いを何よりも大切にしています。

ーーその「縁」への思いは、現在の経営にもつながっているのですか。

大石洋介:
これからの時代、AIがさらに進化し、極端な話「家が空中に浮く」ようなことすら当たり前になるかもしれません。しかし、スイッチを押したり、人の心を根底から動かしたりするのは、結局のところ「人」です。だからこそ、社員には人間味あふれる、魅力的な人間になってほしいと強く願っています。

ワンフロアで完結する「圧倒的なアップデートの早さ」と開発力

ーー貴社の独自の強みはどこにあるとお考えですか。

大石洋介:
最大の強みは、アップデートの早さです。弊社は20名ほどの少数精鋭組織ですが、ワンフロアにカスタマーサポート、修理、品質管理、商品開発といったすべての機能が集約されています。何か問題や改善点が見つかれば、すぐその場で担当者が集まって議論し、その日のうちに中国の提携工場へ指示を飛ばして調整を行うようにしています。家電を扱うメーカーにおいて、これほどスピーディーに対応できる体制を持っている会社は少ないと自負しています。

ーー日本市場に寄り添った独自の発想も活かされているのでしょうか。

大石洋介:
たとえば、昨今人気のエアフライヤーですが、海外では健康志向が強いため「油を落とすこと」が最重視され、形状も丸型が主流でした。しかし、私たちは日本の住環境における「収納」の課題を考慮し、キッチンに出しっぱなしにしても邪魔にならず、日常的に愛用していただくため、あえて「横に広げた長方形」ではなく、正面幅を抑えて奥行きを持たせた「縦長」の設計にしたのです。そうすることで、設置面積を抑えつつも、ホッケなどの大きめの魚や、トウモロコシ、焼き芋なども切らずに丸ごと焼けるようになりました。どんなお客様が、どんな風に日常で使ってくださるのかを想像しながら、デザイン性と実用性を高い次元で兼ね備えた商品をつくることにこだわっています。

社員が「欲しい」と思える商品づくりと「思いの共有」

ーー代表取締役に就任されてから、どのような組織改革に着手されたのでしょうか。

大石洋介:
社員それぞれが異なる業務を担当しているため、横のつながりやコミュニケーションを活性化させる仕組みづくりに着手しました。今後は会社負担でのランチミーティングの実施を予定しており、普段は接点の少ない部署のメンバー同士が交流する時間を設けていきたいと考えています。また、組織全体での「思いの共有」も重視し、全社員を対象にした新商品の試食・体験会を始めました。どんなに優れた商品であっても、まず自分たちが「楽しい」「売れそう」と実感できなければ、お客様にその本当の魅力は伝わらないと考えています。

ーーその試食・体験会の社内での反応はいかがでしたか。

大石洋介:
社員みんなが「この商品でこんなことができるんだ!」と素直に感動してくれて、「自分も欲しい」と言ってくれました。自社の商品を社員自身が心から欲しがってくれるというのは、経営者として最高のご褒美です。私たちは「今よりちょっとハッピーに、今よりちょっと快適になる」という理念を掲げていますが、この思いを社員と深く共有できたことが、商品の爆発的なヒットにもつながっているのだと思います。

自律したリーダーを育て 各家庭に愛される存在へ

ーー今後の展望をお聞かせください。

大石洋介:
第一に掲げているのは、次世代のリーダーを育てる組織づくりです。社員一人ひとりが自律的に考え、主体的に判断できる環境を整えることで、会社は間違いなく次のステージへ進めると確信しています。

現在、私がリーダーに伝えているのは「私の方を見るのではなく、私と近い目線で社員とお客様の方を向いてほしい」ということです。個々が自律し、同じ熱量で未来を見据える組織へと進化させることで、3年後、5年後には今とは全く違う景色が見えると確信しています。結果が出るまでの過程を、私自身も楽しみで仕方がありません。

ーーブランドとしての今後の目標はいかがですか。

大石洋介:
これまでは「Russell Hobbs」などの商品ブランド名が先行していましたが、社員からの「自分たちの会社名をもっと世の中に知ってもらいたい」という声もあり、今後は「大石アンドアソシエイツ」というコーポレートブランドの認知も積極的に広げていきたいと考えています。

私たちが扱う商品は、極端に言えば「なくても生きていけるもの」かもしれません。しかし、それを使うことでお客様の日常が間違いなくハッピーになる。人が集まったときに「それいいね」と自然に会話が生まれる。そんな風に、各ご家庭で長く愛され続ける存在でありたいですね。

編集後記

テクノロジーが急速に進化する現代において、「最後は人」と語る大石氏の言葉には確かな温もりと説得力があった。右も左も分からない時代に周囲の縁に助けられた原体験が、お客様や社員への深い愛情へとつながっているのだろう。ワンフロアで完結するスピーディーな開発体制と、社員が「自社商品を欲しがる」ほどの情熱。この両輪がある限り、同社はこれからも日本の食卓に「ハッピー」を届け続けてくれるに違いない。

大石洋介/1975年東京都出身。2000年に株式会社大石アンドアソシエイツに入社。営業本部長、取締役副社長を経て、2024年に同社代表取締役に就任。