ー創業の経緯ー
【聞き手】
会社を辞めて新しく立ち上げた会社が、その時は全体としてはうまくいかなかったというところで、ただ五十嵐社長がやっていらっしゃった事業に関しては、実はある程度黒字化していた。
【五十嵐】
私自身が前職でネット企業の役員をやっていた時に、やはりネットメディアだけだと赤字が先行するという状態ではあったんですけれども、いわゆる会員登録をしていただいて得た「データ」ですね。データをマーケティングに活用できないかということで、今だとビックデータみたいな言い方をしますけど、そういうものをBtoB用に何か開発していけないかということで新規事業のネットワークを探していました。その時に出てきた分野がクロス・マーケティング自体の創業時のビジネスになっていますが、いわゆるネットリサーチといわれる分野です。そちらについては会員基盤をネット上で既に持っていましたので、早期に収益化が可能だったということがありまして、自分達も新規事業をやってみて比較的速やかに立ち上がったということがございました。
【聞き手】
その会社では唯一黒字化しているその事業で、また立て直して、広げて大きくしていこうという考えはなかったのですか?
【五十嵐】
やはりタイミングの議論がありまして、一番のメイン舞台というのは、当然ネットメディアの事業になりますので、ネットメディアでの収益とその赤字をどうするかということで、一番の経営課題になっていくわけです。ひとつは新規事業が黒字化したとはいえ、それでは赤字が埋まらないということと、当然、新規事業の事業領域においてもやはり競合企業がいらっしゃって、そこに勝つために投資をしなくてはいけないんですね。
その時、投資の優先順位をどうしても下げられないこともあって、私が独立するきっかけにもなったんですが、では会社の方できっちり収支を分けて投資できるよう環境をつくってもらえるか、もしくは自分が出てやりますというような選択を当時のオーナーさんの方にお願いをしたんですね。そうすると、やはり収益事業を支える事業としての扱いをしたいということでしたので、私自身その段階で辞めて自分たちでやろうと、良い面で飛び出したというところだと思います。
【聞き手】
その事業を持って、更に自分の力で大きくする、それをメインの事業とした会社をつくろうと。それで、満を持して2003年にご創業された。
【五十嵐】
2003年に兄の会社から自分の事業の切り出しをしました。なぜ切り出したのかという話もありますけれども、当然、私自身もベンチャーキャピタル時代から親族問題で会社というのは兄弟では難しいというのは分かっていたので、その中できっちり分けていきましょうということで、分社独立させまして、それでクロス・マーケティングとして始めました。
【聞き手】
ちなみにクロス・マーケティングという社名は、これは社長がお考えになったんですか?
【五十嵐】
そうですね。創業期にもう一人役員がいまして、その2人で考えました。どういう想いで会社をつくりたかったかということなんですが、元々やりたかったことというのは、いわゆる事業をつくっていく会社をつくりたかったんですね。
私自身、ベンチャーキャピタルにいたということもありまして、あまりこの事業をやりたいというよりは、色々な事業を手掛けてみたいという想いがありました。その時に、じゃあどういう社名にしていこうかと、なるべく抽象的かつ色々なことができる社名にしたいというのが大前提にありました。その中で、では新しいものをつくっていくプロセスを表現するとどうなるのかということで、つけた名前が「クロス・マーケティング」という名前です。
その中に含まれている想いとしては、当然クロスという部分に関しましては、やはり色々な新規事業といいますのは、アイディアの組み合わせだったり、もしくは、色々な人達が集まることによって新しいものって生まれてくると思うんですね。そういうプロセスを表現しているのがクロスということと、マーケティングというのは、なぜマーケティングするのかということなのですが、新しいものを生み出すためです。そういうことも含めてクロス・マーケティングという中で、事業をつくっていく会社をつくっていこうと、クロス・マーケティングを社名にしました。
後は当然、会社として事業領域のある程度幅を決めないといけないということで、お客さんに対しても分かりやすい領域としてマーケティング領域をしていますのでマーケティングということですね。
【聞き手】
実際にその当時、いわゆる競合となるようなマーケティングをやっていらっしゃる会社もいくつかあったということですが、確かにその中でも御社の場合、自社でマーケティングデータを抱えるのではなくて、いわゆるデータを持っていらっしゃる会社さんと提携をしたり、共同で何かをすることによってお互いにクロスするといいますか、そういったところで伸びていかれたという面もありますよね。
【五十嵐】
元々は置かれていた環境といいますのが、私達が会社をつくった段階で、逆に言うと、今最大手の会社が上場したというタイミングでもありました。資本金でいくと100倍以上違うんですね。その中で競合企業に追いつくためにはどうするかという中で考えた戦略が、自分達が投資すべきものとそうでないものをはっきり分けることでした。
私達の戦略というのは提携戦略です。ですので、転職の段階でもネットビジネスを失敗していますので、やはり大規模にメディア投資をしていくというよりは、既に会員データベースを持たれている会社さんとタイアップすることによって、明日から売れる状態をつくろうということですね。
従って私達がまずやったのは、ネットメディアの提携ということで、当時はMyIDという社名だったVOYAGE GROUPという会社とまず事業提携を結ばせていただいて、いわゆるネットのデータベースをいつでも売れる様な状態をつくった上で、私達は営業の方に特化して立ち上げたというのがスタートです。
経営者プロフィール
氏名 | 五十嵐 幹 |
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役職 | 代表取締役社長兼CEO |
生年月日 | 1973年5月10日 |
出身地 | 東京都 |
座右の銘 | 一生懸命 |
愛読書 | ピーター・ドラッカー |
尊敬する人物 | 松下幸之助、稲盛和夫 |
会社概要
社名 | 株式会社クロス・マーケティンググループ |
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本社所在地 | 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー24F |
設立 | 2013 |
業種分類 | 情報通信業 |
代表者名 |
五十嵐 幹
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従業員数 | 1530名(内、臨時従業員数261名)※2023年6月末時点(2021年6月末時点) |
WEBサイト | https://www.cm-group.co.jp/ |
事業概要 | デジタルマーケティング事業、データマーケティング事業及びインサイト事業を行う子会社等の経営管理及びそれに付帯または関連する事業 |