―『じゃらんnet』立ち上げの裏にあった悩み―
【ナレーター】
リクルート入社後、『じゃらんnet』という宿泊施設のオンライン予約サービスの立ち上げに参画。インターネットの普及とともにサービスの知名度は高まったが、加藤はあるジレンマに悩まされていたという。
【加藤】
今まで旅行は、写真やパンフレットなどで見て、実際行ってみると「イメージと違った」とか、「改装されていたのは玄関だけだった」など、がっかりするようなことが多かったんですね。それがインターネットになったタイミングで、我々は口コミという、消費者の感想、実際行った方の感想というものをネットに掲載し始めました。それによって、期待と現実のギャップを大きく縮めることができました。それは消費者にとっては非常に価値があることでした。一方、広告事業でお金を出していただいているクライアントに対する不満の内容、悪口がネットに載って広報されてしまうということに対しては、現場の営業やお客様からの強い反発がありました。
本来仲間であるはずの社内の同僚から、「ネットでこの内容を載せたせいで、今度は本の広告掲載の年間取引が落ちました」というようなことを言われると、結構営業担当の査定や成績にもダイレクトに響く内容ですので、辛いなという気持ちはありましたね。仕方がないのですが。本の方は広告でお金を取っていて、ネットの方は1予約あたり何パーセントという成約課金、この2つの両立し得ないビジネスモデルでしたので。こちらを今やめてしまうには、まだこちらの事業が育っていない。こちらを育てていかなければならないから、口コミ掲載みたいなものにも舵を切るという、短期利益を重視しながら、中長期のビジネスをつくるという、やや矛盾したことをやらなくてはならないので、その間で一番ハレーションが起こりました。
せっかくインターネットという、消費者や企業、事業者がフェアにつながるメディアができたのに、それをごまかしというか、その特性を使わないのはとてももったいないと思いました。また、インターネットというメディアは、オープンさとかフェアさとか、透明性とか、「なんでもあり」なところにこそすごいパワーがあります。それこそが最終的には消費者の力になるし、消費者に価値を提供できているということは、必ず会社の利益にも戻ってくることだという意識は強くありました。自分がどんなに間接部門に従事していても、「自分の給料の出どころを意識しろ」というようなことはよく言われたので、最終的に誰がお金を払ってくれるんだ、その人が何に価値を感じるのだというところが、一番のベースのところですかね。
経営者プロフィール
氏名 | 加藤 史子 |
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役職 | 代表取締役CEO |
会社概要
社名 | WAmazing株式会社 |
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本社所在地 | 東京都台東区三筋1-17-12 長沼ビル201 |
設立 | 2016 |
業種分類 | 情報通信業 |
代表者名 |
加藤 史子
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WEBサイト | https://corp.wamazing.com/ |
事業概要 | インバウンドプラットフォーム事業(訪日外国人旅行者の日本旅行中に使う 「スマホ向けアプリサービス」を提供) |