【ナレーター】
「Flax Scanner」を始め、人工知能音声認識エンジン「Rossa Voice」や自然言語処理エンジン「Aurora Clipper」などのAIプロダクトを開発・提供し、デジタルトランスフォーメーションを推進しているシナモン。
その加速化のキーワードとして平野が挙げたのが「非構造データ」だ。
【平野】
非構造データというのは、例えばメールとか画像とか音声とか、パワーポイントやワードのファイル、そういうデータのことですね。
非構造データから、何かしら意味ある情報を抽出しようとすると、人間が行わなければいけなくて、ものすごく時間がかかるわけですよね。
本当にデジタルトランスフォーメーションを進めていこうとすると、この非構造データというところに鍵があると私たちは思っているので、非構造データを理解していかないといけない。
私たちはそのために、3つのリサーチピラーがあるんですけれども、一つが「デジタイズ」と言って、紙やミーティングの音声などをデジタル化する領域。
2つ目が「構造化」と私たちは呼んでいるんですけれども、自然言語からの情報抽出、大量に自然言語群があった時に、法人名だけ抽出してくるとか期限だけ抽出してくるとか、そういった情報抽出。
最後が、私たちが「理解」と呼んでいるところです。これの定義というのは、アクショナブルなインサイトを人に提供するというところなんですね。
例えば金融機関はたくさん取引がありますけれども、この取引は不正の取引だと検知する、「あなたは今こういうふうにこうした方がいいですよ」という意味でレコメンデーションするとか、そういうのが最後の「理解する」というところになります。
この3つのリサーチピラーの中で、それぞれの要素・技術というのをたくさんつくってきているので、それらを組み合わせて、ビジネスインパクトがあるようにソリューションをお客様にご提供できるような、そういったプラットフォームをつくっています。
【ナレーター】
自社のサービスを通じて、シナモンが実現したい世界とは。
【平野】
私は「ナレッジアンマネジメント」というのが来ると思っています。思っているといいますか、そうあるべきだと思っていて、これはシステムが人に合わせるというやり方なんですね。
例えば弊社だと「Slack」というツールを使っていますけれども、メンバーがとあるプロジェクトについて、「これどうなっているの?」など話をしていた。そのようなことがよくあるわけですよね。これってナレッジアンマネジメントだと思うんですよ。
彼らからすると、そのときの情報というのは私に対して何か共有をしようと思ってやり取りをしていたわけではないですよね。
そもそも彼らの中で普通にコミュニケーションとして行なっていただけで、それが実はナレッジになっていたというのが起きていたことだと思うんですよ。
これは単純にSlackの中だけで起きていることですけれども、全ての情報が一気通貫したとすると、全然違う世の中になっていくなと思っていて。
そんなナレッジアンマネジメントな働き方というのを弊社ではつくっていきたいと思っています。
【ナレーター】
AIはコスト削減だけでなく、考え方や使い方次第で役割は大きく変わると、自社で経験した事例を引き合いに平野は語る。
【平野】
例えば弊社のお客様で、アニメーションの制作会社があるんですね。アニメはセル画という、線でキャラクターなどを描いて、その後に1枚1枚塗っていくという作業があって、弊社ではそこの着色するAIというのを一緒につくらせていただいたんです。
これを単純なコスト削減として見ると、50人のアニメーターがその会社にいらっしゃったとすると25人に削減できますみたいな、それぐらいのインパクトしかないわけですね。
私たちのつくったシステムでは、着色されていないセル画をアップロードすると1秒以内に塗られますので圧倒的に早いわけです。
それができることでのポテンシャルを試算したんですが、利益ベースで見た時に数十億円後半くらいのポテンシャルがあることが分かりました。
これって先程の25人の削減と全く規模が違うわけですよね。これがAIを競争戦略として使うということだと思うんです。
こういった事例をいくつかの産業でつくっていくことで業界が変わっていくと思うので、注力して取り組んでいきたいと思っていますね。
【ナレーター】
平野が人材に求める、3つの要素とは。
【平野】
グリット、イノベーティブ、チームワークですね。
グリットというのは、絶対に諦めず、かつ夢を大きく持ってやっていくということを指します。そして、私たちは新しいことをやっているのでイノベーティブということ。
また、1人でできることは限られているし、私の好きな言葉、アフリカの諺で「早く行くのであれば1人で行きなさい。遠くまで行くのであればみんなで行きなさい。」という諺があるんですけれども、まさにそれですよね。
何か大きいことを成し遂げるためには絶対1人ではできないのでチームワークで頑張れる人。この3つというのが、特に私たちが働きたいと思っている人物像ですね。
-視聴者へのメッセージ-
【平野】
今AIといいますと、残念ながら単純なコスト削減としか思っていない方々が非常に多いと思います。私たちはこれを変えていきたい。
AIを単なるコスト削減ではなく、競争戦略として使っていく。こういった考えを皆様に広めていきたいと思っています。
さらにこれができてくると、各産業、各業界というのが圧倒的に変わってくる。そういった世界をつくっていけると思っているので、そのようなAIづくりを一緒にしていきたいと思っています。
もしご興味がある方はぜひお声掛けください。よろしくお願いいたします。
経営者プロフィール
氏名 | 平野 未来 |
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役職 | 代表取締役Co-CEO |
生年月日 | 1984年1月23日 |
出身地 | 東京都 |
座右の銘 | 夢をアップデート |
愛読書 | 創刊男の仕事術 |
2005年、2006年にはIPA未踏ソフトウェア創造事業に2度採択された。在学中にネイキッドテクノロジーを創業。IOS/ANDROID/ガラケーでアプリを開発できるミドルウェアを開発・運営。2011年に同社をミクシィに売却。
ST.GALLEN SYMPOSIUM LEADERS OF TOMORROW、FORBES JAPAN「起業家ランキング2020」BEST10、ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019 イノベーティブ起業家賞、VEUVE CLICQUOT BUSINESS WOMAN AWARD 2019 NEW GENERATION AWARDなど、国内外の様々な賞を受賞。
また、AWS SUMMIT 2019 基調講演、ミルケン・インスティテュートジャパン・シンポジウム、第45回日本・ASEAN経営者会議、ブルームバーグTHE YEAR AHEAD サミット2019などへ登壇。
2020年より内閣官房IT戦略室本部員および内閣府税制調査会特別委員に就任。プライベートでは2児の母。
会社概要
社名 | 株式会社シナモン |
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本社所在地 | 東京都港区虎ノ門3-19-13 スピリットビル6階 |
設立 | 2016 |
業種分類 | 情報通信業 |
代表者名 |
平野 未来
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従業員数 | 200 名 |
WEBサイト | https://cinnamon.ai/ |
事業概要 | AIコンサルティング、AIプロダクト事業。成長戦略としてAIを活用することで顧客のDXを推進しています。 |