【ナレーター】
その後、業績は順調に回復し、危機を乗り越えることに成功した加藤製作所は、2016年にミニショベルや大型クローラークレーンを手掛けていたIHI建機株式会社を子会社化。
2018年1月に吸収合併を発表し、これが、加藤製作所が飛躍するターニングポイントになったと加藤は言う。
【加藤】
始めから予定していたわけではなかったのですが、実現したことによってラインナップが本当にパズルのピースを合わせたようにピタッと合いました。
こんな相手はなかなかいません。当社の製品とラインナップが全然被っておらず、非常に近い事業をやっている。
もっと言いますと人員の構成もずれていて、当社にはいない年齢層の人たちがIHI建機にはたくさんいました。所々でカチッと組み合わさったということがあって、非常にいい感触で合併ができたなと思っています。
【ナレーター】
合併後はチームワークを強化することが重要と考えていた加藤。その中で、加藤が既存社員に伝えたあることとは。
【加藤】
合併したからには上も下もないよと。だから、どちらかというと元々いる人間が優しく接してくれということを社員にしっかりと言いました。
大体の人たちが迎え入れるという形でやってくれたのではないかと思いますし、来た人たちにも遠慮しなくていいからどんどんやってくださいというように勧めてきたつもりです。その導入部分はちゃんとできたのではないかと思います。
【ナレーター】
加藤製作所では、社会貢献、地域貢献活動の一環として、プロバスケットボールチーム「東京エクセレンス」をオーナーとして運営を務める他、小中学生向けのチアリーディング教室やバスケットボール教室を開き、青少年育成にも注力している。
【加藤】
やはり2つの育ちの違う会社が一緒になるというのは、なかなか難しい問題が多いものですから、一緒に何かを応援したり、一緒に何かをしたりするというのは意気投合するきっかけになりますね。
その中でも自分たちのバスケットボールチームを応援するというのは、非常に効果的なのではないかと思いました。
地域貢献という意味では、バスケットボール教室やチアリーダーの教室などをやっています。地域の子どもたちが本当に笑顔で取り組んでくれるのは非常にいいことだと思います。
【ナレーター】
加藤製作所の強みについて、加藤は次のように語る。
【加藤】
大きな製品なので、少しでも事故が起こると死亡事故につながることがあるわけですね。
道を走っていても、ブレーキが効かなかったり、何かトラブルがあったりすれば、車にぶつかってしまうことがありえます。車が一瞬で潰れてしまうような何十トンという重さの重機が走っているわけですから、やはり安全性を二重三重にかけてつくりあげています。
そこはどちらかというとオーバースペックなのかもしれませんが力を入れています。そういった機械が世の中で貢献しているということが、我々の一番の強みではないかなと思います。
【ナレーター】
求める人材像について、自身で思考し提案ができる人材を挙げた加藤。その真意とは。
【加藤】
言ったことしかやれないということばかりだと、なかなか次につながらないし、提案してくれないとやはりこちらも気が付かないことや、新しいものについていけなくなることがどうしても出てきます。
若い人たちに、そういうところを担ってもらいたいという想いがあるので、一緒になってやっていこう、自分が会社を良くするんだと考えているような人たちと仕事がしたいなと思っています。
【ナレーター】
社風について「自由闊達」だと語る加藤が推し進めている人材マネジメントとは。
【加藤】
なるべくチャンスを与えるというか、本当にチャレンジしてもらいたいと思っているので、多少の失敗は目をつぶります。
時には、なんだこれはというものができてくることもあるのですが、それも一つの糧なのではないかなと思うので、失敗したら責めるのではなくて、今度は頑張れよということで頑張ってもらえればいいかなと。
【ナレーター】
加藤が語る、加藤製作所の今後の展望と、自身の使命とは。
【加藤】
これまで最も売り上げが大きかったのは先代が上げた1,080億円です。いいところまで来てはいるんですがまだ超えられていなくて、近い将来、そこをまず超えたいというのはもちろんあります。
あとは、他の機械でまだトップシェアになれるであろうというものがあるので、それらを伸ばしていって、トップシェアにしていきたいなと思っています。
そして、会社のベースになるもの、ここがまだ揺らいでいるというか、しっかりしていません。合併して、一本化というのをまだ完全にしたわけではないので、こういったところもきれいに融合させていくというのが私の使命かなと。
建設機械というもの自体はおそらくなくならないと思いますし、当社の優秀な製品による社会への貢献という基本理念にもあります。
どんな形であれ、もし形が変わってもその理念を達成できるような、そういう企業であってほしいと思うので、今、私ができる範囲でベースになるものをなんとかつくり上げたいと思いますね。
【ナレーター】
“Progress To The Next Stage”
このスローガンのもと「優秀な製品による社会への貢献」を継続させるべく、加藤製作所の挑戦は続く。
経営者プロフィール
氏名 | 加藤 公康 |
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役職 | 代表取締役社長 |
生年月日 | 1968年8月25日 |
出身地 | 東京都 |
座右の銘 | 次なるステージに進化する |
愛読書 | 経済雑誌全般 |
尊敬する人物 | 父(先代) |
1993年7月 監査役室長
1996年8月 技術本部長
1997年6月 取締役技術本部長・資材本部長
2001年6月 取締役・常務執行役員経営企画担当
2004年6月 代表取締役社長
会社概要
社名 | 株式会社 加藤製作所 |
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本社所在地 | 東京都 品川区東大井 1-9-37 |
設立 | 1935 |
業種分類 | 機械器具製造業 |
代表者名 |
加藤 公康
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従業員数 | 767名(連結990名)2024年3月31日現在 |
WEBサイト | http://www.kato-works.co.jp/ |
事業概要 | 建設用クレーン、油圧ショベル等及びその他の製品の製造ならびに販売 |