株式会社ヨロズ 9カ国21拠点を構え、世界中の主要自動車メーカーに部品を提供しているプライム上場企業 株式会社ヨロズ 代表取締役社長 平中 勉  (2024年11月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】
自動車用サスペンション部品の専門メーカーとして、国内外の主要自動車メーカーに部品を提供している、株式会社ヨロズ。

研究開発から設計、生産までの全工程を自社で完結させる独自のトータルプロダクションシステムを基盤に、日本国内だけでなく海外9カ国21拠点を構え、世界中に製品を供給している。

昨年には、新たな中期経営計画を開始した。新製品・新工法を軸とした製品領域のさらなる拡大を図っている。また、2040年のカーボンニュートラル達成までのプロセスにおいてCO2排出量の削減目標を引き上げるなど、企業価値の向上にも努め、全てのステークホルダーから「選ばれる会社」になるべく、挑戦を続けている。

世界に通用する技術力と供給力を武器に躍動する企業をけん引する、経営者の信念と思いに迫る。

【ナレーター】
自社の強みについて、研究開発から生産供給までの全工程に対応するノウハウの蓄積にあると平中は語る。

【平中】
一番特徴的なのは、山形とタイにある金型と設備をつくる会社。部品だけではなく、その部品をつくるための設備も金型も全て自社で作るから、ノウハウが貯まっていく。その結果として、日系の全自動車メーカーとお付き合いがあるし、欧州系のフォルクスワーゲンやダイムラー、ルノーを中心にお客様の数が多いというのも特徴であり、強みです。

車の場合「こんな部品が欲しい」というリクエストを受けてつくるのですが、多くのお客様からリクエストを受けられるのは、どのような要求にも応えられることの裏返し。そういう実績を積み重ねてきていることが一番大きな特徴だと思います。

【ナレーター】
平中のファーストキャリアは大手自動車メーカーだった。事業に必要な物品やサービスを調達する部門に配属された平中は、上司からの言葉を通じて、ある重要なことに気付かされたという。

【平中】
「平中、会社でやる仕事は何かわかるか?」と言われました。その方が言ってくれたのは「人と話をすること」だと。会社に来て、黙って自分の席にいて仕事をすることの「何が仕事なんだ」、「何のために会社に出てくるんだ」と。

当時、「この意味がわかるか」と言われたのですが、全くわかりませんでした。しかし今、部下にも同じことを言っています。先輩、同僚。顔を見ながら話をする。そういうことがとても大事なのではないか思います。

工場の人との毎日の接点。車を買ってくれる直接のユーザーとの接点。あるいはその大企業のトップとの接点。人と人との接点からしかいいものは生まれてこない。それを改めて今、痛感しています。

【ナレーター】
購買部門、販売部門、秘書室などでキャリアを重ねた平中は、2012年にヨロズへ転職。自動車メーカーと部品メーカーとでは、お客様や取引先との関係が全く異なるため、考えや行動を変えることに当初は苦労したという。

【平中】
ヨロズに来た当初は、望遠鏡を逆から見ているようでした。ヨロズからお客様である自動車メーカーを見る。それまでに経験して、体に染みついたものの考え方、見方を「逆から見ればいい」と頭で思っていても、そう簡単にはできません。

ヨロズの立場を例えると、サンドイッチ構造の真ん中といえます。日産自動車、ホンダ(本田技研工業株式会社)など、当社が部品を納めなければいけないお客様と、当社を支えてくれている取引先に挟まれたサンドイッチの具材です。

お客様のことも見なければいけないですし、当社に納めていただく取引先のことも考えなければいけない。これが大きな違いです。

【ナレーター】
その後、取締役専務、副社長を経て2021年4月、代表取締役社長に就任。今もなお意識しているという3つのこととは。

【平中】
一番はやはり明確な目標を社員に示すことです。「あの山を登れ」「こちらではなく、あれでもない。あの山だ」と。ただ、そこをどう登っていくかは、みんなといろいろな論議をすればいいと思っています。

マネジメントに関しては、トップダウンとボトムアップをどのように融合させていくかがとても重要です。トップダウンは、リーダーシップ。「率先垂範」とよくいいますが「俺について来い」という姿をどのように出していくか。このトップダウンがとても重要だと思います。

一方、ボトムアップをどのように実現していくか。人と人のつながり、チームワーク、協調性。これらをどのように作るかということですが、日頃のコミュニケーションを通してみんなにやる気、勇気を与えながら、自ら考えてもらう。「とにかく考えなさい」と言い続けています。これらによってボトムアップはできてくる。私は、そう思っています。

もうひとつ大事なことは、役割分担です。いわゆる“タスキ”をつなぐときの思いと一緒だと思います。前工程から受け取った仕事を、どうすれば後工程にもっといい形で渡すことができるのか。それは常に考えないといけません。明確な目標。トップダウンとボトムアップの融合。そして役割分担。これが社長として今、意識してやっていることです。

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経営者プロフィール

氏名 平中 勉
役職 代表取締役社長
生年月日 1958年7月13日
出身地 東京都
座右の銘 「らしく、ぶらず」
愛読書 歴史(特に戦国時代の話)関係の書物
尊敬する人物 福澤諭吉・織田信長
略歴
1982年慶応大学商学部卒業後、日産自動車㈱へ入社。
2012年4月㈱ヨロズ入社。
2016年6月副社長就任。
2021年4月社長就任。現在に至る。

会社概要

社名 株式会社ヨロズ
本社所在地 神奈川県横浜市港北区樽町3-7-60
設立 1948
業種分類 輸送用機器
代表者名 平中 勉
従業員数 5,700名(2024年3月末時点)
WEBサイト https://www.yorozu-corp.co.jp/
事業概要 自動車部品(サスペンション)等の開発・製造
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